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ワインが育む家族の情熱と挑戦ーザグレウス・ワイナリー

第1章: 祖父の夢の始まり

ブルガリアの豊かな大地に囲まれた静かな村の中で、20世紀初頭に一人の男が立ち上がりました。

彼の名はコスタディノフ

この地に根を下ろした彼(コスタディノフ家の祖父)は、農業に一途な情熱を注ぎ込みました。
それは単なる生計を立てるための手段ではなく、彼の生き様そのものでもありました。

彼は、土地の恵みを最大限に活かし、家族と共に未来を築くことをいつも夢見ていました。

毎朝、陽が昇る前から畑に出向き、土の感触を確かめ、種を蒔き、そして実りの季節を待つ。

その姿は、まるで大地と一体となって生きるようでした。

この小さな農園は、やがてコスタディノフ家の心の拠り所となり、世代を超えて受け継がれる夢の始まりだったのです。

第2章: 苦難の時代と土地の喪失

しかし、時代の波は容赦なく、その小さな農園をも飲み込んでいきました。

政治的変動の嵐が吹き荒れる中、コスタディノフ家もまた、その影響を逃れることはできませんでした。

家族が丹精込めて育てた土地は、ある日突然、国家によって接収されてしまいます。

祖父が心血を注いだ農園は、家族の手を離れ、彼らの夢もまた砂のように崩れ去ろうとしていました。

しかし、その喪失感の中でも、家族は希望を失わず、いつか土地が戻ることを信じ続けました。

祖父の背中に刻まれた農夫としての誇りが、コスタディノフ家の精神を支え続けたのです。

第3章: 取り戻された農地と新たな始まり

コスタディノフ家に再び光が差し込みました。

長い時を経て、かつて家族が愛し育てた農地が彼らの手に戻ってきたのです。

この瞬間、家族は再び未来を見据え、新たな一歩を踏み出す決意を固めました。

祖父の夢を再び蘇らせるため、今度はブドウ栽培という新たな挑戦を始めることにしたのです。

120ヘクタールもの広大な土地にブドウの苗木が植えられ、季節が巡るごとに緑豊かな葡萄畑が広がっていきました。

家族全員が力を合わせ、祖父が愛した大地に再び命を吹き込んでいく様は、まるで長い眠りから目覚めた古い夢が、新たな姿で蘇るかのようでした。

第4章: 若きオーナーの帰郷とワイナリーの誕生

時はさらに流れ、家族の中で新しい世代が育っていきます。

オーストリアで学びを終えた若きコスタディノフ家の後継者(3代目)が、ついに故郷に帰還しました。

異国の地で得た知識と経験を胸に、彼は家業を継ぐことを決意します。

しかし、彼が描いたのは単なるブドウ栽培ではなく、ワイナリーの創設という大きな夢でした。

家族が築いてきたものをさらに発展させ、ワインという形でその成果を世界に届けたい。

その強い思いが、彼を突き動かしました。

そして1999年、元国会議員として活躍した2代目父の資金的援助なども受けながら、ついに「ZAGREUS」という名のワイナリーが誕生するのです。

左:現オーナー(三代目)右:二代目父
ザグレウスワイナリー外観

これは祖父の夢の延長線上にあり、同時に新しい世代の夢でもありました。若きオーナーの情熱とビジョンは、家族全体を新たな高みへと導いていくことになります。

第5章: 神話に込めた願い - 「ZAGREUS」の名の由来

「ZAGREUS」という名前には、コスタディノフ家が抱く特別な思いが込められています。

この名前は、トラキアの神ザグレウスに由来し、古代ギリシャ・ローマ神話においてワインの神バッカスを象徴する存在です。

ワインの神、バッカス

神話の中でザグレウスは、死と再生の象徴であり、常に新しい生命をもたらす力を持つ存在として描かれています。

コスタディノフ家はこの神話に、自分たちの家族史とワイナリーの未来を重ね合わせました。

彼らが抱くワイン造りへの情熱は、まるでザグレウスが持つ再生の力のように、どんな困難にも屈せず、常に新しい挑戦へと向かっていくものでした。

この名には、古代から続くワイン文化への深い敬意と、未来へと続く彼らの野心が込められています。


第6章: 理想の気候と有機栽培への挑戦

ZAGREUSワイナリーが位置するブルガリアの地は、ワイン造りに理想的な環境を提供してくれます。

年間の平均気温は12〜13℃、そして210日にも及ぶ無氷結期間が、ブドウの成熟を促します。

特に7月には日照時間が10時間にも達し、太陽の恵みがブドウに豊かな風味をもたらします。

ザグレウスの葡萄畑

この恵まれた環境の中で、ZAGREUSワイナリーはマブルッド、カベルネソーヴィニヨン、シラー、メルローといった品種を育てています。

2010年には、EUの規格に基づく有機栽培を取り入れるという新たな挑戦を始めました。

化学肥料や農薬に頼らず、自然の力を活かしてブドウを育てることで、より純粋なワインを生み出すことが目指されました。

その努力は3年後に実を結び、有機認証を獲得するに至ります。

ZAGREUSワイナリーは、この地の自然と共存しながら、理想のワイン造りを追求し続けています。

第7章: 新しい挑戦と果てないワインへの探究心

ZAGREUSワイナリーの成長は、単なる成功に留まりませんでした。

常に新しい挑戦を求め続ける彼らは、Blanc de noirという手法を用いて白ワインの生産にも乗り出しました。
これは、黒ブドウのマブルッドを使用し、ブドウの皮を使わずに白ワインを作り出す方法です。

また、イタリアのアマローネ方式を取り入れ、陰干ししたブドウを使った濃厚なワインの製造にも成功しました。

これにより、ZAGREUSワイナリーの製品はさらに多様化し、その品質はますます高まっています。

こうした革新への挑戦は、家族の信念である「常に困難に立ち向かい、進化し続けること」を具現化したものであり、ワインを愛するすべての人々にその価値を提供し続けています。

そして、ZAGREUSのワインの中でも特に注目すべきは、マブルッドリザーブ。

このワインは、日本の大相撲東京場所の優勝者に贈られるブルガリア共和国杯の副賞として毎回寄贈されています。

また、スリージェネレーションという赤ワインは、マブルッド、カベルネソーヴィニヨンとシラー3種のブレンドと、3代続く家族への誇りから名付けられています。

コスタディノフ家のワイナリーは、こうしてブルガリアの伝統と誇りを世界へと広め続けています。

彼らの挑戦は、これからも続いていくことでしょう。

ザグレウスワイナリーのワインは、BULGARIA WINE.JPでお買い求めいただけます。
コスタディノフ家の歴史と情熱が詰まった一本を、是非お愉しみくださいませ。


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