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証券業界を志望する就活生へ

就活が始まる時期になりましたね。
こんな世界情勢で困難なこともあるとは思いますが、そんな中でも証券業界を目指す就活生の皆さんに少しでもお役に立てればと思いまして、書いていきます。

1.自己紹介と内定まで

先に私の自己紹介だけしておきます。
地方の私立大学で哲学専攻を卒業してますので、学歴としては底辺に程近く、4年間かけて学んだ哲学も仕事に直結しないという状況でした。

証券業界のみならず金融系にも一切興味がなく、業界研究や資格取得もしないまま(つまり就活にほとんど力を入れないまま)、たまたま求人サイトで見つけた福利厚生が充実している上場企業に応募しました。
そしてそれが、後に入社した証券会社でした。

つまり、証券会社だからといって、経済学部や経営学部を学んでいなければいけないということもなく、自分で株をやったことがなくても大丈夫で、特別学歴では判断されないということです。
ただ、野村證券などの大手はもっと厳しい審査基準があるかもしれないですし、証券業界の中で上を目指すなら私の話は参考にならないかもしれません。

2.入社したら資格取得は必須

外務員一種の資格がなければ営業に出られないので、入社前から資格勉強をする必要があります。
分厚めの教本が3冊ほどあります。全部を覚えなければいけません。が、試験自体は選択問題でした。
私としてはまっさらな状態からのスタートだったのでわからないことしかない!という状況でかなり苦戦しましたが、人事の方や役員の方が定期的に勉強会を開いてくださり、新入社員は全員無事に合格しました。
大学の期末試験ほどの簡単さではないと思いますが、2〜3ヶ月毎日勉強すれば大丈夫です!

3.営業部に配属されたら

営業部は全員同じスペースで仕事をしていました。
一人ずつデスクがあったことはとても嬉しかったのですが、四方八方から営業の電話が朝から晩まで聞こえてくる環境に慣れるのは大変でした。
逆に言えば、それを盗み聞きして、自分のテレアポにも活用させていただいてました。
リーダーもチーム長も係長も同じグループで隣り合ったデスクだったので、報連相がしやくす、私はことあるごとに何でも相談してました。
あとは、一日に100〜200件も電話をかけるため精神的にも肉体的にもしんどくなるのですが、
タバコ休憩や仮眠も自由だったのでリフレッシュしやすかったです。
証券業界というと、体育会系の殺伐とした営業職の精鋭部隊!といったイメージがあるかもしれませんが、
少なくとも私が働いていた会社は、社員全体を見ると穏やかでまったりした人が多かったと思います。
お客様に対しては全力で熱くなるけど、社員同士の関わりは距離感が近く、お菓子交換をしたりしながら仲良くやっていました。

4.実際に業務を始めてみて

朝は取引所が開くのを待ちながら、日経新聞を読んで社会の出来事や経済の動きを見たり、代表的な株価にざっくり目を通します。
同時にパソコンやスマホで、チャート(値動き)の動きを確認します。
市場が開くと、テレアポが始まります。
用意された顧客リストに片っ端から電話をかけます。しかし、ほとんどは受付で断られます。受付の方もおそらくいろんな企業から営業の電話がかかってきているため、電話の断り方はプロです。わざとこちらが不快に思うような対応をされることも多く、割とこれがストレスの大きな要因でした。
しかしこちらも営業。断られても断られても社長に繋いでもらうまでは挑戦し、ようやく社長とお話をさせていただけることになると、簡単な商品提案をします。ほとんどが断られますが、実際企業まで出向いて挨拶だけでもさせていただいたり、お手紙を送ったり、あらゆる手段を使って、何とか直接お話を聞いていただけるようにアポ取りします。
「電話で長く話せた人は契約が決まりやすい」というのは、うちの会社だけでなく大手証券会社でも言われてるそうで、実際私が初契約を取ったお客様もお電話で30分以上話していました。
だから逆に言えば、商談の方が簡潔でした。もちろん、その場のやり取りで契約の有無が決まるわけですから、テレアポよりも気は張ります。

