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何でも口に入れて噛む子はどうして?

言葉が出る年齢になってもおもちゃや絵本、身近な物をいつまでも口の中で「カミカミ」して心配や不安に感じてしまう姿ありませんか?



ただし、0歳児が口に入れてしまうのは口腔内で感覚や素材などを学習している段階なのでこれに関しては今回の内容とは違います。

0歳の「積み木遊び」から発達を説明します。
例えば、どのように「積み木」を認識していくのでしょうか?

①首が座るころまで

・生まれたばかりの赤ちゃんに、優しく2つの積み木を打ち合わせると音に気がつきます。

参考図化:「赤ちゃん学で理解する乳児の発達と保育第2巻運動・遊び・音楽」中央法規より


・積み木を子どもの目の前30cm離して、ゆっくり動かします。ゆっくりなら、積み木の動きを追うこともあります。


・首がすわる頃
膝の上に抱いてから、積み木をゆっくり動かします。上下左右に動く積み木を目で追いかけることもあります。左右の動きには手で触ろうと手を出してくることもあります。


②お座りの頃

・自分から積み木を触ろうとしてきます。
把握反射より。
(把握反射とは・・・手のひらを触ると握りしめるようにする。足の指の付け根辺りに触れても同じようになる)


・少しだけ手を伸ばすところに積み木を置いてみます。手を伸ばして取るようになります。



・子どもの目の前で、2つの積み木を打ち合わせて音を出します。積み木を「じっ」と見てくれます。その内に真似をして自分でも打ち合わせるようになります。
その時に「音や感触」を一緒に楽しんで下さい。


・積み木を両手で持ってみたり、持ちかえたりするようになります。その後になめたりします。
それは、積み木の「色、形状、かたさ、味など」を手や舌触りで調べている行動になります。


(一旦、積み木の発達は終わります。この後にも発達の流れは続きますが、今回の内容に関係のあるものはここまでです!)


では、本題にもどります!

今回は「まわりの子ども達は口に入れていないのに、なぜこの子は口の中に物をいつまでもいれて噛むのだろうか?」と年齢が高くなってもそんな姿が見られたら心配ですよね!


「やめなさい!」と何度注意してもやめてくれない。まわりの同年齢と比べたら恥ずかしいなどのイライラや自分の育て方が悪いのかもと責めていませんか?

あなたのせいではありませんよ!
「しつけ」だけではどうにもならない理由があるんです!
あなたは頑張っているからこの記事を読んでくださっているのが証拠です。
それはその子からの「SOS発信」なのかもしれません。
それをキャッチしてあげることが大切です!

もしかしたら、次の「理由」で解決できる場合もあります。
全てこれで解決するわけではありませんので、注意してください。


【理由】

口の中の「触覚や味覚」、「噛むときに入る顎の筋肉など」への感覚の欲求を満たすためです!


口の感覚は、胎児の時期から発達しはじめます。
乳児期は、外の世界の探索や口腔内な身体イメージの確立、情緒の安定などに役立っています。

探索は、0歳の「積み木をなめる」などの行動が口腔内の発達にもつながっているんです!
だから、0歳は安全なおもちゃなどを触れさせてあげて欲しいのです。
飲み込んだら危険なものや口や手に触れる危険なものは届かないところに置いてください。
硬さや素材も色んな物をおもちゃで選ぶととても良い学びができます。


噛むことは、覚醒のコントロールにも役立ちます。
大人でもガムを噛んで脳を目覚めさせたり、集中力を維持しようとします。

噛むって、大人になってからも欲しているからそうしているということが分かります。


【具体的な改善方法】
その行為自体をやめさせるのではありません。
その理由を推測してみます。子どもがその行為を行う意味を考えてみることが大切です。
そして上手に応援してあげる姿勢が大切になってきます。


うーん、それが実は難しいんです。推測が当たらなければ当然、結果はでません。

「やめなさい」という声を掛けるよりも「どうして、その行動がやめられないのだろう?」というのは子ども本人も分かりません。親よりも人生経験していないので、説明する知恵もまだないんです。だから、一緒に考えてあげてほしいのです。
あなたが「どうして?」という思いは同じはずです。

だから、一緒に解決策を探そうと応援しながらやることで、精神的に気持ちが落ち着き、物事の見方も変わってくるのではないかと思いますよ!


例えば、発達的に未熟だと思う時は……

目や手、口の感覚を繋げる遊びをしてみる。
「噛みたい」という姿があるので、おやつや食事で好みの硬さを見てあげてください。
スルメやラスクのように「噛む」ことでこの場合は解決することが多いです。

柔らかい食事ばかりだと、身体が「噛む」という感覚を求めているサインということもあります。
グミなどちょっとした弾力のあるものを好んだり、個人差があるため色んなもので試してみてください。

嚥下をしないように、「噛む」という咀嚼を離乳食の時から大切なんです。



また、「ストレス」が原因で「噛む」という姿になっていまっていることも考えられます。
心の安定を保つために「物を噛む」という行為に繋がっているのかもしれません。

「ストレスの原因」を探すことからはじめてください。その時に、「どんな時によく噛むのか?」などを観察してみてください。
繰り返し噛む物の硬さや素材、噛む時の前に何があったかなどの状況を探っていきます。
そうすると、同じ硬さのおもちゃや叱られた後に噛むなど同じとこを見つけることができます。
地道なことですが、心の問題なのか?グミのような感触を求めて噛むのか?他の問題なのか?の可能性が見えてきます。

ちょっと難しいかもしれません!



私は子どもが「何でそんな行動をするんだろう?」と不思議でした。
その解決策を1つずつ調べて、実践して結果を出すことで自信にも繋がりました。
それを繰り返すうちに、色んな理由があって知らないことだらけなんだと気づきました。

保育士だけど、この内容は勉強しません。
作業療法士さんの分野なんです。
しかし、保育園などでは身近な問題なのに保育士さんが知らないなんでもったいないと思う部分があります。

私は日本感覚統合学会で多くの作業療法士さんと同じ分野を学ぶことに嬉しさがあります。
中には私よりも先に保育士さんもこの勉強をしている方がいます。
それぞれの資格を持って学んだ方は凄いと感じます。
私もまだまだ不足していると感じますが、この記事をまとめることで、自分のためになる。そして、それが役立つ人がいたら幸せです。

最後まで読んでいただきありがとうございます。
皆さんにも幸せが届きますように🍀!

参考文献
・「子どもの理解と援助のために感覚統合Q&A改訂第2版」共同医書出版社より
・「赤ちゃん学で理解する乳児の発達と保育第2巻運動・遊び・音楽」中央法規より

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