ブルース&ソウル・レコーズ

日本で唯一のブルース/ソウル/ゴスペルの音楽専門誌『ブルース&ソウル・レコーズ』の公式…

ブルース&ソウル・レコーズ

日本で唯一のブルース/ソウル/ゴスペルの音楽専門誌『ブルース&ソウル・レコーズ』の公式noteです。出版社トゥーヴァージンズのnoteへ移行いたしました。https://note.com/twovirgins

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  • ブルース&ソウル・レコーズ新刊情報

    ブルース&ソウル・レコーズの新刊情報をお知らせしています!

  • 伝えておきたいブルースのこと50

    2015年にブルース&ソウル・レコーズ増刊号として発行された「伝えておきたいブルースのこと50」をBSR note用に特別公開します

  • 【SPECIAL INTERVIEW】

    【SPECIAL INTERVIEW】の記事をまとめています。

最近の記事

ブルース&ソウル・レコーズ No.173 追悼特集 ティナ・ターナー 人々に力を与えた不屈のロックン・ソウル・シンガー 好評発売中!

今年5月24日に亡くなったティナ・ターナーは、圧倒的なステージ・パフォーマンスをみせたシンガーとして伝説的な存在です。60年代に夫婦デュオ、アイク&ティナ・ターナーとしてデビューし、その名は世界的に知られることになりました。そして80年代にソロ・シンガーとしてさらなる飛躍を遂げます。シンガーとしての成功に加え、私生活の苦難を乗り越えた彼女の姿は多くの人々に力を与え、その中にはビヨンセやリゾといった次世代のスターたちもいました。本特集では彼女の歩みを追い、その功績を讃えます。

    • ブルース&ソウル・レコーズ No.172 特集 「70年代ソウルの基礎知識 Pt.2: マーヴィン・ゲイとモータウン」 6月23日発売!

      ソウル入門特集[70年代編]の第2弾は、世界で最も有名なソウル・アルバムの一枚、マーヴィン・ゲイの『ホワッツ・ゴーイング・オン』を生み出した、70年代のモータウン・レコードを紹介します。スティーヴィ・ワンダー、ジャクスン5など、70年代のモータウンを代表するアーティストや、知る人ぞ知る作品まで、アルバム150枚を取り上げています。 ★ 魔法はつづく/モータウンの70年代[濱田廣也] ★ マーヴィン・ゲイ『ホワッツ・ゴーイング・オン』を再考する[1]明日に向けて 内と外との対

      • 【伝えておきたいブルースのこと】㉕黄金のマディ・バンド

        ロックを生んだシカゴのアンサンブル  南部からの黒人の流入が増加するとともに、シカゴの街に響く南部流ブルースの音が大きくなっていく。1943年にミシシッピからシカゴへとたどり着いたマディ・ウォーターズ(本名マッキンリー・モーガンフィールド。1913-1983)は、当初はシカゴの先輩たちの洗練されたブルースに倣ったが、1940年代後半にはギターをアンプに通し、ミシシッピ・デルタで培ったディープ・ブルースを唸り始めた。  その本領が発揮された南部風味のエレクトリック・ブルース

        • 【伝えておきたいブルースのこと】㉔大都会の輝きに惹かれて

          シカゴ・ブルースとマックスウェル・ストリート  「シカゴ・ブルース」。その名称はブルース・ファンの心を大いに奮わせる。文字通り、全米三位の人口を誇る大都市、イリノイ州シカゴで発展したブルースを指す。  第一次大戦時から増加した、南部黒人たちのシカゴへの移住によって、1930年にはニューヨークのハーレムに次ぐ規模となる黒人居住区がサウス・サイドに生まれた。ブラック・ベルトとも呼ばれる同地区には音楽も溢れていた。  まだ本格的にエレキ・ギターが導入される前の1930年代から

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          3本
        • 伝えておきたいブルースのこと50
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        • 【SPECIAL INTERVIEW】
          4本

        記事

          【伝えておきたいブルースのこと】㉓ブルースの都メンフィス

          荒削りが魅力のサザン・ブルース  現在は人気観光スポットとなっているメンフィスのビール・ストリート。かつてそこは南部から腕自慢のミュージシャンが集まる、最新の音楽に溢れた場所だった。二十歳のB・B・キングにとってそこは「天国のように見えた」。  第一次大戦以降、南部から北部へと移住する黒人の数は増え続けていた。メンフィスやセント・ルイスはその中継地点として栄えた街だ。人の集まるところに音楽あり。メンフィスは黒人音楽の都のひとつであった。そこにレコーディング・スタジオを構え

