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あのたび -ボゴールの植物園-

  ジャカルタを離れ電車でボゴールへ向かう。2500Rpで2時間ほど。この電車が衝撃だったので記しておく。インドネシアは島国なので基本的に移動は船とバス。電車に乗ったのはこの区間だけだった。

 まずは電車の出入り口が開けっ放しで危険。しかもかなりのスピードを出しているのに、だ。それだけなら他国でもよくあるのだが、日本のモノレールのような高架を走っているのだ。窓から下を見るだけでも怖いし落ちたら無事ではいられないだろう。

 そして電車が出発すると物売りがやってくる。飴玉、ボールペン、安全ピン?を別々の人が売りに来る。もちろんそんなもの買うわけないのだが、なんと乗客一人ずつに1個ずつまず配って渡してくるのだ。ただでそれをいただいていいわけではなく、一通りその車両内を周って配り終えると、最初に戻り今度は逆に渡したものを1人ずつから回収し始める。一度客の手に持たせるという所がポイントだ。意味不明。でも面白い。
 意外といい商品じゃない。買おうかしら? とか思うのだろうか?? ねえよ

 次にイスラム教の経典?をぶつぶつとつぶやくオヤジが歩いてお布施を期待して手を出してくる。ボクにとってはありがたくないのでお金は払わない。さらに今度は小学生くらいの女の子が、自分の体の半分もあろうかというスピーカーを肩から下げて、テープを回してマイクで歌い始める。セルフカラオケシステムか? お世辞にも上手いとは言えない歌なのでボクは見ているだけだ。

 駅のホームで大道芸ならわかるが走る電車の車内でこれは自由すぎるだろ!

 最後に片足なく片手も不自由な障害者が施しを受けようと車内を這って進んでいた。見るに耐えず目をつぶって顔をそらしてしまった。電車内で体験したこれらのことは20年後の今でも覚えているくらいの衝撃だった。

 ボゴールに着き目的のボタニカルガーデン(植物園)へ行く。まあちょっと草と木が生えているくらいでしょ? とあまり期待していなかったのが逆に良かった。入場料3500Rp+ランHouse1000Rp(≒合計70円)

 広大な敷地は東京ドーム20個分くらい。広すぎて1日では回れない。テーマパーク並である。そしてとにかく生えている木の背が高い。樹齢100年以上?の巨大さで10から20メートルくらいあるのではないか。その葉が生い茂っているので暑い日差しも防いでくれて日陰がすこぶる涼しい。約15000種というさまざまな植物があり、世界最大の花と言われるラフレシアもある。まるで森の中を歩いているようなのだが、歩道も植物もよく整備されている。これはインドネシアの国民性とは乖離していて不思議である。

 その理由はもともと植民地時代にイギリスとオランダによって建設されたからだ。開園は1817年というから歴史がある。確かにヨーロッパのような整頓された美しさを感じる。それが200年後の今でも風化されずに残っているというのが素晴らしい。

 東南アジアでも最も大きい庭園の一つとのことで見る価値はある。現在では上のようなぼろ電車ではなくキレイな高速鉄道が走っているのでジャカルタからの日帰りに行ってみると良い。

 植物園内では雰囲気のよいレストランもあり、バーガー3000Rpを頼んだ。旨い。植物園近くの泊まった宿は翌朝に朝食付き。パンケーキとティーというシンプルなものだが、以後泊まった安宿でもインドネシアでは朝食付きという所がたまにあった。

インドネシアルート

(つづく)


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