見出し画像

月例経済報告(2021年2月)雑感

2021年2月19日に内閣府から2月の月例経済報告が公表されました。基調判断は「依然として厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる」から「依然として厳しい状況にあるなか、持ち直しの動きが続いているものの、一部に弱さがみられる 」に下方修正されました。各論では個人消費については「持ち直しの動きに足踏みがみられる」から「このところ弱含んでいる」に下方修正されましたが、設備投資は「下げ止まりつつある」から「このところ持ち直しの動きがみられる」と上方修正されています。

月例経済報告等に関する関係閣僚会議資料をみると昨年一年間の概況がまとめられているのでそこから図表をいくつか引用していきます。

2020年のGDPの落ち込みはマイナス4.8%となりリーマンショックに次ぐ減少でしたが四半期の数字をみると第4四半期には前年同期比98.9まで回復していたことが分かります。なおIMFが昨年4月に公表した世界経済見通しでは日本の2020年の成長率はマイナス5.2%だったのでそれよりは若干良かったようです。日本だけでなくアメリカやユーロ圏でもIMFの昨年4月の予測よりはマシになっています。先進各国が異例の金融緩和や財政出動をしたことがそれなりに効いているのでしょうか。

個人消費をみると新車販売台数が11月以降落ち込んでいます。ただし消費税の影響で落ち込んだ前年同月よりは依然高い水準ではあります。10月には2016-2018年平均に届いたのですが再び落ち込んでしまいました。家電も前年同月よりは良いのですが前々年には届いていません。これらには年末のボーナスが減少したことが影響しているのかもしれません。外食は12月から落ち込んでおりこれは端的にコロナ第3波の悪影響でしょう。また宿泊施設稼働率はGo Toトラベル停止に伴って落ち込んでいたことが分かります。しかしなぜか2月に入ってから稼働率が上がっているようです。

輸出は昨年末から前年同月を上回り、また近年の状況と比べても遜色ない状態まで回復していますが中身をみるとアジア向けの回復が大きいです。アジアとありますが大半が中国向けの回復によるもののようです。他方、アメリカ、EUは日本同様にコロナ感染再拡大に苦しんでいるためか昨年末から再び減少しています。中国一人勝ちの世界経済の中で中国頼みが加速しているようです。

上場企業の経常利益をみると、上に述べたような状況において製造業の利益が爆上がりしていることが分かります。コロナ禍において国内も勝ち組と負け組に二分化されているようです。これはコロナ後の社会において一層の格差拡大をもたらしかねないおそれもあり、政府の経済対策も早急に一律的なものからメリハリのきいたものに改めていく必要があるのではないでしょうか。

設備投資をみると輸出や製造業が堅調なおかげなのか機械投資は持ち直しています。他方、構築物投資は低調なようです。

雇用の動向をみると11月以降の失業率は10月より改善して3%を下回っているのですが12月は雇用者数が減っていることが分かります。また第3波に伴って休業が増えている可能性があり失業率が上がっていないからといって安心できません。緊急事態宣言明けから再び失業率が悪化するおそれもあるでしょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?