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【私的Disc Review-006】 Dizzy Gillespie Y Gonzalo Rubalcaba ‎– Gillespie En Vivo

この暑さのせいか?コロナ禍の影響なのか?昼間は表を人があまり歩いていない。観光客らしき人は表通りにチラホラ見かける。
夕方になって気温が少し下がり、気持ちいい川風が吹き始める頃、人が表に出てくる。植木の水やり、犬の散歩、買い物、皆それぞれの「やること」のため家から出てくる。
「こんちわ!レコード見せてくれんけ?」隣家のおじさんが来た。
うちの親と同世代で70代前半くらい。俺と同じ歳の娘さんがいたような気がする。ここに来た時から昼でも夜でもJAZZやLatinの音色が隣家から聴こえてきていたので音楽好き&オーディオ好きだということもわかっていた。

うちの町内は世帯で言って30世帯くらいだろうか?
みんな顔見知りといった感じだ。
その町内にもう一人音楽好き&オーディオ好きのおじさんがいて、自分も含め3人も音楽好き&オーディオ好きがこの小さな町会に生息している。
そのほかにも町内会は違うがうちの前をよく通るおじさんがいる。
真空管のフォノイコやアンプをハンドメイドしているおじさんで、この人がまた面白い。金沢のオーディオ関連の人で結構有名な方だ。
世代は隣家のおじさんと同世代。
自作のアラレちゃんキャップを被り作業着姿で髭がダリ風。
これだけを聞いたらかなり怪しい人物と想像されるだろうが全くそんなことはない。自作アラレちゃんキャップもダリの髭にも、心がほのぼのとする理由があるのだ。

「児童の登下校の見守りをやっていてこの帽子被ると子供が懐ついてくれるんや。」

金沢は人口46万人。その規模で中古レコード屋さんが6件もある。
それに付け加え「蓄音器博物館」、「金沢工大レコードライブラリー」(所蔵は25万枚!)という施設もある。
全国でもこんなにレコードにまつわることが多い街は珍しいんじゃないかと思っている。そんなに大きな街でもないのに。

「これ聴かせてもらえんけ?」

隣家のおじさんは一枚のレコードを棚から取り出す。
Dizzy Gillespie Y Gonzalo Rubalcaba ‎– Gillespie En Vivo
さすがお目が高い。

Dizzy Gillespie Y Gonzalo Rubalcaba ‎– Gillespie En Vivo

Alto Saxophone [Saxo Alto] – Manuel Valera, Sayyd Abdul Al Khabyyr
Drums [Bateria] – Nasyr Al Khabyyr
Flute [Flauta] – Rafael Carrasco
Piano – Gonzálo Rubalcaba, Walter Davis
Synthesizer [Teclado Roland] – Hilario Durán
Trumpet [Trompeta] – Arturo Sandoval, Dizzy Gillespie, Lazaro Cruz Olmos

1985年ハバナでのライブ録音盤。
Dizzy GillespieもすごいのだがキューバのピアニストGonzálo Rubalcabaが凄い。
この当時で若干22歳。生き生きと若々しいピュアな感じもするピアノ。
相反してDizzyの深いシワを重ねたような厚みのあるドスの効いたペット。
対比がうまく構成されたLive。

録音も良く欧米諸国とはまた違う。
ブラジル、ジャマイカ、トリニダード、コロンビア、メキシコ。そんな南米盤の音ともまた違う、社会主義国の国営レーベルにおける国家的威信みたいな、ものすごくいい録音。旧ソ連のもそうだけどイメージ的に音質悪そうなイメージあるけど決してそんなことはなく、音質はすごくいい。ただしなんか独特の音でもある。
またこれが旧ソ連のJAZZ FUNKとかCUBA盤のレコードを探し始めた理由かもしれない。

このアルバムで一番Afro CubanでJazz Funkを感じれる曲
Miela And Hanay

隣家のおじさんはスピーカーの前に立ち目を閉じて体を揺らしていた。
なんというか。いい曲を世代を超えて共有し合えるってなんかいいなと思った。

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