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その1件のTELが組織の未来を作っている


世の中には競合優位性の中に「文化」が登場する企業が存在する。

営業組織でいえば、Salesforce、リクルートやキーエンスなどがそれにあたるだろう。

彼らはそういった文化をどのように手に入れたのか。自分たちも手に入れたければどうすれば良いのか。

我々は営業組織向けに「文化作り」のサポートをしている。色んな企業と変革を共にしてきた。その実際のエピソードを元に書いていこうと思う。

今までコンサルとして入らせていただき変革した企業の多くの方々に言われたのは「こんな組織が存在することを知らなかった」という言葉だった。このnoteでそれが解決できればと思い、執筆する。


文化とは

我々は「文化」を以下のように定義している。

文化とは、特定のコミュニティにおける当たり前の常識。

例えば日本というコミュニティではお箸を使うのは当たり前だと思うが、海外の人からすれば「え、よくそんな棒2本で食べるな」と思われているはずだ。

それくらいコミュニティの中で「当たり前」になっているもの、それが文化である。文化の強い組織は、みんなが血気盛んに毎日気合を入れている訳ではなく、それが当たり前になっているから当たり前に行う、というだけなのだ。

冒頭にあげた文化の強い組織内では、様々な「当たり前」が存在している。
・1日のアポ件数は◯件が当たり前
・宣言したことの実行率は100%が当たり前
・コツや知識は週1個は共有するのが当たり前
のようなイメージだ。


文化のできる原理

どうすれば「当たり前」という認識が作られるのか。文化は醸成されるまで以下のような流れを辿る。

誰かがやる → 自分にもできるかも → みんながやる
→ それが当たり前になる → 文化になる

過半数がやるようになると、そこからは組織の力学が変わる方に働き出すので大きく難易度は下がる。ただ過半数に至るまで、特に1人目と2人目の難易度が非常に高い。

なので結局最初の1人ががんばる、が答えなのだが、これがなかなか進まない。


文化を作ることの価値を理解する

多くの場合、文化を作ることの価値が過小評価されていることが原因で文化作りは進まない。「あれ、これそんな意味あるんだっけ?」となって辞めてしまう。

仮に組織の1日のTEL件数の水準が40件だとする。そこで自分が工夫して1日41件やったとしても1件の違いしかないと考えてしまう。

しかし先程の原理でも述べたように、組織の水準以上のアクションを行うことには、文化作りに繋がる大きな価値がある。

仮にその後組織全体が41件を当たり前に行えるようになれば、100人の組織であれば100件分のインパクトがあるし、今5人の組織でも5人の頃から文化が根付くことで将来100人の組織になった時に100件分のインパクトになる。

1日100件なので、20営業日で2000TEL、アポ率5%で受注率10%だとしても1ヶ月で10受注分の価値がある。たった1件のTELが、である。

💡その1件のTELが組織の未来を作っている、という感覚を持てるかどうか。


最初は小さなムーブメントから始まる

ここからは実際にあったあるチームの変化を元に説明していこう。

弊社が約3年前に支援させていただいた株式会社POL(以下POL社)という会社の話である。


最初はある1人から始まった。

この時POL社ではテレアポに関して3つのKPIを追っていたが、ある日それらすべてのギネスを1人の営業メンバーが更新した。

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※「BUMP」というのはPOL社で昔から浸透している「ナイス!」「素晴らしい!」という意味の掛け声である。これも文化。


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2枚目の画像で最初の投稿をしてるのが営業マネージャの方なのだが、「新しい常識を作る」という言葉を使っているのが非常に印象的。

文化を作ろうとする姿勢自体を褒めており、組織が文化を作ることを目指していることが分かる。


2人目の出現
9日後、2人目が現れた。1人目の出現が影響を及ぼしていることは自明だった。そのままドミノ倒しのように全員の水準が上がった。

💡最初の1人目、2人目が重要。


追うべきKPIは会社ごとに異なるだろう。別にTEL数でなくても良い。こういう何かをやることが当たり前になるのが重要なのだ。

この成功体験を持つチームは、どんなことでも文化として取り込めるようになる。


意識のすきまを仕組みで埋める

「重要だ」と分かればできるほど人間は単純ではない、というか強くはない。意志が強いタイミングもあれば弱くなるタイミングもあるのが人間である。

それを防ぐために仕組みを作る。

POL社でも当時そのためにいくつかの仕組みを導入している。

数値化(KPI化)
当然だが、高めたい水準を数値化しなければ高まっているのかも分からない。POL社では、テレアポ系の3つのKPIの他に5つのKPIを置き、それらに月間目標を設定していた。そして各KPI状況を計測できるようリアルタイムにSalesforceへの入力を行った。

朝会/夕会
振り返るスパンは月でも週でもなく日単位が良い。PDCAを早く回せる営業という仕事の特性だと思うが、1日営業活動をしていれば何か修正点が見つかるはずだ。朝会でその日の目標を宣言し、夕会で結果を報告する。朝の宣言が未達であればどうすれば達成できたのか、次はどう達成するのかもセットで報告する。この場があること自体が必達意識を高めてくれる。先程のスクショでもマネージャが「有限実行で」と書いているが、ギネスが出た日も朝会で各KPIの目標を宣言している。

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アポ曜日固定制
TELする時間とアポする時間はきっぱり分かれていた方が効率が良い。しかし、意外とアポのすきま時間でTELをしているという会社は多い。これを明確になくすため、TELする曜日とアポする曜日を切り分ける。


もちろん仕組みだけではダメだが、水準を高めたいという意識とセットであれば仕組みは大きな効果を発揮する。

💡仕組みを作る(意志だけに頼らず、意識が弱まるタイミングを埋める役割)


今まで変革が早かった会社に共通すること

これが一番の要因ではないかと言えるほど、変革が早い会社に明確な共通点がある。

それはトップがメンバー以上に文化の重要性を信じ、推進することである。

ある上場企業の支援に入らせていただいた時には、代表自らが弊社との月次営業会議に参加され、メンバー以上の熱量で質問をしてくださった。その姿勢に感化されたメンバーもいただろうし、全社として位置づけの高いPJTだと認識されただろう。

文化作りは短期的に効果が分かりづらい。なので目先の成果に繋がるアクションの方が評価されがちだが、トップや経営陣に近い立場の人が文化作りに繋がるアクションを評価していれば組織にもそういう力学が働く。

さっきのギネスを褒めているマネージャのスクショでも「新しい常識を作る」ということにフォーカスしている。これはマネージャがそこを重要視しているという意思表明でもあるのだ。

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💡トップが強い意志で推進すること


まとめ

▶ 文化とは組織における当たり前の常識
▶ 水準以上のアクションには、文化作りに繋がる大きな価値がある
▶ 1人目、2人目の出現がキー
▶ 意識のすきまを埋めてくれる仕組みを作ろう
▶ トップが強い意志で推進すること

文化の強い会社は、人も組織も成長する。そんな組織が世の中に増えることを願っている。



採用してます

株式会社POLでは現在営業を募集しているとのことです。実は、スクショに登場したギネスを更新した岸本さんという方が今は営業マネージャをしています。私自身が深く関わらせていただいた会社ですが、本当に素晴らしい文化を持つ組織なのでおすすめです。

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