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私の好きなOVA A KITE

私の大好きなOVAのうちの1本、数年前にも書いたのだが、梅津泰臣監督のアダルトアニメの『a kite』である。
先日私の好きな映画10本のうち、このOVAを入れるとしたら、まぁ6位くらいに入る作品だ。


美少女アニメルネッサンス、クライムエロスの集大成。素晴らしいコピーだ。


再度紹介させて頂きたい。

エロアニメ、18禁アニメというと、なーんかHなことばっかりしているんじゃないの〜?と思われがちだが、今作に限っては50分の内、精々3分弱、そのようなシーンがあるだけである(えっちなシーンはあるし、不快に思う方もいるかもしれない)。

基本はノワールだ。ハードボイルドである。それも、少し不思議な日本、不思議な東京の。少女の、血まみれの復讐劇である。

1998年の作品であるから、来月で25周年なのである。

梅津泰臣氏といえば、たくさんの作品の監督、原画監督、OP絵コンテなどを切ってきた、凄腕のアニメーターであり、美少女を顕現させる絵師である。
今作は、『A KITE Complete Work Book』掲載のロングインタビューによると、梅津氏にとって演出をする好機となった作品であり、それがアダルトであっても、要はクライアントの要望を抑えておけば、自分の好きな作品を創る事ができる、という、まぁ、映画監督のインタビューでよく語られるあの話が語られている。
監督は自分の金で監督するな、監督は次回作を撮らせてもらえる状態を留保することが勝利条件だと、押井守は語っているが、これはその通りであり、人様の金を使って作り続けるのが藝術家という仕事なのである。

さて、『A KITE』は主人公である女子高生砂羽さわの物語で、彼女の両親は何者かに惨殺されており、天涯孤独となった彼女を警察の赤井という男が引き取るのだが、こいつが殺し屋組織の元締め?であり、無論、砂羽の両親の死もこいつが裏で糸を引いていた。そして、砂羽は赤井に性の手解けを受けて、かつ殺しの手解きもうけ、立派なJK殺し屋に成長する。
そして、砂羽が新しい殺しの仕事を請け負った際、別の殺し屋である同い年の少年と共に仕事をすることになるのだが……的な話である。

50分なので、テンポよく進む。
今作の一番素晴らしいところは、異国めいた舞台である。
日本ではあるが、ニューヨークのスラムなどの、海外の空気が漂い、スコアのジャズがなんとも言えぬ西洋、そして香港のような東洋の匂いも放っている。


冒頭に一仕事を終えてからのタイトルが出るまでの一連がとても品があり、私は好きなのである。『バットマン』のゴッサムシティにとても近い味わいであり、バットマンフリークの桂正和の『シャドウレディ』、或いは『Z-MAN』の匂いにも親しい。どうでもいいけど、『Z-MAN』は4巻まではとんでもなく面白いよ、本当に。


桂正和はいいなぁ。
ゴッサムシティのDNA

で、今作ではもうひとりの殺し屋である音不利おぶりという名の少年も重要な役割で登場して、彼と砂羽はプラトニックな愛、いや、同士めいた絆で結ばれる。
肉欲に塗れた大人たちと異なり、彼らは魂は少年少女のままである。とくに砂羽は、傷つけられた魂と身体を音不利との時間で癒やしていく。

変態買春教師3人組を成敗した二人

私は異様なくらいこのアニメーションが好きで、何度も何度も繰り返し観たが、やはりあの世界が好きなのだろう。
90年代〜00年代前半特有の匂いが濃厚に刻印されている。

海外でもファンが多いため、ハリウッド映画化されたが、私は観ていない。なんでもアメリカナイズすればいいわけではないのだ。まずは、梅津泰臣!そして、あのアニメーションで創られた異国の都であるから、私は恋したのであって、サミュエル・L・ジャクソンだからっていいわけでは断じて無い!

なかなか敷居が高いアニメではあるが、未見の方は是非観ていただきたい。
エンディングの解釈も先述の本に監督本人の弁で掲載されているため、ハマったら本もおすすめである!(高いけど)。

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