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気になる統計 消費者物価指数 全国(2021年4月分)

2021年5月21日に総務省から消費者物価指数(4月分)が公表されました。ウェブサイトに掲載されている情報を引用すると次のとおりです。

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1月からの総合指数の動きをみると物価下落基調が続いているようですが実はこの期間に下落の中身が転換しているのす。ポイントは生鮮食品を除く総合(コア)と生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコア)の差の動きです。1月はマイナス0.7、2月はマイナス0.6、3月はマイナス0.4、4月はプラス0.1です。コアとコアコアの差はエネルギーの影響を表しますので下落基調だった国内エネルギー価格が上昇に転じていることが分かります。

昨年、世界的なコロナ禍の影響で原油価格が大きく下落しましたが中国経済が好調でアメリカ経済もワクチンの効果で見通しが明るくなっていることから需要が回復して価格も戻りました。原油価格の推移はいろいろなウェブサイトに掲載されていますが例えば「世界経済のネタ帳」などをご覧ください。昨年2月から下落した原油価格が本年3月には元に戻っていることが分かると思います。したがって原油価格は3月から対前年で上昇しているのですが国内物価に影響が現れるのにはタイムラグがあるので先ほどのような推移になっているのです。ガソリンや灯油などは比較的早く影響が現れますが電気代などへの影響が本格的に現れるのは来月以降のようです。ちなみにガソリン価格は13.5%の上昇となっています。

にもかかわらずコアコアが依然マイナスなのは通信料が下落しているからです。これは菅政権による携帯電話の通信料値下げの「成果」を統計に反映させたからということのようです。なお統計は平均値なので個人が成果を実感するには契約を切り替える必要があることにご注意ください。

また3月にいったん下落基調にブレーキがかりつつあったように見えた総合指数の下落幅が再び拡大したのは生鮮野菜等の下落の影響です。昨年からの推移をみると夏頃には高温障害で不作になって価格が上がり秋が深まると豊作になって価格が下落に転じ、冬が本格化すると例年並みに戻っていました。今年の春は天候が良くて豊作基調になったにもかかわらず緊急事態宣言の影響で需要は落ち込んだことから価格が大きく下落に転じたようです。



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