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連載小説 【近未来社畜奇譚】 A I に負けないようにガチで働いたら生産ラインがバグって勤務先が壊れました (第1話 /全22話)

社会】=人間の共同生活の総称

辞書より

※この物語は、ある小学生が社会科見学に行ったという事実以外全てフィクションです。


第1話 朝のおしり


「いいですか総理、持って行ってもいいおやつは何百円までかを、その正確なところをですね、国民は知りたがっているわけですよ」という、おそらくは国会での野党による追及の様子を伝える朝のニュースが聞こえた。

政治とカネの問題のときのカネはいつもカタカナ表記だ。

ボクはまるで“つもり貯金”みたいな目覚めかたで、いつもよりも早く起きた。こういう起床パターンは、1学期前に行われた社会科見学の日の朝まで遡らないと、ちょっとない。

つまり今日は社会科見学の日なわけだ。

地球上で初めて社会科見学をした人のことをもっと知っておくべきだろう。おそらくは見学する能力が卓絶した人だ。

それはそうと、親には内緒で、この頃、子ども用ロフトベッドを育てていて、すっかりキングサイズまで育った。ボクの家は狭くて、自分の部屋がないので、ベッドを育てて、そのなかを開発していくしかなかった。

おっと!そうだ。枕元に置いといた社会科見学の『しおり』にもう一度、目を通さなくては、だ。

昨日から紙質が変わるくらいに目は通してはいた。

まるで“つもり貯金”みたいに。

過DXでバーチャル紙なので紙の手触りがする。

過DXでトイレットペーパーもバーチャル紙のがでているけどまだそれほど普及してない。ちゃんとふけないから。

さあ、顔を洗う。すっきりする。毎朝爆誕できたら最高だ。朝には夜よりもずっと多くの順序がある。そのことは『しおり』参照。

そうだ!さらに『しおり』を読もう。トイレの中で。純粋思考。

おそらくは『しおり』は世界的なベストセラーだ。

まったく『しおり』が『おしり』じゃなくてよかったよ。いくらボクでもしおりのケツはふけない。

この世界をつくっているのは約100種類の元素です。

便座に座ったまま立ち読みする。変な想像はよしてほしい。ボクは真剣だから。

にしても、内容について一つ謎なのは、どうして4年2組のみんなの集合場所とは別にボクだけの集合場所が記載されているのだろう。

ざっくりとした地図つき。“これはQRコードではありません”という注意書きがなければQRコードにしか見えない地図だ。

もしかしたらボクが『シン・登校児』だからだろうか……。

シン登校とは、新しい登校スタイルで、学校といっしょに通学するもの。だから永遠に学校に着かない。とても人生べんきょうになると海外からも注目されているらしい。

そもそも、この『しおり』を誰からもらったかをあまり覚えていない。現代人は記憶力を忘却力が上回ってしまいAIに頼ってばかりだ。ボクも気をつけよう。

ボクはおしりをふいてからトイレを流した。自分でしたうんちを手軽に確認できるように目の前のモニターにうんちは常に映し出されている。

そして今、それが流れた。

あー  すっきりした。

トランスヒューマニズムで極超快便になったひとの話をこのまえ聞いた。

おやつはけっきょくいくら分まで持って行ってもいいか書いてなかったのでいつも通り五百円にした。

朝のもろもろも終えた。

「いってきます」を言って玄関から家を出た。


                      つづく

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