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気になる統計 毎月勤労統計調査(2020年6月分結果確報)

2020年8月25日に厚生労働省から毎月勤労統計調査(6月分確報)が公表されました。この調査は月間現金給与額や月間実労働時間数等を調査するものです。調査結果を同省ウェブサイトから引用します。

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調査の内訳が一般労働者とパートタイム労働者に分けられています。一般労働者とはパートタイムではないいわゆるフルタイムのことで正規雇用と非正規雇用の両方を含みます。

現金給与額が前年比マイナス2.0%ですが一般労働者はマイナス2.9%と大きく減り、パートタイム労働者は0.9%増です。一般労働者の所定内給与は微減で所定外給与がマイナス25.2%と大幅減、特別に支払われた給与がマイナス3.6%です。パートタイム労働者でも所定外給与は大幅減ですがもともと所定外給与の絶対額が少ないのと、絶対額は多くないものの特別に支払われた給与が35.5%増となったためプラスになっています。

ちなみに所定外給与とは主に残業手当であり、特別に支払われた給与というのは通常はボーナスが主ですが今年に関してはコロナ関連の特別の手当も含まれていると思われます。コロナ禍の影響で一般労働者では残業の減少が響き、パートタイムでは特別な手当が増えたことが分かれ目になったようです。

次に賃金の前年比、前年同月比の要因分解を引用します。

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実はコロナ以前に名目賃金の伸びの足を引っ張っていたのはパートの比率の増加でした。一般労働者の賃金は伸びていたしパートの賃金も多少は伸びていたけれどパートの比率が増えたため平均値が伸び悩んでいたのです。しかしコロナ以後はパートの比率がむしろ減少に転じ、残業の減少で実賃金が落ち込んでいる様子がうかがえます。一般労働者数が前年比1.5%増なのに対しパートタイム労働者数は前年比1.5%減となっています。コロナの影響で解雇や雇止めが進んでいるのでしょうか。パートタイムの平均賃金が上がっているとしても中身は素直に喜べるものではないのかもしれません。

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