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このまま帰せない

メンタルクリニックに行く、
前の週のことでした。


あれ?
机の上に置いていた資料がない。
探しても見つからない。
同僚に聞いてみるも知らないとのこと。

んー
困ったぞ。




…あったよ、ゴミ箱の中に。
誰が捨てたんだよ。
まぁ誰かは探さずとも分かる。

その翌日からも、
ちょいちょい机の上から資料が消える。
消えた代わりに
誰かの仕事が置いてあったりする。

離席するために、
机の上に何一つ資料を置かないようになった。
資料はなくならなくなったけど、
仕事は増やされていく。
卓上になくても、
PC上に送られていたりする。

地味にきついな。
きついなー。
と思っていたら、
ある日職場で涙が止まらなくなった。

メンタルクリニックでもらった、
困った時に飲んだらいい薬
を飲んだ。

少し落ち着いた気がする。


翌日の朝ベッドから出られなかった。
強烈な吐き気と、
倦怠感。
というよりも無気力。

仕事になんてとてもいけなかった。

この状態を先生に連絡しなきゃ。


「先生から今日中に病院に来れますか?と聞か  
  れてます」

「行きます」

「時間は空けてくれるそうです
 先生からの伝言です
 車は運転しないこと
 電車で来るなら列の先頭には立たないこと」


死んでたまるか。
まだそれぐらいの気持ちは残っている。



診察室に入る。
先生に近況を話しながら号泣。

「バストロさん
 ちょっと点滴打ってもらお

 あなたをこのまま帰せない
  少し眠ろう
 少し栄養を体に入れよう

 もう穴に落ちかけてるから
 このまま落とすわけにはいかないんだよ」

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