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【NYY】ヤンキースの前半戦をパパッと総括

君たちはこの順位予想noteを覚えているかね。

MLB30noteのライターがそれぞれの地区の順位を予想するといった企画。我らがニューヨーク・ヤンキースの1位票は僅かに1票。4位票に最多となる16票が投じられるなど,激戦区のALEにおいて厳しい評価を受けていました。
しかし!開幕から早3ヶ月!目の肥えたお歴々の予想を覆すNYYの独走っぷりに歓喜している同胞も多いことでしょう😤
僕が1位TOR-2位TB-3位NYY-4位BOS-5位BALの背信投票したのはもちろん内緒ダヨ😓)

正直,今季のNYYには嬉しい誤算が多くあったのも事実。ウハウハの前半戦を少しだけ総括し,後半戦・プレーオフへの課題も見ていけたらと思います。

(1)前半戦終了時点でのチーム成績

92試合を終えての戦績は以下のとおり。

64勝28敗(勝率.696)
アリーグ東地区1位
アリーグ全体勝率1位
MLB全体勝率1位
貯金 36
得点 497
失点 298
得失点差 +199

先述のとおり,開幕前は飛び抜けた総合力を有すブルージェイズが地区優勝筆頭であり,そこに前年地区優勝のレイズ,ALCSに進出したレッドソックスが追随する状況。ヤンキースは優勝以前にPS進出すら危ういと予想した人もいたかと思います。

しかし開幕してみればNYYは同地区のライバルを圧倒。
対TOR 8勝4敗
対TB  6勝3敗
対BOS 6勝4敗

と,満遍なく勝ち星を積み上げ,振り返ってみれば2位のTBに13.0G差を空けている状況に。たとえ残りの70試合を35勝35敗(勝率.500)で駆け抜けたとしても99勝ペース。これは2位のTBが残り70試合を49勝21敗(勝率.700)で終えてようやく1勝上回れる計算。地区優勝はほぼ手中に納めたといってもバチは当たらないかもしれません。

ブルージェイズはRyuの離脱,菊池の大不振が誤算だったでしょうか。傑出した打撃力が得失点差に表われていないのも投手力が影響しているように思えます。

レイズは間違いなく怪我人の続出が要因かと。むしろあんなに主力が抜けながらも一定の強度を保てているのはお見事。さすがやでぇ。。

レッドソックスは好不調の波が大きいようにも。逆にPSで最高潮にもっていければWS制覇できる戦力にも感じました。

また,当初コンテンダーと見なされていなかったオリオールズが予想以上に奮闘。NYYを除くALEの3球団相手に12勝12敗と5割をキープしてるのも印象的で,2位-5位の間がわずか5G差になるなど面白い展開に。BALのPS進出もひょっとすれば,,,。

(2)30球団最高火力を誇る打線

野手の平均年齢が唯一30歳を超えるなど,老人ホームと化したブロンクス・ボンバーズ。しかしネームバリューも屈指であっただけに不確定要素も多かったですよね。4月中旬までは非常に苦しい時期を過ごしましたが,以降は2桁得点を量産する質実剛健な重量打線を形成。ほとんどの主力が期待された働きを見せています。

打率.246(12位)
HR 157(1位)
得点 497(1位)
三振数 773(15位)
四球数 367(1位)
盗塁数 63(3位)
OBP.331(2位)
SLG.445(1位)
OPS.776(1位)
wOBA.337(1位)
xBA.265(4位)
xSLG.500(1位)
xwOBA.361(1位)
wRC+ 121(1位)
fWAR 21.9(1位)
rWAR 12.4(1位)

括弧内()はMLB全球団内での順位

ざっと主立ったStatsを見てみても,MLB全体1位の数字が並んでいます。真骨頂はHRと四球の多さでしょうか。ここの数字については他球団と大きく差をつけて1位となっています。
xStatsを見ても非常に優秀で,ボールのヒュミドールによって相対的な低反発化が招かれている今季のMLBにおいても頭一つ抜けた数字をたたき出しています。
例年リーグ下位のK%も今季はK%+=99とリーグ平均に保つなど頑張っています。

また,意外にも盗塁数が全体3位に躍り出るなど積極走塁も随所に。Kiner-Falefaの13盗塁を筆頭に,RizzoやJudgeなども隙を見つけては塁を盗んでいます。昨年までは全く見なかったダブルスチールも敢行するなど,意識改革が見えます。ただ,おじいちゃん'sなのでスプリントは恐らく30球団最低。ヤンキースタジアムをホームにしているのもありますが,ツーベースヒットの数はリーグ26位なんですよね。結果的にはそこを盗塁で補ってるんでしょうか。

