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「この世界に、バグを。」を掲げるアートセンターが大切にしている3つのこと

みなさん、こんにちは。株式会社リクルートホールディングスが運営するアートセンター「BUG」のスタッフKです。

9月20日、ついにBUGがグランドオープンしました!現在、10月30日までこけら落としとして雨宮庸介個展「雨宮宮雨と以」を開催中。会期中の大半、作家の雨宮さんが在廊し、“人生最終作のための公開練習”と位置づけられたパフォーマンスを行なっています。BUGのサイトで詳細をご確認ください…!


今日はグランドオープンに際してアップデートした、BUGの活動方針についてお話ししたいと思います。

今年の3月にBUGという名称を発表した時から、私たちは「この世界に、バグを。」をキーメッセージに、アーティストやアートワーカー*が全力で挑戦できる機会と場所を提供することを活動の軸としてお伝えしてきました。
*美術館やギャラリー、あるいはフリーランスでアートに関わる仕事をされている方。

グランドオープンにあたって、 業界を取り巻く環境に対してBUGとしてどのような姿勢で向き合う必要があるのか議論し、“3つの活動方針”として整理しました。それが次の3つです。

1. ライフステージへの配慮
2. 適切なパートナーシップ
3. キャリアの支援

今回掲げたうち1と2は、アーティストやアートワーカーの皆さんとの協働において、私たちがどのような環境づくりを行うのか明文化したものです。
アート業界ではフリーランスや個人事業主として働く方も多く、就労環境に不安を感じている方がいたり、まだまだジェンダーギャップが大きい業界であったりと、さまざまな課題があります。業界のみなさんが全力で挑戦ができる機会と場所をつくりたい。そのためには、展覧会や新たな企画を開催するだけでなく、現場の環境改善につながる取り組みが必要だと考えました。

“3つの活動方針”では、具体的には以下のようなことを定めました。(今回は一部抜粋してお届けします。詳しくはサイトのテキストをぜひご覧ください…!)

1. ライフステージへの配慮
・イベント開催時は、できる限り子育てや介護との両立が可能なスケジュールで調整。
・子育て中のアーティストにイベント登壇や展覧会を依頼する際は、育児環境を確認の上、適切なサポートを実施。(例えば、日曜に実施せざるを得ない設営や夜間イベント登壇時のベビーシッター代補助など。)
・BUG Art Awardでは、年齢ではなく制作活動歴で判断。 制作活動歴10年以下のアーティストが応募可能であり、「制作」の定義は応募者自身が決定。出産や育児、介護等の理由によるブランクを差し引くことも可能。
・一都三県以外に在住のアーティスト/アートワーカーが参画しやすい交通費の支給(公共交通機関利用)。


2. 適切なパートナーシップ
・アーティストフィー/キュレーションフィーなどの各種報酬の適切な設定。
・契約の締結にあたり、事前の内容説明と確認を実施。
・契約書には著作権等をはじめとしたお互いの権利や報酬/制作費について明記し、実動開始前に契約を締結。
・展覧会の運営に際して、アーティストやアートワーカーの怪我等に対応できる保険に加入。


3. キャリアの支援
【アーティスト向け】
展覧会の開催やBUG Art Awardを通してキャリアアップを後押し。作品販売を行う企画も行う。

【アートワーカー向け】
キュレーター支援プログラムや、若手批評家のネットワーク構築、発表の場の提供、その他ワークショップなどを開催。

BUGのwebサイト( https://bug.art/about/ )より一部抜粋、編集


方針検討にあたっては、主に以下の文献を参考にしています。

・Hettie Judah “How Not to Exclude Artist Parents”(2022),「子育てするアーティストを排除しないために 文化施設やレジデンスのためのガイドライン」,BACK AND FORTH COLLECTIVE訳,http://www.artist-parents.com/ja/(参照2023-6-25)

・art for all「美術分野における報酬ガイドライン策定のためのアンケート調査結果」,https://docs.google.com/presentation/d/1p1whb4nPQhS0yBQvWJEqvaSKNi8tx5ldMejaZd_Ueok/edit#slide=id.p(参照2023-6-25)

・表現の現場調査団「ジェンダーバランス白書 2022」,https://www.hyogen-genba.com/gender(参照2023-6-25)


新しい方針内容、いかがでしょうか?
BUGにできることや必要なことを議論しまとめましたが、もちろん私たちはこれが最終形だとは思っていません。今後も色々な業界の現状を見聞きし、議論を重ね、より良い形にアップデートしていきます!
そのためにも、業界内外からいろいろな人が集まり、意見交換がされていく場になるように、BUGをひらかれたアートセンターにしていきたいと考えています。オープンしたばかりのスペースとして、まだまだ取り組むことがたくさんありそうです。

BUGの今後にもどうぞご注目ください!