          【伝えておきたいブルースのこと】㉓ブルースの都メンフィス

          【伝えておきたいブルースのこと】㉒電波に乗ったブルース

          人気ラジオ番組と黒人DJの登場  力のあるミュージシャンの影響はどのように広まっていったのか。生演奏を直接見ることもあれば、レコードを通して学ぶこともあった。1940年頃からはラジオ番組がその役割を果たしてきた。ブルースの電波ジャックは50年代に入ると勢いを増していく。  1938年、アーカンソー州ヘレナのラジオ局KFFAで始まった番組「サニー・ボーイのコーンミールとキング・ビスケット・ショウ」は、その後「キング・ビスケット・タイム」の名で親しまれた。番組の顔、サニー・ボ

          【伝えておきたいブルースのこと】㉒電波に乗ったブルース

          【伝えておきたいブルースのこと】㉑ワイルドなヴァイタリティ

          ヒューストンの泥臭ジャンプ・ブルース  「ジャンプ・ブルース」(略してジャンプ)も曖昧なサブ・ジャンル名だ。直訳すれば、跳び上がるような、小躍りするようなブルースということになるか。ジョー・ターナーの〈(ウィア・ゴナ)ジャンプ・フォー・ジョイ〉を聴いてみるとその感じがわかるかもしれない。  ジャンプはリズム&ブルースとほぼ同義語ともいえる。主に1940年代から50年代にかけて生まれた、ブギのリズムをベースにしたブルースで、管楽器がジャズ的ハーモニーを付けるバンド・サウンド

          【伝えておきたいブルースのこと】㉑ワイルドなヴァイタリティ

          【伝えておきたいブルースのこと】⑳カクテル・ブルースに酔う

          ロサンゼルス〜西海岸の洒脱なブルース  カリフォルニア州ロサンゼルスを中心とした、1940年代後半から50年代にかけての西海岸のリズム&ブルース・シーンは、ルイ・ジョーダン&ティンパニー・ファイヴの成功の影響もあったのか、スモール・コンボの活躍が目立つ。  1946年から53年にかけてジューク・ボックス/スペシャルティ・レコードから19曲連続でR&Bチャートのトップ10に送り込んだロイ・ミルトン。45〜51年にエクスクルーシヴ・レコードとスペシャルティから合わせて13曲を

          【伝えておきたいブルースのこと】⑳カクテル・ブルースに酔う

          【伝えておきたいブルースのこと】⑲独立レーベル戦国時代

          レコード産業の隆盛と〝戦後ブルース〟重要レーベル  1945年に第二次世界大戦が終り、不足していた78回転盤レコードの原料であるシェラックの供給が再び始まった。それもあって1940年代後半には各地で独立レーベル(レコード会社)がぞくぞくと誕生する。そこから新しい時代のブルース/リズム&ブルースが生まれていった。  終戦の年にギルト・エッジという小さなレーベルから発表され、R&Bチャート1位の大ヒットとなったセシル・ギャントの〈アイ・ワンダー〉に触発されて、早くも同年にロサ

          【伝えておきたいブルースのこと】⑲独立レーベル戦国時代

          【伝えておきたいブルースのこと】⑱電気の力でパワー倍増

          エレクトリック・ブルース  登場時、エレキ・ギターに求められたのはなにより音量だった。クラシックのコンサートのように聴衆が静かな場所ではなく、おしゃべりや怒号、ときどき銃声まで飛び交う夜の酒場でブルースは奏でられた。アコースティック・ギターの音はかき消されがちで、共演するピアノや管楽器の音に隠れてしまうこともあった。そのため共鳴板の付いたリゾネイター・ギターやサム・ピックを用い、少しでも音を大きくする工夫がなされた。  エレキ・ギターの登場は1930年代に入ってからで、ブ

