読書ノート 「増補 複雑系経済学入門(著:塩沢由典 ちくま学芸文庫)」
1.はじめに私は大学では法学部で学んだのですが一般教養課程において経済学の講義を取りました。当時、ミクロ経済学に対して強い違和感を感じたことをよく覚えています。本書は私が学生の頃に疑問に感じたことに対しストレートに答えを与えてくれています。
市場(しじょう)という言葉を聞いた時、真っ先に市場(いちば)が思い浮かびます。そしてミクロ経済学では市場価格は需要と供給によって決まるとし、神の見えざる手が国民経済をまるで一つの市場(いちば)のように取り仕切り皆が一斉にオークションに参