UXエンジニアってなんだろう（考察）
伊藤忠テクノソリューションズ Buildサービスチーム UXエンジニアの 板倉 です。名刺にはソフトウェアエンジニアと印刷されていますが、案件によっては時々UXエンジニアと名乗っていこうと思っています。
ところでUXエンジニアとはどのような職業でしょうか。UI/UXエンジニアと括られるように、狭義にはフロントエンドエンジニアと同じ意味合いで使われます。しかし、ここではもう少し広い意味で定義しようと思います。
現状「UXエンジニア」という言葉は組織の構造や考え方によって、幅広い意味を持っている言葉だと言えます。自分がそれを名乗る以上、どのような役割を全うし、チームに貢献できるかを定義づけする必要があります。
UXデザインとは
最近はモノを作れば売れるという時代ではなくなり、UXデザインという言葉が強く意識されるようになりました。UXエンジニアの役割を考察の前に、まずはUXデザインがどんなものか振り返ってみましょう。
日本語でデザインというとグラフィックやインターフェースを描くことをイメージしますが、「Design」にはもともと「設計」という意味があり、日本語の感覚とは少し違います。
UXデザインは、製品などを通してユーザーが得られる経験や体験を定義するプロセスのことです。UXデザインにおけるデザインの決定は、審美的な好みや意見だけではなく、調査やデータ分析、テスト結果によって行われます。
インターフェースのデザインのみに焦点を当てたUIデザインとは異なり、UXデザインは、製品でユーザーが得る経験のすべての側面 (ユーザビリティ、有用性、ブランド認知、全体的なパフォーマンスなど) を網羅しています。
近年、ビジネスの世界ではデザイナーの使用する設計プロセスが重要視されるようになり、「デザイン思考」として普及するようになりました。下の図はデザイン思考の基本的な考え方になります。
UXデザインのロール別役割
UXデザインを行う職種には「UXデザイナー」がいます。また、近い場所にはUIデザイナーやUIエンジニアもいます。それぞれの役割はどうやって分けられるでしょうか。あくまで自分の感覚ですが、図にしてみました。
UIとUXとの違いの考察
UIとUXを扱う職種の違いは、プロダクト開発において、より初期の段階から関わるのがUXの職種、プロダクトが完成に近づくにつれ役割への期待度が増してくるのがUIの職種というイメージです。
デザイナーとエンジニアとの違いの考察
UIについては、デザインと実装のようにデザイナーとエンジニアの役割の違いがわかりやすいです。UXはどうでしょうか。例えば動くプロトタイプを作れることがエンジニアの一つの役割だとは言えますが、Figmaなどツールの発達によりその垣根もなくなりつつあります。
自分の感覚では、デザイナーはユーザーへの共感の可視化や課題の深堀りをし、エンジニアは客観的な指標の設計・構築、デザインプロセスで得られた共感と客観的指標の間を取り持つ、という違いがあると考えました。しかし、その違いは曖昧で、自分でもまだ言語化が難しいです。
自らを定義づけ
UXエンジニアの役割について考察しましたが、プロジェクトのフェーズ、組織の状況によってその役割の幅を広げる必要があると考えています。つまり、役割を与えられるのではなく、自ら役割を定義し、チームの足りていないことを補いながら貢献することが大切だと思いました。