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想像しよう 創造しよう_小学校図工授業でSDGsを考える01

いよいよ3月。学生にとって卒業のシーズンが近づいてきました。
今回私たちは、もうすぐ卒業を迎える新渡戸文化小学校6年生に、「つくることを通じて想像することを創造しよう」をテーマに授業が行われるということを聞き、VIVISTOP NITOBEに見学に行ってきました。

VIVISTOP NITOBEとは、新渡戸文化学園内にある、教室や教科、学年など、これまでの学校の仕組みを越え、先生も生徒児童も、ともにつくり、ともに学ぶことができるクリエイティブラーニングスペースです。ここでは、面白い授業が行われています。例えばVIVISTOP NITOBEにあるこの面白い形状の椅子は、「VIVISTOP NITOBE FUNITURE DESIGN PROJECT/2020」というプロジェクト内で、5年生が高知県佐川町のデザイナーと一緒に実際に使える椅子として製作されたもの。プロジェクトでは、アイデア発想、図面制作、模型制作、発注書づくりまで本格的な授業が行われました。
子ども達もこの椅子がお気に入りで、今回の授業の際にも人気の椅子がある席から埋まって行きました。

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今回の企画は、以前から教室・空間リノベーションの企画を担当していた新渡戸文化小学校の山内佑輔先生と、現在同校のリニューアルを行われている、株式会社船場、”モノ”の新しい価値と流れを生み出す“リマーケティングビジネスを展開されている、株式会社モノファクトリーがタッグを組んで実現したそうです。

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もうすぐ卒業する小学6年生の生徒と一緒に、リノベーションして学校を賑やかなアート空間にしたい!一人一人にとって中学に行っても学びになる意味のある時間にしたいという多くの大人たちの想いで、合計4回の特別授業が開催されます。

企画概要

新渡戸文化小学校6年生授業記念ワークショップ
小学校図工授業でSDGsを考える。廃材を利用し通学路のリノベーションを行い環境問題やSDGs 、ディスプレイデザインについて学ぶ体験型特別授業

●第1回目:SDGsを考える。
       様々なマテリアルに親しむ
●第2回目:アートボードを作ろう−1
          テーマを決めよう
●第3回目:アートボードを作ろう−2
       ディスプレイを考えよう
●第4回目:ギャラリー鑑賞会
       作品をフェンスに飾り付け、鑑賞し記念撮影をする

授業講師:山内佑輔
主催新渡戸文化小学校株式会社船場株式会社モノファクトリー

SDGsとは?

昨今、外務省のポスターや様々な企業の取り組みで注目を浴びるようになったSDGs。小・中学校でも授業が行われるようになってきました。

SDGs(エスディージーズ)」とは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称であり、2015年9月に国連サミットで採択された2030年までに達成するために掲げた国際社会共通の目標です。
17の目標とそれを達成するためのより具体的な169のターゲットで構成されています。一度は見たことがあるかと思いますが17の目標は下記です。

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SDGsは、普遍的な目標として「誰も置き去りにしない」という約束を掲げています。
今回の授業の目的は、SDGsが何なのか?ということを学ぶことではありませんが、普段私たちの身近にあるモノの背景を知って想像し、新しい価値を創造することで、海や陸の環境は守られるかもしれない。
そしてそれは結果的にSDGsにつながっていきます。

第一回目の授業の今日、初めに株式会社船場の神戸さんより、現在行われている新渡戸文化学園の教室リニューアルの様子が子どもたちに伝えられました。子ども達は自分たちの学校がリニューアルされることに興味津々。
今回のリニューアルでは子ども達の意見も取り入れながら、楽しく居心地のいい学校生活になるような空間づくりを目指して進められているそうです。

