見出し画像

【月刊Winkees】Vol.8月号「課題と暗雲と希望と」

 前回の創刊号に続き,2回目の更新となります。なお,今回は8月12日現在の状況で作成しております。

①浮き彫りとなった打線の溝

 開幕後,7連勝を飾るなど絶好調の滑り出しを見せたヤンキース。しかしPHI-TBとの8連戦では3勝5敗と負け越しをするなど突如低空飛行の様相を見せ始めた。これは前回記事のアーロン・ジャッジのテイクオーバー・ランが止まったタイミングと同じであり,本塁打の有無がチームの勝敗を大きく左右していることを改めて認識させてくれた。 

 ここまで18試合を消化し,ジャッジのような好調選手と例年通りの働きを出来ていない選手との差が浮き彫りとなってきたように思える。主な野手の成績は以下の通り。

○好調選手
Aaron Judge OF
AVG.290 9HR 20RBI .343/.758/1.101

D.J LeMahieu 2B
AVG.400 2HR 7RBI .455/.517/.971

Gio Urshera 3B
AVG.288 3HR 13RBI .367/.538/.905

Luke Voit 1B
AVG.261 5HR 11RBI .333/.587/.920

Giancarlo Stanton OF/DH ⇒8/10故障😔
AVG.293 3HR 7RBI .453/.585/1.038

○不調選手
Gleyber Torres SS
AVG.151 1HR 2RBI .250/.226/.476

Gary Sanchez C
AVG.093 1HR 3RBI .204/.186/.390

Aaron Hicks OF
AVG.220 1HR .396/.366/.762

Brett Gardner OF
AVG.184 3HR .262/.447/.709

 ジャッジについては連続本塁打が途切れたとはいえ,順調に本数を重ねており,以前MVPレース筆頭といった活躍を見せている。また昨年からヤンキースに加入し,不動の1番打者として君臨しているラメイヒューは新型コロナウイルス感染により出遅れたものの,打率.400を残す最高の出だし。アルシェラは昨年のブレイクアウトが決してまぐれでは無いことを着実に証明。ボイトについても同様で,移籍3年目にしてチームに欠かせない主軸としての働きを示している。そしてスタントンは前回も記したように移籍後最高のパフォーマンスを見せていたが先日のレイズ戦にて負傷離脱。いまのところ10日以上の離脱が見込まれている。

 そしてなかなか調子があがらないのが上記の4選手だ。ヒックスは低打率ではあるものの,2018年頃のBB%に戻っているため以前高出塁率を保っているため,これからの成績向上に期待している。ガードナーも開幕数試合から徐々に成績を挙げてきており,そこまで問題視はしていない。

 問題はトーレス,サンチェスの若手コア2名である。昨年チーム最多の38HRを残すなど,今季の飛躍が期待されていたトーレスは開幕から全くエンジンがかからず,AVG.151 OPS.476 WAR-0.5というなかなかに悲惨なシーズンを送っている。サンチェスに至っては43打数で24三振という大型扇風機と化しており,ルーキーイヤーに打率3割を残した好打者の陰は見るも無惨になっている。

トーレスとサンチェスのアドバンスドスタッツは以上のとおり。サンチェスは依然としてリーグ屈指の打球速度を誇っているものの如何せんバットにボールが当たらない。本気で視力の低下を疑うレベルで空振りを連発しているのだ。今季の長打2本(2B&HR)についても振り遅れ気味のライト方向の打球であり,アプローチの改善が求められるだろう。

 一方トーレスは三振のペースは昨年と変わらないものの,打球が全く上がらない。ナショナルズ戦では本塁打を放つなど,今季も活躍することが確実視されていただけにその後の不振ぶりはヤンキースファン一番のストレスになっている。

 両名ともに守備で魅せるプレイヤーではないため,ストロングポイントである打撃で数字を残してくれないとチームにとってはマイナスであることは言うまでも無い。ジャッジ,セベリーノと共に「NEW CORE 4」とも評される彼らの活躍無しではチャンピオンリングはおろか,強豪犇めくア・リーグを勝ち抜くのも至難の業。早くヤンキースファンの手首をフル回転させてくれる日を待ち望んでいる。

②これが年俸39億円の馬力だ!

 昨オフ,ヒューストン・アストロズからFAとなったゲリット・コールを年俸約39億円(3600万ドル)で獲得したヤンキース。コール,セベリーノ,パクストンの最強3本柱によだれを垂らしたのもつかの間。セベリーノはTJ手術で今季全休。パクストンも背中の怪我により6月までの欠場が確定したのだ。(結局コロナの影響で開幕に間に合ったが)

 そんな中,エースとしての役割をしっかりと果たしているのがコールだ。ここまで4試合に登板し,ERA3.22 3勝を挙げている右腕。確かにK%や被打率などは昨年に比べ悪化しているものの,昨年4月のコールの成績を思えばこれから更にギアを挙げてくると予想。実際,勝ち負けは付かなかったものの8/9のレイズ戦では4回2/3を投げて10奪三振の快投。なかなか調子の上がらない先発陣を支えてほしいと願うばかりだ。

 今までハイライトでの奪三振集などではよく拝見していたコールの投球。いざヤンキースにきて一挙手一投足をみていると,様々なことが分かる。

 まず球速い。高めのフォーシームの出力えっぐい。あんなん絶対打てへんやん。(打たれないとは言ってない。)
 そしてコマンドが安定しない時でも馬力でゴリ押せる。成る程,これが39億円の投手なのかと分からせてくれる。
 あとどうでもいいんだけども,結構可愛い笑顔見せるのな。

コラム:「スタントン,逝く」

 なんでやねん、、!!なんでお前また怪我すんねん!!シーズン開幕遅れたおかげで復帰間に合ったのになんでまた怪我すんねん、、。いや,いずれ怪我するだろうなとは思っていたけど早すぎんねん。(去年よりはマシだけども)

 今季のスタントンはほんとによくやってて懸念されてた三振の多さも14試合で12三振と改善されてましたよね。そんで14四球選んでるものだからチーム2位のOBPとOPSを記録。理想の4番打者として君臨していただけにこの離脱は痛すぎますね。なんだろう,この「強敵が味方になった途端,弱体化or死亡」パターンに似た感じ。

 なんにせよ,ヤンキースはこれからスタントン無しで戦い抜く必要があります。代替要員としてクリント・フレイジャーがコールアップされてきましたしラインナップの強度をなるべく高度に保ちたいですね。

 その他,かねてよりゴリ推ししているマイク・トークマンも控えていますし,DHという面でみればマイク・フォードもオプションとして使用可能。なんとか踏ん張って欲しいです。

 ただ,一番怖いのが怪我から復帰したスタントンが以前の「打たんトン」「振らんトン」に戻る可能性が捨てきれないとこですね。ヤンキースファンはすぐに手のひらを返すのでどうか好調なスタイルのままで帰ってきてほしいですね。

8月号の今回はここまで。

(次回更新は9月初旬を予定)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?