【病院事務長の悩み】病院労務管理の課題あるある (後半)
前半編に引き続き、顧問レベルの社労士では、現場の実態が把握がむずかしいい、または把握できていたとしても具体的な解決策の実施に至らず、なかなか解決まで進まない課題のあるあるを列挙してみます。
念の為ですが、以下はすべて適正でないか、改めるのがよい運用です。
⑬公休日の代休
公休日にやむを得ず勤務する場合、代休を取る日は、給与月の中でのみ認めている。結果、代休を取れない場合も割増賃金を支払っていない
⑭公休未消化の取り扱い
振替休日を指定せず、公休未消化分となった場合、権利として個人で蓄積して行使する運用にしている
⑮残業の取り扱い(@@分制度)
残業は@@分間(例えば15分)等の1分刻み以外のルールを設けており、その場合@@分未満は切り下げている(15分制度の場合、5時10分なら5時00分退社として扱う)
⑯残業の取り扱い(終業後一定時間未カウント制度)
残業時間は、就業後の一定時間(例えば15分間)はカウントしない運用である(16分目からは16分~とカウント)
⑰残業の取り扱い(残業の上限切り捨て制度)
残業時間の上限を超えた場合には、その分の割増賃金を支払わない上限制度がある
⑱残業承認制度
残業は、予め上長の承認を受けなくてもよい
⑲医師の早番、残り番手当
医師の始業前・終業後の対応に対する手当は割増賃金とは別のテーブルを用いている
⑳固定残業制度
固定残業制度を導入している場合は残業時間管理をしていない
㉑医師の遅刻・早退の取り扱い
遅刻・早退は遅刻・早退は、1分単位で規程に従って減額するが、常勤医や一部の非常勤医は@@分制度を適用している(@@分までは0分扱い)
㉒有給休暇の付与(管理台帳)
有給台帳の管理は、明確なルールがなく、結局総務課が作成している
㉓有給休暇の付与(有給休暇の指定)
時季を指定して取得させていないが、結果的に5日以上の有給消化は出来ている
㉔有給休暇の付与(有給休暇の付与者)
有給休暇の付与を行う者を明確にさだめてはいない部署もある
㉕有給休暇の付与(常勤医師の場合)
常勤医師の有給の取得は、都度総務課/事務長による調整となっているため、6か月経過せずに有給を付与しているなど、付与というよりは事後承認の実態である
㉖36協定(特別条項)
医師の働き方改革や副業・兼業の承認により、残業時間管理範囲が拡大してるにもかかわらず、36協定の月45時間超えの特別条項は申請していない
㉗技師等の当直(宿直の許可)
技師等の宿直(日勤後)は、宿直許可証の認可を得ていない、または大昔に許可されたようだが許可証が残っていない
㉘技師等の当直(当直の翌日)
技師等の宿直(≠夜勤)の翌日は、特別休暇(午後半休等)としており、
継続して勤務する場合は残業を付与している
㉙技師等の当直(勤務日の取り扱い)
宿直許可がない場合は、日勤(残業あり)と翌日の早出勤務の2日勤務としている
㉚兼業、副業
兼業、副業について、承認制としているが、労働時間管理はしていない
このように、顧問の社労士に確認して実施しているはずがローカル運用になっていることが多々あり、社労士の説明が悪いのか、病院側の理解が足りていないのか、既得権が強くて歪んでしまったのか、なかなか是正が難しいのが実情です。
是正できるものは解決策をとりまとめ、不利益変更にあたるなどで、残存させざるをえないものは、その理由と運用の注意点を、共有していきたいと考えています。
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