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不動産投資の利点/節税 繰り延べでは無く本当に節税になる?

「不動産投資の節税は、本当は節税では無く税の繰り延べに過ぎない」
という主張をたまに目にします。

物件保有期間中に減価償却を使って節税できたと思っても、物件売却時にはその減価償却分だけ売却益がUPするため多くの譲渡税がかかり結局節税にならないのでは、という疑問です。

結論としては「年収と物件売却タイミングによって、税の繰り延べでは無く実際に支払う税金が安くなる」です。
これについては、以下2点を押さえれば誤解が解けるかと。

1.節税の仕組み(減価償却による損益通算)
2.「所得税率・住民税率」と「譲渡税率」の差異を使う

1.節税の仕組み(減価償却費用による損益通算)

例えば一棟アパートのような収益不動産を買う場合、物件価格は建物価格と土地価格に分かれます。
そして建物価格については毎年キャッシュアウトを伴わない(手元のお金が減らない)「減価償却」を計上することができます。

「減価償却」
資産の価値が時間とともに減少するという考え方に基づいて、高額な資産の取得費用を一定期間に分割して経費計上する会計処理。購入した資産の価格を一度に経費とせず、耐用年数に応じて少しずつ経費計上する。

この減価償却を収入(給与所得)から差し引くことで課税所得を圧縮し(=損益通算)、支払うべき所得税・住民税等を少なくするというのがシンプルな節税スキームです。

手元のキャッシュアウトを伴わない減価償却をうまく活用することで税金を少なくする、というわけです。
そして、減価償却期間は法定耐用年数で建物構造によって以下のように定められています。

更に、法定耐用年数を超過した収益不動産の減価償却期間は以下のように計算することとされています。

減価償却期間 = 法定耐用年数 × 20%

⇒例えば「法廷耐用年数を超過した木造アパート」を購入すれば、
 22年×20%=4年(小数点以下切り捨て)で償却できることになります。

物件価格1億円、そのうち建物価格5,000万円の物件であれば、
5,000万円÷4年=1,250万円/年を課税所得の圧縮に使えます。
※勿論、不動産所有に伴い賃料収入も発生しますので、それらと相殺した額にはなります。

単年度の減価償却を大きくとれるようにすれば、その年の課税所得を大きく圧縮でき、大きな節税に繋がります。

2.「所得税率・住民税率」と「譲渡税率」の差異を使う

さて減価償却を使った節税の仕組みは上記の通りとして、いくら節税になるかは、ご自身の所得税率・住民税率(及び復興特別税率)に基づきます。

課税所得別の税率は下表の通りです。
(復興特別税率は丸めています)

そして不動産を売却した時には譲渡益に対して税金がかかりますが、その譲渡税率は以下の定めとなっています。

・短期譲渡(物件所有期間が概ね6年未満):約40%
・長期譲渡(物件所有期間が概ね6年以上):約20%

※”概ね”としたのは、正しくは「譲渡した年の1月1日時点で所有期間5年を超過しているか」が定義であり、「5年以上所有しているから長期譲渡」とはならないケースもあるため。

要は、所有物件が「長期譲渡」のタイミングに突入してから売却すれば、譲渡税率は約20%となります。

節税の本質は、この所得税率・住民税率等と譲渡税率の差異を使うことです。「保有期間中には高い税率がかかる課税所得を圧縮し、売却時には低い税率がかかる譲渡益を多く取る」
ということであり、ご自身の年収(からの課税所得)と物件売却のタイミングによって、単なる繰り延べでは無い本当の節税が可能となります。

【余談】
では、いわゆる高額所得者で無ければ不動産投資をやる意味が無いのか、というとそうでもありません。

確かに税率差が作れない給与水準の人にとっては節税にならず単なる「税の繰り延べ」になりますが、(将来支払うことになるとは言え)繰り延べたことにより手元にお金が残るため賢い人なら運用するでしょう。
※もっとも、手元の資金を他に投下し過ぎて売却時の譲渡税が支払えなくなる事態は避けるべきですが。

また、そもそも節税用の商品では無く資産形成にあたって収益用の不動産投資を進めていけば良いわけです。

そのようなご相談もエージェントまで!

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