備忘録:ムルソーの謎その1

相互さんが興味深い記事を上げておられて、いくつかやり取りをしたので、忘れないようにめもめも。

ムルソーの位置については、ギリシャ神話やラテン語が噛んでいます。
たとえば、アルファベット表記、Meursaultの語源はラテン語のMuris Saltusに由来し、「ハツカネズミのジャンプ」などの意味になります。
Murisはハツカネズミ(Muriは城壁)、Saltusは森林の意。

ここにもネズミの影がちらつきましたね~。

また、中也(?)が侵入して、ムルソーの異能戦即応部隊「ヘカトンケイル」を全滅させていますが、ヘカトンケイルはギリシャ神話で「百の手を持つ巨人」の3兄弟のことです。
その次男の名前こそ、吸血種化した中也に敗れた特務護衛官、「百手異能」の異名を持つ「ブリアレオス」です。

ブリアレオスはまたの名を「アイガイオン」と言いまして、海に関係する言葉となっています。例えば、「アイガイオン・ペラゴス」はエーゲ海のことらしいです。また、ブリアレオスはエーゲ海の海底を支配していたという説があります。

ただし、僕は素直に海と結びつけるのはカフカ先生に一杯食わされる危険性が高いとも思っています。
もしかしたら森林の中にあるかもしれないし、湖の中に沈んでいるかもしれません。洋上ヘリポートという言葉を、端から信じていません、ええ。

別の相互から入手した参考資料として、こんなものがあります。

重水の存在比率の表

重水って、製造するものでもあり、採取することも不可能ではない物質なんですよ。なんで重水なのかは深くは触れないと決めたのでここまでにしますけど。

ちなみに、重水のメイン用途である原子炉(重水炉)からの連想ゲームで、ムルソーって原潜かもよ?ってアイデアも閃きましたが、それはさすがに位置の特定が無理ゲーですね。
脱走させるのを本気で防ぐなら、面白いとは思いますが。
ただ、現実の原潜は重水炉ではなく、ほとんどが加圧水型の軽水炉を搭載しているはず…です。

なお、相互さんから、15巻p.169の背景にある地図が、欧州の説明のはずなのにやたらと北にオフセットしていて「北海」を指していませんか、と教えていただきました。
大司令は南極基地から運び出されていますし、極圏は列強の共同支配地域なのかもしれませんね。

さて、ここからはムルソー内部の構造について。
ものあしさんの考察を参考にしつつ、僕からもいくつか提示しておくべき事柄を。

ハニカム構造(honeycomb;蜂の巣)や球体というのは、構造的に非常に強固です。無眼賽室…賽は立方体、もっというとサイコロのこと…とはかけ離れた姿になってしまいましたが、アニメ的な描写としては正しいのかな、と思います。
ちなみに、僕はなんとなく、母体(子宮)と胎児のようにも感じられましたし、直感的にはスター・ウォーズの「元老院」のようにも感じられました。

さて、ここでは頂いたご質問に返信する形で、自分なりの考察とします。

Q1
なぜ、対異能物質で包まれた太宰たちが時間停止異能の影響を受けたのか。

A1
様々な描写から、
・特異点は観測可能
・しかも能力者ごとに識別可能
と思われます。
そうすると、異能は「ある種の信号を発し」、なおかつ「それが固有のパターンになっている」と推測できます。つまり、個別に識別することが可能。
種田長官の異能も、同じような原理ではないでしょうか。
対異能物質も万能素材ではないと考えられ、たとえば、
α:汎用的に異能に対抗できるが、効力が弱い
β:効力が強いが、個人に最適化したオーダーメード
のような仕様が考えられるのです。
凶悪犯罪者揃いの無限賽室では、個別最適化した独房が必要ですから、ここで言うところのβ素材でないと危険でしょう。
時間停止異能者の異能は、太宰やドストエフスキーに最適化された対異能物質の檻を貫通したと考えられます。

Q2
無限賽室で監獄が浮遊している意味は?

異能空間(無限賽室)と対異能物質である独房が接触したら、正物質と反物質が接触した場合に起こる「対消滅反応」のような危険な反応が起こるからでは?
反物質はプラズマに封じて正物質に触れないように保管する方法が提案されています。
無限賽室の独房は、異能?で浮遊させておく方が安全だと考えられたのではないでしょうか。

さて、最後に今、頭を悩ませている問題です。
ムルソー、無限賽室の独房のサイド部分。
円形のぐるぐる回っているところですが、どうも文字のようなものが見えますね。
これの解読ができないか、語学の鬼である相互と研究中です。
別の相互さんからは、アラベスクっぽいよね、とご指導いただきました。
アラビア語なのか、はたして……。

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