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【FIFA20】同じ名前の人でチームを組む ~キムVSジョン~

 サッカーゲームの「FIFA20」に、あまりにも「キム」選手と「ジョン」選手がたくさん収録されていたので、同じ名前・名字の人だけでチームを組んでみた。キムチームVSジョンチーム、現実ではそうそう出来ない取り組みである。(文:きゅえすた)

1.同姓同名帰属意識

 同じ名字・名前の人を見かけると、どことなく親近感を覚えることはないだろうか。出身の都道府県や、卒業した学校が同じと知った時に感じるものとどこか似ている。名字・名前の帰属意識とも呼ぶべきものが、人間世界にはあるような気がしてならない。そのような意識でもなければ、2017年に「田中宏和」さんが87人も集結することなど起こり得ないのである。

 そこで筆者は思い立った。スポーツの世界で同じ名字・名前の人が集結したら、きっと団結力が強くなるに違いない。しかし、残念なことに筆者には人を集める力もやる気も無い。そこで今回はサッカーゲームで、現実世界にはあり得ない、同じ名字・名前の人だけでチームを組み、対戦させることとした。

2.キム選手とジョン選手

 使用するサッカーゲームは「FIFA20」である。

 「FIFA20」には名字が「キム」である選手が約70人収録されている。全て韓国籍の選手で、韓国や中国、日本などのアジアでプレーしている。この選手たちの能力値などを勘案し、「キム選抜チーム」を組んだ。各選手の後ろのカッコ内は2019-20シーズン時点の所属チームを示している。

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 こちらがキム選抜のスタメン。マジでキムしかいない。キム選抜はルーマニアの「ガズ・メタン・メディアシュ」を間借りした。監督のヨルダネスクさんはこの日から韓国語をマスターすることとなるだろう。 

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 少しメンバーの紹介もしておこう。エースは背番号13番のキム・ボギョン(全北現代)。日本で複数のクラブに所属した経歴を持つ、韓国代表の選手だ。フォワードの20番、キム・シンウク(上海緑地申花)も韓国代表のストライカー。武器はヘディング。守備陣も22番キム・ジンス(全北現代)や19番キム・ヨングォン(ガンバ大阪)など、韓国を代表する選手が集結した。韓国で一番人口が多いとされる名字だけあって、戦力は高い。写真はキム・ジンス。ルーマニアのユニフォームはさすがに違和感があったか。

 一方、名字もしくは名前が「ジョン」の選手は、約50人が収録されている。スペルが「John」であれば、各言語での読み方を問わないことにしている。よく似ているが、「ジョニー」や「ジョンソン」は数に含めていない。イングランドやアイルランドの選手が多いが、中にはコロンビアやチリなど南米の選手もいる。こちらは「キム」に比べ、プレーしている国も分かれている。こちらも能力値やポジションを勘案し、「ジョン選抜チーム」を組んだ。

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 とりあえず不正はありません、という証明である。全員がジョンである。フランス1部の「ディジョンFCO」を間借りした。なぜこのクラブを選択したかは推して知るべし。

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 さて、ジョン選抜には強力なメンバーがいる。その名もジョン・ストーンズ(背番号5)彼の所属するマンチェスター・シティはここ10年で急速に強くなり、今ではヨーロッパを代表するチームだ。彼も2度このチームでイングランドのプレミアリーグ制覇を経験している。イングランド代表として、ワールドカップでもプレーしている。まだ25歳だが、彼にキャプテンを務めてもらおう。

 ストーンズの他にも、強力な選手が揃った。これまたイングランドのプレミアリーグにシェフィールド・ユナイテッドというチームがある。そこにはジョン・イーガンジョン・フレックジョン・ランドストラムと、3人もジョンがいた。ジョントリオのいずれもスタメンにしている。ストライカーはスウェーデン代表でプレー経験のあるヨン・グイデッティ(ハノーファー)だ。

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 実力はほぼ互角のようだ。良い試合になるだろう。

3.対戦方法

 キム選抜とジョン選抜を1戦勝負で戦わせ、勝敗を決める。ホームチームはジョン選抜とする。

 「FIFA20」の「キックオフ」モードを使用し、AI(CPU)同士で対戦する。筆者は一切操作しないが、各チームのメンバー選抜やフォーメーション、作戦の設定を行っている。その他の設定は下記の通りなので読み飛ばしてほしい。

 使用AI:レジェンドAI(最上級の強さ)、使用モード:UEFAチャンピオンズリーググループステージ、使用スタジアム:オールド・トラッフォード、試合時間:8分ハーフ、天気:晴れ、試合開始時間:20時、使用ボール:初期設定(チャンピオンズリーグ使用球)、審判:アフォンソ・セクレタリオ。筆者がよく遊んでいる「FIFA15」でもお世話になってて、名前みてビビりました。ごく普通の審判です。

4.対戦

 いよいよキックオフである。

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 キム選抜とジョン選抜の握手。このような試合が実現すれば、きっと世界平和への道が開かれるに違いない。キムさんはキムさんで、ジョンさんはジョンさんで協力していけば良いのだ。

 前半はジョン選抜のキックオフでスタート。ジョン選抜は左サイドのジョン・サンタンデール(チリ・CDコブレサル)やデクラン・ジョン(サンダーランド)がボールを前に回す。一方のキム選抜は中央突破を図る動きを見せ、ディフェンダーをすり抜けたパスを見せる。