①Aaron Judgeのエクステンション打法

そして打線の主役はなんといってもAaron Judge。今オフFAを控えたJudgeに対して球団は7年総額210Mのエクステンションオファーを行いましたがJudge側は10年360M程度を希望しこれを拒否。結局交渉は決裂し,今オフに再交渉を行う予定。

そんな中迎えた2022年,Judgeは超大型契約を勝ち取ると言わんばかりに52HRを放った新人シーズン並のHRダービーを展開。特に5・6月には計23本のアーチを描きました。

7月に入って不振に陥りましたが,前半戦最終カードのBOS戦で見事復活を果たし,終わってみれば33HRで折り返すこととなりました。2位のYordanには7本差をつけており,二度目の本塁打王に期待したいところ!

ただ,フルタイムでセンターに就いてる状況はInjury Proneの彼にとって好ましくないのは確か。多少のリスクを背負っても中堅手のトレード補強や,LocastroやHicksをセンター起用すべきじゃないかと感じてます。

②新境地?CHC時代の面影が消え去ったRizzo

昨年TDLで獲得し,オフに再契約を結んだAnthony Rizzo。彼なくして今季のNYYは語れないでしょう。4月に自身初となる1試合3HRを記録するなど9HR OPS1.067と充実の出だし。対称に5月は苦手なインコース攻めによってOPS.580と落ち込みますが,ここ2ヶ月では完全に復調を見せて22HR。キャリア最多本塁打はおろか,シーズン40HRも夢ではありません。

個人的に興味深いのが打撃スタイルの変貌。全盛期には3割近い打率を安定して残していましたが,今季はBA.224とキャリア最低クラス。であってもOPS+はキャリア3番目なので恐ろしいですよね。
ちなみに盛栄を築いた一塁守備は下降の一途を辿っており,CHC時代のRizzoさんとは別人になってます。それでも送球処理はVoitらとは比べものにならない印象で,堅牢なNYY内野陣のメインピースであることは変わりありません。

③復活のDavid John

私が開幕前の戦力分析においてキーマンとしたDJ LeMahieu。MVP3位に輝いた20年オフに6年90Mの契約を結んだのもつかの間,ケガの影響もあって2021年は低調に喘ぎます。
復活を賭けて臨んだ今季,高い出塁率でリードオフマンを完璧にこなしています。xwOBAにおいては2019-2020の数値すら超えており,もうヤンカスの手首はボロボロに。7月に限ればBA.351/OBP.479/OPS.900と完全に感覚を取り戻しています。

最近,ライト方向に強い打球が増えてる感じがするので,そろそろ右翼席に本塁打がでるんじゃないかなと思っています。

また汎用性の高い守備能力によって,内野手5人体制を1人で支えています。フェンウェイでの失態は痛かったですが,OAAなどのStatsを見ても完全にカムバックを果たしたといえるでしょう。

④漢Giancarloは砕けない

近年最強の不良債権として鎮座していたStantonは2021年に見事フルシーズンに出場。前年の活躍を続けられるかに注目が集まりましたよね。
4月は低調でしたが,5月に7HR OPS1.005を記録し頼れる4番として奮闘。得点圏においてOPS.999,ビハインドではOPS1.014は惚れますよね。

10日ほど離脱があったものの,ここまで34試合で右翼守備に就きながらも本当に頑張ってくれています。今まで一度も批判せずに信じ続けてよかったヨ😓
(なお,6・7月はともに打率1割代と危険信号。ただし三振数が極めて多いわけでもなく,出塁もできているので良しとしましょう。)

そして7月20日開催のASGでは地元LAのファンの声援を受けて躍動!Statcast時代以降ではASG最速の打球初速度となる111.7mphの同点ツーランを放ってMVPを受賞しました。インタビュー時に少し涙ぐんでいたのは熱かったですね!

「素晴らしい夜を迎えられた。私もこの球場のレフトから試合を見ていた。そこにホームランを打てて最高だった。ホームランを打てたことで人生で最高の思い出となった」

ア・リーグ球宴9連勝 MVPは同点2ランのスタントン

⑤帰ってきた,俺たちのGleyber

2019年に弱冠23歳にして38HRを放ったTorresは過去2年で急降下。攻守ともにリーグ平均を下回るパフォーマンスを見せ,度々トレード放出論が跋扈。
しかし二塁手として再出発した今季は見事大復活を遂げ,ASブレイク時点で14HR OPS.809,rWARにおいてはチーム3位の3.0を記録しています。勝負強さも健在で,”リトルリーグ”サヨナラHR含む2回のWalk-offを演出。

実は今季守備面でも健闘しており,DRS+5/UZR0.9を記録。ことあるごとに2019年の躍進が取り沙汰されていましたが,Torres2.0として進化を見せています。