          【伝えておきたいブルースのこと】⑱電気の力でパワー倍増

          【伝えておきたいブルースのこと】⑰リストラで進化

          華やかに浮上するリズム&ブルース  リズム&ブルースという言葉はやっかいだ。1949年に当時ビルボード誌の記者だったジェリー・ウェクスラーが、黒人音楽のレコード・チャート名「レイス・レコード」の代わりに付けたのが「リズム&ブルース」だった。その名から「リズムの強調されたブルース」を指す言葉として使われたり、広くブラック・ミュージックを指す言葉としても浸透している。非常に曖昧な言葉である。  ここで言う「リズム&ブルース」をおおまかに定義するならば、1940年代から登場した

          【伝えておきたいブルースのこと】⑰リストラで進化

          【伝えておきたいブルースのこと】⑯ブギ・ウギしなけりゃ…

          ピアノが生んだ根幹ビート  「スウィングしなけりゃ意味が無い」という曲があるが、黒人音楽の歴史を見ると「ブギ・ウギしなけりゃ……」と言いたくなる時代があった。ブルースと同じく、19世紀の終りに誕生したといわれるブギ・ウギは、ピアノによるダンス音楽として発展した。テキサス州で生まれたという説が有力だ。材木の伐採場で働く黒人労働者たちが多く集まった飯場の娯楽としてピアニストたちが重宝されたという。  ブギ・ウギは1小節に8つのビートがある。そのビートを生み出すピアノのベース・

          【伝えておきたいブルースのこと】⑯ブギ・ウギしなけりゃ…

          【伝えておきたいブルースのこと】⑮〝クサい〟ジャズにコロり

          ブルースと分かち難いアーリー・ジャズ  ブルースに夢中になり始めた頃に手にした『ブルース・レコード・ガイド・ブック』、そこに佐々木健一氏責任監修による「ジャズ」という章があった。ブルースのガイドになぜジャズが? ルイ・アームストロング、カウント・ベイシー、デューク・エリントン、ビリー・ホリデイなど、ジャズの歴史に必ず出て来るような人もいたが、まったく耳にしたことのない作品が並んでいた。ブルースとジャズがどれほど近くにあるのかまったく知らずにいたため、驚くとともに、そこで紹介

          【伝えておきたいブルースのこと】⑮〝クサい〟ジャズにコロり

          【伝えておきたいブルースのこと】⑭ブルース、街へ出る

          洗練されたシティ・ブルース メディシン・ショーや放浪のミュージシャンたちによってブルースが南部の各地に広まっていった一方で、都市では独自のブルースが生まれていた。  カントリー・ブルースに対する「シティ・ブルース」(都市の/街のブルース)という言葉がある。南部の農村地帯で主にその地の人々を楽しませるために演奏していたミュージシャン/ブルースマンたちの作品は、いわばその地域特産のブルースといったもので、他地域のスタイルとは異なることが多かった。シティ・ブルースは、より定型化

          【伝えておきたいブルースのこと】⑭ブルース、街へ出る

          【伝えておきたいブルースのこと】⑬黒猫の骨とウサギの足

          アメリカ南部の土着フォークロア  ブルースの常套句として数々の曲に使われてきた一節だ。マディ・ウォーターズ〈ガット・マイ・モージョ・ワーキン〉、ライトニン・ホプキンス〈モージョ・ハンド〉、J・B・ルノアー〈モージョ・ブギ〉など、「モージョ」を歌った曲は多い。 「モージョ」とはアメリカ南部黒人の間で広まった民間伝承(フォークロア)の「フードゥ hoodoo」で用いられるまじない道具。ブルースの歌詞の中では、主に異性を惹き付けておくための道具として登場する。なおモージョを入れ

          【伝えておきたいブルースのこと】⑬黒猫の骨とウサギの足

          【伝えておきたいブルースのこと】⑫ブルースは借り物でなく

          米国南部の白黒音楽交流  「アメリカ黒人の心の叫び」といったブルースのイメージは現在でも一般的なのだろうか。ブルースは彼らアメリカ黒人の心情が色濃く出た音楽であるのは間違いないが、「黒人だけのもの」と考えるのは注意が必要だ。  法律に基づく人種分離が行なわれていたとはいえ、音楽においては黒人と白人の交流はかなり濃密に行なわれていた。そのひとつの例が、1920〜30年代にミシシッピで最も人気が高かったといわれるストリング・バンド、ミシシッピ・シークスに見られる。  ミシシ

          【伝えておきたいブルースのこと】⑫ブルースは借り物でなく