そして神戸さんより、世の中から不要と言われているものをもう一度使ってアート作品を作り、学校の空間をみんなと一緒にリノベーションをしたいという提案がされました。

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その後、株式会社モノファクトリーの中台さんにバトンタッチ。
普段何気なく手に取っているモノにどんな人が関わり、どこから来て消費されるのにどんな廃棄物がでるのか、廃棄後にどんな問題が生じているのかについてのお話を聞きました。日本はどれくらいのゴミを排出しているのか、またそのゴミの処理が国内で賄えず輸出されていたという事実を初めて知り衝撃を受ける子ども達。
現在プラスチックが海洋汚染の要因になっていることが問題となり、ストローやトレーが紙製になったり、土に溶けるプラスチックなどに代わってきているのをよく目にします。一見すると環境に優しいようにも思えますが、実は素材を混合した商品にすることでリサイクルしずらいという面もあります。プラスチックを違う素材に変えたことで、全ての問題が解決するのか?というお話が印象的でした。

プラスチックは環境汚染の原因となるとして使用を除外したり、代替材料が検討されていますが、不要なもの=ゴミではなくそれぞれの使い方を考えることが必要です。
大人が考えないようなことを子ども達が想像して、新しい使い方を創造することで、近い将来ゴミとして捨てなくてもいいかもしれない。

そういった想いも共有しながら、一緒に考え、作品を作り上げる事に大きな意味を感じました。

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次回からはいよいよワークも交えた授業の様子をお伝えします。

<講師紹介>

山内 佑輔(やまうち ゆうすけ)
新渡戸文化小学校 プロジェクトデザイナー/VIVISTOP NITOBEチーフクルー/SOZO.Ed副代表/Microsoft Innovative Educator Expert
<プロフィール>実社会と学びを繋ぐ授業をデザイン。ワークショップの手法をもちいて、子供たちのクリエイティビティを育む環境をつくりだす。 学校内では様々なアーティストや専門家、企業と連携した授業を実践。2020年4月から新渡戸文化学園へ移り、VIVITA株式会社と連携しVIVISTOP NITOBEを開設。「教室や教科、学年などの枠をなくし、教師も生徒も共につくり、共に学ぶ」を掲げ、新しい学びのあり方を模索したり、放課後の子どもたちの活動を拡張中。 学校外ではTechnology×Creative×Artをキーワードに各地でワークショップやイベントを展開。キッズワークショップアワード優秀賞を受賞。出張図工室プロジェクト「山と水の図工室」の活動では東京新聞教育賞を受賞。その他にも、地域と連動した創造型プロジェクトに複数携わる。二児の父。

神戸 暁(かんべ あきら)
株式会社船場 エシカルデザイン本部 副本部長 General Manager 一級建築士
<プロフィール>
1979年生まれ愛知県出身。2004年、株式会社船場に入社。商業施設の総合開発を主業とする船場において、空間デザイナーとしてアパレルショップ、カフェ、レストラン、商業施設の環境デザインなど、幅広いプロジェクトを手掛ける。ユーザーの体験価値とブランドイメージを高めるデザインを得意とし、近年では大学や小中高の学校といった「学びの場」づくりや、パブリックなサービス環境の設計などボーダレスに取り組んでいる。2021年より新設されたエシカルデザイン本部にて「再生」をテーマに循環型リノベーションサービスの構築を進めている。
代表作に、近畿大学次世代型新食堂THE CHARGING PIT&DINER(2020ディスプレイ産業賞優秀賞)、滞在型カーディーラー コンクエスト(2019ディスプレイ産業賞入賞)、角川ドワンゴ学園N高等学校通学キャンパス、ホテルグランヴィア大阪スカイダイニング等多数。

中台 明夫(なかだい あきお)
株式会社モノファクトリー コンサルティング事業部 リマーケティング課 課長
<プロフィール>
1976年生まれ、群馬県出身。株式会社モノファクトリーは「発想はモノから生まれる」をコンセプトに、廃棄物業界で培ったノウハウを生かし、これまでの業界にとらわれない斬新なアイデアと他業種とのコラボレーションで、使い終わった後の先を考える、循環を前提とした社会の実現を目指している。「モノ」の背景を想像するプログラムづくりを行っている。身近な課題から世界的な流れを考えつつ廃棄物由来のモノの魅力を生かした内容は子供だけでなく大人にも好評で、今回のような環境についての授業や講演を学校や企業で行いながら、循環ビジネスについてのコンサルティングを行っている。株式会社VIVITAとはWSや企画協力を行っており、新渡戸文化学園ともSDGs授業やリモート授業を行っている。

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