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菩薩 ーBodhisattaー

「涅槃は利己の中にはなく、利他の中にある」
とお釈迦様は説かれました。

他の苦悩の中に身を置きながらも、
そこから逃げずに敢然と立ち向かう

それこそが、菩薩の心構えであり、
真の幸福へ至るための本質であると言えるでしょう。


バラモンよ、その昔、私は、こう考えた。
恐怖から逃げると、恐怖が大きくなっていく。
それなら、恐怖に向かうと、如何なるだろうか。

バラモンよ、私が、まだ、菩薩だった頃、
私は、独りで森に向かい、恐怖の味を求めた。
すぐに、恐怖が近づいたが、私は逃げなかった。

即ち、立ち去ることで、逃げることなく、
又は、眠りに落ちることで、逃げることなく、
菩薩は、只管、恐怖を味わい、恐怖を見つめた。

バラモンよ、そして、私は、こう悟った。
逃げるほど闇になり、向かうほど光になると。
即ち、恐怖とは、自らの心の闇に他ならないと。

バラモンよ、そして、私は、こう願った。
他の苦から逃げていたが、他の苦を認めよう。
涅槃は、利己の中には無い、利他の中に有ると。

バラモンよ、これが、菩薩の発願である。

パーリ仏典『怖駭経』


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