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古井雅
2018年6月19日 16:17
暗闇が俯くように僕を見ていた。まさに岩窟の如き異界の手前に立ち尽くす僕は、あまりにも無力だった。 その異界は、僕を嘲笑うように口を開けている。そして、その中にはぼくがいた。「ほら、僕、おいでよ」「ぼく以外いないよー」「ぼくは、僕だよー」異界のぼくは何度もそう口走る。一瞬、それが何を指し示しているのかわからなかったけど、真っ暗な世界とぼくのコントラストにより、その異界が示す