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「独走」の狼煙を上げたヤンキース(雑記)

 2019年4月、ニューヨーク・ヤンキースは緊急事態に見舞われた。故障者、故障者、故障者に次ぐ故障者の続出だ。

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 この画像は4月20日にジャッジが離脱した時点での故障者の一部である。見ての通り本来想定していた主戦力の大半がIL入りするという事態に発展したのだ。まさに「絶望」。ファンの脳裏にはそんな二文字がよぎっていたのではないだろうか。
 同日までのヤンキースの成績は10勝10敗で首位のレイズとは3.5ゲーム差。首位を奪い返すにはこれ以上の故障者は許されない状況でのジャッジ離脱であった。

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 しかし,その後のヤンキースは大方の予想を覆す健闘を見せる。ロイヤルズとのカードを制すと,続くエンゼルスにも3勝1敗,ジャイアンツをスイープしていく。思えばこの窮地にあって,他地区の下位チームとの連戦が続いた対戦カードの恩恵も大きかったのだろう。
 5月に入るとその勢いは留まることなく加速していく。最初のダイヤモンドバックスとの連戦は落としたものの,続くア中首位ツインズに勝ち越すとそこから9カード連続勝ち越し。5月17日からのレイズ戦ではついに首位の座を奪い取ることに成功した。
 6月にはやや負けが込むことがあったものの,本日までに7連勝を果たし,75試合で48勝27敗,2位レイズに4.5差を空けて首位を維持している。当然5,6月の戦いの中で徐々に故障者達が戦線に復帰。遂に今日は「ALL RISE」ことアーロン・ジャッジが帰還した。彼の離脱期間の成績は37勝17敗というすざまじい戦果である。

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 ここに至るまで,本来はバックアップとして計算していたにも関わらず,目を見張る活躍を見せたルメイヒュー,フレイジャー,アルシェラ,メイビン,ヘルマンは勿論のこと,トークマンやエストラーダ,ウェイドらには惜しみない賛辞を送りたい。まさしく彼らがチームの屋台骨を支え,神輿を担ぎ上げたのだ。このままシーズンが終わった時にもヤンキースが頂点に立っているとすれば,この忍耐と執念の時期を思い返すことになるだろう。

 ジャッジが復帰する4日前,大きなニュースが飛び込んできた。マリナーズから主砲エドウィン・エンカーナシオンを獲得したというのだ。当時はスタントンが復帰し,ジャッジの復帰も秒読みという時期であり,若輩の私からすれば疑問符が付いてしまう補強であったものの,今日においては少し違う考えを持っている。前置きが長くなったものの,今後のヤンキースの展望について一つの考えを話して行きたい。

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恐怖のラインナップは「独走」の狼煙!?

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 これは今日のスターティングラインナップである。早速一番にはジャッジを置くとともに,二番には22本塁打(今日も1本塁打)のサンチェスという並び。後ろにもスタントン,新戦力のエンカーナシオンが続くという超重量打線である。予想通り,サンチェスやトーレスの一発でアストロズに連勝を飾った。
 しかし,ヤンキースにとってはこのラインナップは脅威の一部でしかないのだ。お気付きの方もいるかもしれないが今日のラインナップには17本46打点を挙げているボイト,得点圏打率1位(.470 39打点)のルメイヒュー,昨年27本塁打のヒックスが見当たらない。これはただの休養日であるが,されどレギュラーが3人スタメン入りしないというのは普通であれば相当な戦力ダウンである。
 彼らの代わりにラインナップ入りしたのがエンカーナシオンとアルシェラ,メイビンである。エンカーナシオンは23本塁打でアリーグ本塁打王,アルシェラは堅守が売りであるが打撃でもBA.307 OPS.815と奮闘,メイビンは4試合連続本塁打を記録するなど波に乗っている。するとどうだろう,レギュラー3人が休養しても全く見劣りしない打線が構築できるのだ。
 MLBはNPBと違い,試合の無い日が少なく,10数戦の連戦が続く時もあるのは周知のことであろう。そこに長距離の移動が重なるとどんな一流選手でもパフォーマンスへの影響は不可避だ。しかし,エンカーナシオンを獲得し,ジャッジらが復帰した今のヤンキースの戦力であれば,毎日ローテーションの様に主力選手を休ませながら戦うことができるのだ。
 下記についてはツイートでも雑記としてご紹介したものの,noteとしても残させていただくことにした。