ぼく将「今の君はもう十分 あの頃を越えているよ」

スラダン映画,3D風なのざんねん😑

⑥素晴らしいベンチモブ達

主軸だけではなく,ベンチメンバーの野手も適材適所の働きを見せています。
開幕直前にトレードで獲得した控え捕手Jose Trevinoは悪球打ちとリーグ№1のフレーミングを武器に自身初のASG選出。Higashiokaからスタメンマスクの座を奪い取るまでに至りました。

リーグを代表するUTとして名を馳せたMarwin Gonzalezはマイナー契約から開幕ロスター入りすると,C&CF以外の全ポジションに就くなど平均以上の守備成績を残しています。
最近まで負傷離脱をしていたTim Locastroも,試合終盤の代走要員として17試合で6盗塁10得点の渋い活躍。

そしてなんといっても,StantonとDonaldson離脱時に契約を結んだMatt Carpenterのインパクトたるや凄まじいですよね。今季ここまで31試合/97打席で13HR 34RBI OPS1.380と無双状態。ここからシーズンHR記録を更新してくれそうです。

一方,ここ数年ろくすっぽ活躍できていないのに,イッチョまえにトレード要求した3B/1B/LFがいたらしいですね。

(3)堅実なローテーション

粘着物質騒動に揺れたCole,前年炎上を繰り返したTaillon,ケガによって過去3年間まともに登板機会のなかったSeverinoなどを中心とした先発陣は聞く人によって真逆の評価を得ていた印象です。
蓋を開けてみれば序盤調子が乗らなかったCole以外は期待以上の安定感を見せるなど,一時はMLB最高クラスのローテーションを形成していました。

IP  515.0(4位)
ERA 3.20(3位)
K 519(4位)
K/9=9.07(6位)
BB 114(2位)
BB/9=1.99(1位)
HR/9=1.24(24位)
FIP 3.66(8位)
xFIP 3.45(3位)
WHIP 1.04(1位)
SIERA 3.44(1位)
rWAR 3.7(6位)
fWAR 8.5(7位)

括弧内()はMLB全球団内での順位

①大成したNasty Nestor

NYYに入団後,2度の出戻りを経験して挑んだ昨季に予想以上のブレイクを果たしたCortesは今季も好調。長期間にわたって防御率1点台をキープ。変化球や直球を丁寧に投げ分け,時にはアームスロットや投球モーションを自在に操る超技巧派左腕としてASG選出も果たしました。


マネーピッチのカットボールはBA.184/RunValueマイナス7を計測するなど,最高の武器になっています。
ここ2ヶ月でやや成績を落としていますが,それでもリーグ平均を上回るスタッツであることから,このまま怪我なくシーズン完走を果たして欲しいところですね。

②生え抜きエースSevyの行方

2019年~2021年を怪我で棒に振ってしまった元エースSeverino。先発復帰が吉とでるか不安でありましたが,かつてのような直球とスライダーを織り交ぜて空振りを量産。xwOBAなどのxStatsも非常に優秀で,相対的にみてもCY賞争いをしていた2017年に一歩及ばないクラスの成績を残しています。

ただ,7月に入ってIL入りしたのが気がかり。ここまでCovid-ILを除いては投げ続けていただけに「いよいよか..」と感じています。ここでNYYが補強に動くのかも見物。。。

(4)勝利の方程式が瓦解したブルペン

昨季終盤を支えたChapman-Green-Loaisigaが軒並み序盤に負傷離脱をしたわけですが,3Aからの戦力供給によってなんとか凌いでいる状態。おそらく1-2枚はTDLで獲得に動くでしょう。

IP  315.0(23位)
ERA 2.89(2位)
K 327(19位)
K/9=9.34(11位)
BB 120(8位)
BB/9=3.43(12位)
HR/9=0.49(1位)
GB%=51.1(1位)
FIP 3.05(1位)
xFIP 3.60(3位)
WHIP 1.13(4位)
SIERA 3.36(6位)
rWAR 2.3(3位)
fWAR 4.8(2位)

括弧内()はMLB全球団内での順位

①真のクローザーHolmes

昨年,PITからトレード加入後に覚醒を果たしていたHolmesは,Chapman離脱をきっかけにクローザーへ定着。Mariano Riveraの持つ球団記録を塗り替える29試合連続無失点を打ち立てました。
伝家の宝刀であるシンカーは,今季のMLBにおける最もアンヒッタブルな変化球と言っても過言ではなく,RunValueはマイナス12と驚異の一言。

ちなみに,HolmesのGB%=82.7%は2002年の計測開始以降では史上最高の数値。2位~4位は全てZack BrittonであることからもHolmesの支配力の高さが伺えます。