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 最初にシュートを打ったのはキム選抜。17分にゴール前のボール回しから、キャプテンのキム・ウンソン(オーストラリア・セントラルコースト)がわずかなスペースを狙った。数分後にはそのウンソンからパスを受けたキム・シンウクがジョン・イーガンをかわしてシュート。しかし、いずれもジョン選抜の守護神、ジョン・ルディ(ウルヴァーハンプトン)にキャッチされてしまう。

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 そこからはなかなか進まない試合となった。お互いに長い距離のパスを出すなどしてゴールに迫るが、肝心なところでミスしたり、相手からタックルを受けたりしてボールを奪われる。キム・ボギョンもなかなか相手を翻弄するプレーを出せない。ジョン選抜もサンタンデールが奮闘するが、彼のシュートも無理のある体制からで、守備陣にブロックされてしまう。

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 多くの人がじれったく感じるであろう展開のまま、前半を終えた。シュートが両チーム合わせて5本というのは物足りないが、後半は積極的に動いてくれるだろうか。ジョンの意地、キムの底力を見せてほしい。

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 後半の立ち上がりも、ストーンズを中心としたジョン防衛隊がキム選抜を封じ込める。51分には防衛隊の一角、デクラン・ジョンが目の覚めるようなミドルシュートを放った。ゴールキーパーのキム・ジンヒョン(セレッソ大阪)に阻まれるが、得点の兆しが見えてきた。

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 ジンヒョンの好セーブに、キム選抜メンバーは皆でサムズアップ。仲が良さそうだ。

 そんな中、67分に事件は起こる。ジンヒョンが蹴りだしたボールを、キム・シンウクがヘディングでボギョンに繋ぐ。ボギョンがボールをキープしようと反転したところに、あろうことかムキになったジョン・フレックが後ろからタックル。ボギョンを倒してしまった。

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 主審は、フレックにレッドカードを突き付けた。一発退場である。これでジョン選抜は、1人少ない10人で戦わなければならなくなった。チームの危機は内部原因でも起こりうる。どんなに同じ名前の人が集まろうと、その状況に変わりはないということか。ジョンの敵もジョンである。

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 悪いことは、悪いことに連鎖する。このファールのフリーキックから、キム選抜はゴール前でボールを回す。シンウクが隙を見て、ペナルティエリアに向けてパス。途中出場のジョン・マギン(アストン・ヴィラ)はボールをカットできず、跳ねたボールが、こんにちは、とばかりにボギョンの元へ。ボールはダイレクトでゴールへ叩き込まれた。キム選抜が先制。

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 ジョン選抜はこの後も、両サイドから突破を図るが、なかなかキム選抜の守備陣を攻略できない。ジョン・オサリヴァン(イングランド4部・モアカム)のヘディングシュートもゴールポストを捉えられない。

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 キム選抜がジョン選抜の陣地に攻め込む時間が増えていった。83分、ボギョンのコーナーキックをシンウクが受け、キム・インソン(蔚山現代)へパス。インソンは目の前にいたジョン・マギンを軽くあしらい、空いたスペースから強烈なシュートを放った。真っすぐな軌道を描いたボールはポストに当たって、ネットを揺らした。キム強し。ジョンの栄光、ここまでか。

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 イーガンさんは失点後、観客に向け指を差す暴挙に。

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 84分、スルーパスに抜けだしたオサリヴァンを、キム・ジンスがペナルティエリア内で倒してしまった。PKを獲得したジョン選抜であったが、グイデッティはクロスバーに当ててしまい、得点ならず。ジョン選抜は、あるべきジョンの姿について学ぶ再教育が必要だろうか(無い)。

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 そのまま試合終了。2-0でキム選抜が勝利した。ボール支配率はキム選抜が59%となり、試合を優位に進めた。

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 こちらは各選手のレーティングである。最優秀選手はキム選抜キャプテンのウンソンであった。派手なプレーは無かったが、しっかりと中盤を支配し、見方にボールを回し続けた。キムの力になれるのは、やはりキムであった。最低点はジョン選抜を見事に裏切ったフレックであった。

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 キム・ウンソンはオーストラリアでプレーしているベテランだ。

5.まとめ

 今回はキムの力がジョンを上回ったが、これをもってキム選抜がジョン選抜に比べて強いというのは早急だ。「FIFA」シリーズは毎年出されているゲームソフトであり、もしかすると今年発売予定の「FIFA21」では、違った結果になるかもしれない。

 また、今回の試合に出ていないキム選手やジョン選手も沢山いる。例えばジョン・イテボアはドイツ代表にU-16から各世代で選抜され続けている逸材だ。「この選手がいないじゃないか」、「こんな作戦があるはずだ」と思ったら、自分だけのキムVSジョンを実現できるのではないだろうか。その時は、先行研究としてこの文章を取り上げていただけたら幸いである(おこがましい)。

 まともな戦術を立て、優秀な選手を集めることが、プロの世界では優先される。それは当たり前のことだ。ただ、シーズン外のフレンドリーマッチで、もしこのような少しヘンテコなチームがいたら、きっとどこかで笑顔になれるファンがいるだろう。真面目な路線から少し外れることを、頭ごなしに否定することは、何かのチャンスを失う気がしてならない。

 無駄なもの、そこから見える世界を、当会はこれからも追求していく。

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※スクリーンショットは「FIFA20」での画像です。PS4のスクリーンショット機能を使用しています。

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