そして帰社してから定時まではまたテレアポをして、次の日の商談の予定を作ります。

これが1日の流れです。

5.大変だったこと

コロナ渦ということもあり飛び込み営業は基本的にありませんでしたが、やりたい人はやってもいいというスタンスだったので、私も気分転換でやることはありました。あとは、商談となると遠出するので、せっかくならその周りの会社を回ってみたらどうかと上司に指示されてやることもありました。
仕事中の会社に乗り込んでお金の話をするのはやっぱり気が引けましたし、ヒールで何件も回るのは体力的にしんどかったです。ただ、もちろん上司もそのつらさはよくわかっているので、小まめに休憩を取っていいと言われてました。とは言え、やはり何かしらの結果を出せないと後で苦しむのは自分なので、常にプレッシャーはありました。

一番大変だったのはテレアポですね。
私が力不足だったことはありますが、実際に商談できるのは週に2〜3件くらいで、ほとんどはテレアポです。毎日毎日何百件も電話をかけて、受付の人に冷たく断られるのは精神的にやられました。もちろん、断られてなんぼという境地にたどり着くので段々と慣れていきましたが、それでもやはり楽ではなかったです。
何より、社長本人と話せるまで何回も電話をかけるので受付の人に覚えられて「しつこい」「もうかけてくるな」と言われるのも日常茶飯事でしたし、社長と話せたとしても嫌なことを言われることも何度もありました。
「君の為を思って言うけど、まだ若いんだからそんな仕事とっとと辞めたら?人に迷惑かけてお金稼いで楽しい?」
「そんな儲け話があるならみんなやってるでしょ。自分がやったらいいじゃん。できないってことは裏があるからでしょ」
「胡散臭い会社だね。いつか潰れると思うよ。逮捕される前に足を洗いなよ」
「椅子に座って電話かけるだけで楽な仕事だね。こっちは汗水流して働いてるんだよ。恥ずかしくないの?」
このあたりは結構傷付きました。

あとは、証券会社は手数料でお金をいただく仕事です。
つまり、自分のお客さんが損をしようと関係なく稼げてしまうんです。
それがとても心苦しかったです。だって、自分が契約してもらったせいでその人は何百万何千万の損をする可能性は十分にあるわけで、それの責任をどうやって取ればいいんだろうという不安はずっと拭えませんでした。実際、それが原因で裁判沙汰になることも少なくないと聞いていました。
良心が大きい人はやっていけない仕事だと思います。

6.良かったこと

私は証券業界を志望していたわけではかなかったのであまり知りませんでしたが、「証券の営業」という肩書きは強いと思います。
私は今転職活動をしていますが、その経歴だけで結構様々な企業からスカウトされますし、営業の中でも花形だと思われることは多いです。
実際は、私はそんな大したことできなかったので申し訳なく思うんですけどね。
あと、賃貸契約の時に会社のことを調べられたりすると思いますが、証券会社に勤めてるというだけで審査が余裕だったりしました。稼ぎがあると見做されて、社会的信用を得られるとは思います。
仕事の楽しみとしては、普通に生きてたら関わるようなことがない資産家とお話しできることですね。
社会勉強になりましたし、お金を持ってる人の経験談ってやっぱり面白かったです。実績の多い営業マンだと、そこで人脈を作って独り立ちに活用する人もいるみたいです。

7.最後に

私はもう証券業界を辞めてしまったのであまり参考にはならないかもしれませんが、新卒で証券の営業をやれて本当に良かったと思います。
少なくとも今後営業職をやる上ではかなり良い経験になりましたし、しんどい業界だからこそメンタルは鍛えられたんじゃないでしょうか。
だからこそ辞めていく人も多い世界ですし、損益はお客様自身の自己責任だと割り切れる人でないと続かないのかもしれません。

#証券会社 #証券マン #営業 #就活 #コラム

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