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あのたび -カルロの質問-

 海外を旅行していると、日本について聞かれることはよくある。以前も、宗教について聞かれて困った。自分の国のことは知っているようで知らないものだ。

 リンチャ島を出てラブアンバジョーへフェリーで戻る。そのままバスでルテン(Ruteng)へ25000RP。RIMA HOTELで一泊25000Rp(≒350円)。

 その宿で会ったイタリア人のカルロは、すぐにボクの名前を覚えてくれてゆっくりで聞きやすい英語を話してくれた。なぜか日本語の文庫本を持っていたことから、ボクにこの本を読んでくれという。

 タイトルは忘れたが古い小説だったと思う。困ったことに難解な漢字が多く、流暢に読むことができず、詰まり詰まり1ページをようやく読むのがやっとだった。そして並んだ文字を見て、これは左から読むのか右から読むのか?とか横に読むのか縦に読むのか?と興味津々そうだった。

 内容はどんなだ?どんなことが書いてある?と聞かれたがボクのつたない英語では説明ができなかった。恥ずかしい日本人だ。悲しい。

 さらにカルロは、「アルファベットは26文字だが、日本語は何文字あるのか?」と尋ねてきた。

 これにまた困った。ひらがなは50文字。カナカナも50文字。漢字が何文字あるのかがわからない。おそらく2000文字くらいだろうと答えた。実際のところは不明。難しい漢字を含めたら5000文字くらいあるのかもしれない。

 しかしその次の質問が本題であった。「アルファベットはたった26文字で子供でも簡単に覚えることができる。日本語の2000文字はどうやって覚えるんだ? どれくらい時間がかかるんだ? その時間は無駄ではないのか? その間に他の勉強ができるだろう?」

 いやまさか日本語を、こんな視点で質問してこられるとは思わなかった。確かに小学生のころ、宿題の漢字ドリルで何度も何度も同じ漢字を書かされた。普通に新聞が読めるようになるのにだいたい小学6年生くらいまでは期間が必要であろう。それが時間の無駄とは全く考えたこともなかった。日本人として当たり前に過ごしてきたことだった。

 だからさっきのカルロの質問にも、明確に答えることはできなかった。それが悔しい。日本人はディベートが苦手で思っていることを主張できない。せめて日本のことくらいは自身を持って説明することができるようになりたいものだ。

 インドネシアはイスラム教国なのだが、フローレス島からはキリスト教の人の割合が増えたように見える。これまで旅行してきた島々はどこものっぺりとしたコンクリートの壁でできた家が多かった。

 ここフローレス島のルテンの宿は、木造の家に庭木がめり込まれ壁にはキレイなペンキ。大きなもみの木が茂り道が綺麗に整備されている。これが宗教の違いか。明らかに整っている。インドネシア人の名前も、欧米系の名前の人が居て不思議だった。竹林も見事であった。丘に登ると周りはライステラスが広大に広がっていた。

 夕食はほうれん草だけのナシゴレンで7500Rp。は高い。カルロはもう一泊したがボクは翌日次の街へ向かった。

インドネシアルート

(つづく)


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