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無条件の愛を知った日


父が癌だとわかった
 
  

状況は最悪なのか
希望が持てるのかは
これからだけれど、
 
  

間違いなく
仕事のし過ぎだと思った
 
  
   

69歳の父は今でも
6時前に仕事に出ていく
 
  
   
私は父のことを
数日ひたすら考えた
 
  


そしてふとっ思った
 
  
   
    



父は自分の生い立ちから
ひたすら仕事と
お金を稼ぐことに
価値を見出していた
 
  
   

お金を稼いで
家族に不自由させないことで
自分は必要とされる
居場所がある
 
  

無意識にそう
思っていたのかもしれない
 
  
   
    

でも ー
 
  
   

働かない自分は無価値なのか
 
  

稼がない自分は
誰からも必要とされないのか
 
  
   

そんなことも無意識にあって
確かめたい気持ちが
あったのかもしれない
 
  

そして
病気になった
 
  
   
    


目の前の公園に
ブランコがあった
私は無性に乗りたくなった
 
  

ブランコを必死で
こぎながら考えた
 
  
   
    


ブランコも
自転車も
泳ぎ方も
カブトムシの取り方も
全部父が教えてくれた
 
  
   

楽しい思い出も
人生で最悪の出来事も
父と体験した
 
  
   
    

仕事以外のことは
全く人の言うことを聞かない
子供が大人になったような人
だった
 
  
   
    

仕事ができる父が好きだった
賭け事を教えてくれる
父も好きだった。笑
食べ物を取りっこした父も
服のセンスがない父も
母の言うことに返事して
きかない父も
 
  

全部全部好きだった
 
  
   
    



そう父は父のままで
そのままでいい ー
 

そう思った
 
  
   
    

何かが欲しいとか
どういて欲しいとかではなく
 
  

ただ私の“お父さん“
それだけでいいと思った
 
  
   
     


そしてそう思った瞬間
不思議なことに
 
  


私も私のままで
それだけでいいのではないか
そんな風に思えて
 
  
   

父から静かな幸せを
感じさせてもらって
いました

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