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気になる統計 四半期別GDP速報(2020年4-6月期)

2020年8月17日に内閣府が4-6月期の四半期別GDP速報を公表しました。1次速報において実質GDP成長率(季節調整済前期比)がマイナス7.8%(年率換算マイナス27.8%)となり戦後最悪の落ち込みと騒がれているようです。

GDPへの寄与度は内需がマイナス4.8%外需がマイナス3.0%なので内需の落ち込みの方が大きいです。

公的需要は安定しており落ち込んだのは民間需要です。民間需要をみると民間最終消費支出がマイナス8.2%でうち家計最終消費支出がマイナス8.6%、民間住宅がマイナス0.2%、民間企業設備がマイナス1.5%です。外需の落ち込み要因は自動車と旅行の減少が大きいようです。

国内家計最終消費支出のGDPへの寄与度をみると耐久材がマイナス0.2%、半耐久財がマイナス0.1%、非耐久材がマイナス0.5%、サービスがマイナス4.0%です。Go Toキャンペーンの対象となる国内旅行、交通、外食はサービス消費に含まれます。

以下、雑感を書いていきます。

内需落ち込みの原因は緊急事態宣言下の自粛だと思われます。他の先進国をみると日本>スウェーデン>アメリカ>ドイツ>イタリア>フランス>イギリスの順に悪くなっていくので日本は先進国の中では健闘している方です。

他国の四半期別の対前期比をみると例えばスウェーデンはマイナス8.6、アメリカはマイナス9.5、ドイツはマイナス10.1、ユーロ圏全体ではマイナス12.1、最も落ち込みの激しいイギリスはマイナス20.4です。なおスウェーデンはロックダウンしていない国という点ばかり取り上げられていますが集会は禁止されておりまた6月後半までは旅行等の移動抑制も行われていたので、日本より実質的な規制は強いと思われます。全体として社会規制の強さと経済の落ち込み具合いに関係がありそうですがドイツとイギリスをみると感染のコントロールに成功したか失敗したかが影響するようにもみえます。

また先月の月例経済報告からは既に内需も輸出も持ち直しつつあることがうかがえるので4-6月期が一番の底になる可能性が高いため年率換算値の大きさばかりを取り上げても仕方ない気もします。年率換算とは同じ対前期比の増減率が4期連続で続いたらどうなるかを試算しただけですし、既に持ち直しの動きが見られ以上、今後9月までに余程のことがない限り来期はプラスになると見込まれているからです。

財の消費については特別定額給付金の効果で家電は好調だったはずなのですが自動車の落ち込みで打ち消されたようです。そして自粛の影響でGo Toの対象になるサービスが大きく落ち込んだということなのでしょう。

なお住宅は消費税増税以降は落ち込んでおり前期もマイナス4.2と大きく下げていたのでコロナで特に悪化したということではありません。

ちなみに実質消費がマイナス8.2なのに対し名目消費の落ち込みはマイナス8.4で逆転しています。これはこの時期にガソリン価格が下がったことが影響しているのでしょうか。

実質雇用者報酬はマイナス3.7%と落ち込んできており既に特別定額給付金の効果が切れてきていると思われる現在、コロナ第2波の影響でGo Toキャンペーンが経済に効かないようだと今後は倒産が増え、失業率が上がり続けることも懸念されます。

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