②絶対的セットアッパー「👑」

Michael JordanとLeBron Jamesの融合。すなわちGOAT×2なMichael King。(何言ってんだこいつ)
それぞれRunValueマイナス7のシンカー&スラーブのコンビネーションに加えて,MAX100mphの直球を併せ持つ絶対的な中継ぎ投手として君臨。

ぶっちゃけた話,三振よりもゴロで打ち取るタイプのHolmesよりも,ハイレバレッジな場面における抑失点能力はKingが勝っている印象。
元先発投手だけあって回跨ぎを得意としており,49.1イニングは中継ぎ投手中3位の数字。Greenらの離脱によって6月以降に1イニング専任に移行したためにペースが落ちたことを考慮すると,とんでもない数字です。

③助手クラスTau***anの対価。燦然と輝く。

悪名高い「助手クラス」に認定されたマイナーリーガーはSF移籍後にKBOへ。一方,対価としてSFから移籍のWandy Peraltaは恐ろしい飛躍を遂げています。SSWのチェンジアップとシンカーをメインにウィークコンタクトを量産し,xStatsはKingすら凌ぐほど。

これはPeraltaに始まったことではありませんが,NYY投手陣のスタンスは極めて単純で,「ハードヒットを防ぐ」といったところでしょうか。そのためにシンカー主体の投手が多く,今季パワーアップさせたフレーミングと三遊間守備とマッチしています。

(5)課題,そしてTDLへ

ここまで都合のよいことばかり書き連ねてきましたが,当然課題も存在します。
野手陣においては昨季大枚叩いて獲得したJoey Galloがキャリアワーストクラスの大不振に陥り,今は9番打者として2日に1回程度の出場に留まっています。
また,Hicksのセンター守備指標があまりにも芳しくないためにJudgeが巨体を揺らしてセンターに就いている異常事態。左翼手or中堅手のトレード補強があってもおかしくはありません。

先発陣についても,Severinoの容体次第では1枚追加せざるを得ない状況でしょうか。ただ,MLBReadyのプロスペクトを思い切って起用するのもワイルドカードかと。下手に補強してもSeverino復帰後のアクティブロスター形成が厄介になるんではと。

中継ぎ陣は確実に1枚欲しいですよね。Greenが今季絶望,ChapmanとLoaisigaは最近復帰したものの目も当てられないような投球を繰り返しています。
一方でここまで安定していたHolmesのコマンドが急激に悪化。6月にフル回転のMarinaccioも離脱しており,非常に厳しい事態となっています。
ブルペンの投手タイプ的に,左右問わず奪三振能力の高い投手がいるといいな~と感じています。

★個人的な補強優先順位
ⅰ 中堅手(左翼手)
ⅱ 中継ぎ投手
ⅲ 先発投手
ⅳ 2番手捕手,遊撃手など

外野手のターゲットとしてはReynols(PIT)やBenintendi(KC),はたまたJuan Soto(WSH)までもが挙げられていますが,個人的には中堅をしっかり守れる選手がいいなと感じています。Mullins(BAL)とか最高なんですけどいかんせんボルチモアが勝ち始めてるのでこの線はないでしょうかね。やはりここは俺たちのFlorial昇格しかありませんよ。

中継ぎ投手であればLiam Hendriks(CHW)とか無理かなぁ。ペイロール的にそもそも成立しないのでしょうかね。
おなじみPITちゃんたちとのトレードにしてもWil CroweやDavid Bednarが挙がるでしょうが,この2人ならCroweが欲しいなあ。奪三振能力はBednarの方が勝りますが,Croweの方がNYYへのフィットは良さそう。

先発投手はCastillo(CIN)やBlackburn(OAK)であればトッププロスペクト複数枚+αで獲得できるとかなり手札が増えそう。

(6)ドラフト

そして日本時間7月18日に行われたドラフトにおいて,ヤンキースはヴァンダービルド大学からSpencer Jonesという超大型外野手を獲得!2メートル超えの体躯はJudgeを思わせますし,RawPowerは今クラス最高かと。それをGamePowerに変換することができれば将来的なNYYの外野デプスを支えてくれると思います。

個人的に2巡目で獲得したDrew Thorpeの投球スタイルが好きすぎるので,活躍に期待したいところ!同校のBrooks Leeより有名になってくれ!

最後に

ASブレイク明け初戦はHOUとのダブルヘッダー。ここで2連敗を喫するようだといよいよPS敗戦が見えてきます。HOUと5戦やってますが,未だにリードした状態で守備についた場面がないんですよね。(2勝ともにサヨナラ勝ち)
お願い😧そろそろヤンキースちゃんを優勝させて😳

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