ニューヨーク・ヤンキース野手版ローテーション

(2B/3B/SS)
①ルメイヒュー休養日
2B トーレス/3B アルシェラ/SS グレゴリアス

②トーレス休養日
2B ルメイヒュー/3B アルシェラ/SS グレゴリアス

③グレゴリアス休養日
2B ルメイヒュー/3B アルシェラ/SS トーレス

④アルシェラ休養日
2B トーレス/3B ルメイヒュー/SS グレゴリアス

 この通り,2BとSSを守れるトーレスと2Bと3Bを守れるルメイヒューを上手く廻らせることによって,全員が休養日を迎えても戦力を損なわないことが分かる。勿論これは2B/3B/SSに限った話ではない。

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(1B/DH)
①ボイト休養日
1B エンカーナシオン/DH スタントン

②エンカーナシオン休養日
1B ボイト/DH スタントン

③スタントン休養日
1B エンカーナシオン/DH ボイトor
1B ボイト/DH エンカーナシオン

 今までファーストの代替要員はケンドリス・モラレス(BA.177 OPS.562)のみであり,ボイト休養日には相当な戦力の低下が起こっていたし,そのためにボイトの休養日もなかなか作ることができなかったが,エンカーナシオンを獲得し,スタントンが復帰したことにより,ここも解消された。

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(OF)
①ジャッジ休養日
ガードナー/ヒックス/スタントン

②ヒックス休養日
スタントン/ガードナー/ジャッジ

③ガードナー休養日
スタントン/ヒックス/ジャッジ

④スタントン休養日
ガードナー/ヒックス/ジャッジ

 このように外野手でも4通りのパターンが生まれる。が,メイビンがいることを忘れてはいけない。彼をこのパターンに組み込めばさらにラインナップの幅は広がる。(ただし本日,そのメイビンが負傷。まだ詳細は不明だが万が一の時にはBA.283 11HRのクリント・フレイジャーも下で控えているために同じような起用ができるだろう。守備はアレだけど)
 当然,スタントンは先ほどの1B/DHでも名前を挙げている為に休養日とポジションの整合性を取る必要があるだろう。

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(C)
①ロマイン休養日

C サンチェス

②サンチェス休養日
C ロマイン

 流石にロマインではアリーグ本塁打王の穴は埋められない。がしかし,サンチェスを休ませても他のポジションでは戦力を低下させていないことに大いなる意味がある。サンチェスが休んだところでジャッジやボイト,エンカーナシオンらが並べられては実際問題,相手投手からしたら大した違いはないだろう。

 いかがだろうか。これが今後のヤンキースの布陣と一端である。DHにサンチェスやジャッジを起用するパターンを考えればさらに陣容は変化を見せる。ここまで休養日をメインに話をしてきたものの,対戦投手との相性や選手の調子を考えてラインナップを構築できるという観点からも非常に強力なことが分かるだろう。誰かがまた負傷しても相互にバックアップができる。まさにブロンクス・ボンバーズは万全の攻撃態勢で,ア東を意のままにしようとしているのだ。

どうなる!?スターターとブルペン陣

 雑記として綴っているので細かい成績までは挙げないが,現在のヤンキース先発陣は以下の通りだ。

田中    15試合 5勝5敗 防御率3.23
ハップ   15試合 7勝3敗 防御率4.59
サバシア  12試合 4勝4敗 防御率4.14
パクストン 12試合 5勝5敗 防御率3.75
グリーン  23試合 1勝2敗 防御率6.93(ブルペンデー)

 これからが楽しみな打撃陣とは裏腹に,勝ち頭であったドミンゴ・ヘルマンが負傷離脱し,更なる苦境に立たされたのが先発陣である。田中は安定感を見せているもののハップは悪い時期が長引き,パクストンも故障明けに成績を落とした。サバシアに至っては引退年にもかかわらず気迫でなんとか4勝を挙げている。

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 いくら打撃陣が強力とはいえ,序盤に大量失点を許してしまえばどうしようもない。エースであるセベリーノはオールスター明けからの復帰が濃厚であり,先発陣の整備は喫緊の課題であろう。
 先発陣の希薄は当然ブルペン陣にも影響を与えてしまう。オッタビーノ,ブリットン,そしてチャップマンなどリーグ屈指のリリーバーを有するヤンキースであっても,毎日のように彼らを登板させるのは好ましくない。打撃陣が7,8点取ったとしても先発が平気で5失点もしてしまえば彼らの休みは無くなってしまうのは容易に分かる話だ。

 今後のヤンキースにおいては,エンカーナシオン獲得やジャッジ,スタントン復帰によって余剰戦力となった選手を放出して先発陣を獲得するのが一つの手段であろう。(その余剰となったフレイジャーはメイビン次第でまた必要になるが)
 有識者であれば誰を獲得するのかを挙げるまでが一連の流れなんでしょうけど僕そういうのほんとにわかんないからこの辺にしておくね😔

 いずれにせよ,先発投手というピースが揃った時,ヤンキースが独走劇を見せるのではないか。と妄想😳


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