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映画館のおもひで


最近、コロナ禍のため、映画館に行っていない。
Oh My God!である。
私は映画が好きなので、学生時代は年間100本程映画館で観ていた。
然し、100本観ると、週末に2本くらいのペースになるため、ルーティンワークというか、作業と化してしまって、映画館という特別な空間を楽しむ心のゆとりが霧散してしまっていた。昔は、こうではなかったのである。

京都に住んでいる私の思い出の映画館は、まずは京都宝塚である。ここは東宝の映画館で、春休みにはドラえもん、GWにはクレヨンしんちゃん、夏休みには学校の怪談、冬にはゴジラ映画などやっていた。
ここの映画館は、屋外にチケット売り場がある。そこで、チケットを購入すると、そのまま長いエスカレーターで劇場内に入っていくのだ。ここが、子供心にたまらなく好きだった。エスカレーターが進むにつれて、甘いポップコーンの香りがする。それは、映画館の匂いだった。匂いは一番記憶を刺激するんだぜと、ヤスも言っていた(ライムスターの宇多丸ではない)。

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昔は入れ替え制ではなかったから、大体途中から入るのである。1992年公開の『ゴジラVSモスラ』なんて、映画館に入ると海をバタフライしているモスラがバトラになるシーンで、スクリーンに惹き込まれたものだ。
然し、ここは『リング』とか『死国』とか、ホラー映画もやるんで、予告編が容赦なく恐ろしかった。私は未だに『リング』が怖い。

その横には京都スカラ座があって、私は高校生の時に初めてのデートで制作費160億円のハリウッド超大作『ファイナルファンタジー』を観に行ったのだが、ガラガラだった。そして映画もつまらなかったのを覚えている……。この映画を作るまではスクウェアは凄い会社だったのだ……。
この劇場は絶妙に高低差がなく、すごく見難かったのを覚えている。東宝洋画系の大作はここでやっていて、『ブラックホーク・ダウン』や『スパイゲーム』を観た記憶がある。

四条河原町には他にも東宝の映画館は京極東宝1・2・3というのがあって、地下に大きな劇場(そこではムーランとかハリウッド版ゴジラを観た)、エレベーターで上がると、小規模の(教室くらい小さい)劇場と、中くらいの劇場があった。シネコンである。
ここでは名探偵コナンの第1作時計じかけの摩天楼を観に行った。今では一番スクリーンが当てられるコナンくんだが、映画筆おろしの際には小さい箱だった。それでも映画は面白くて、なんだなんだでコナンくん映画はこれと、世紀末の魔術師が好きである。

四条大宮には大宮東映があって、そこではドラゴンボールを観た記憶しかないが、凄まじい混雑ぶりで、立ち見が凄かった。密である。
そして汚かったような記憶がある。子供心にそう思うのだから、相当である。

他にも、東宝公楽とか、弥生座とか、たくさんの映画館が犇めき合っていて、その猥雑な光景がたまらなく好きである。カツアゲ未遂にもあったし、映画館は怖い所でもあった。

毎週金曜日、夕刊が楽しみだった。翌日公開の作品の広告が目当てで、それは漫画雑誌のように夢中に目を通したものだ。
何が面白いのか、映画のタイムスケジュールを観て喜んでいた。

然し、昔はグレン・クローズ主演の『101』とかの大看板が河原町にバーンと掲出されていたりして、映画が街の中に存在している、蠱惑的な光景というものがあったが、最早消え失せてしまった。

でも、今の映画館の方が絶対に居心地が良いから、戻りたくないんだけどね。

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