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安いものを買っていたら、気付いたら自分が安売りされてた

この秋はマーガリンやコーヒー、小麦粉などの食料品が値上げをしたようで、原因は気候などによる原材料の高騰からによるものや、ステルス値上げ(価格は据え置きで中身の量を調整して販売)の限界から全体的に商品価格の値上げが相次いでいるようです。その他にもタバコやディズニーの入場券なども値上げしているようです。

毎年この時期になるとこのような報道があり、物価の上昇はやむを得ないものとは分かりつつも、やはり値上げということを残念に思うものでした。

しかし、ここ2年間物価の高いオーストラリアに住んでいたせいもあり、今は日本の物が安く思え、百均なんて神の領域に近いものがあり、とりあえず百均で揃えてから足りないものは専門店で買う、みたいな安いモノで出費を抑える生活をしています。


そんな中、子供達の学校も落ち着いてきたのでそろそろ仕事を始めたいと思い以前にしていたピアノ講師の仕事を探すために求人サイトに登録をしました。

ズボラな私は自宅に生徒を呼ぶのは掃除などちょっと面倒だと感じ、出張レッスンの企業に応募して返事を待つことに。

しばらくして企業から返信があり、まずは書類審査に合格したのでオンライン面接を受けてもらいたいと。そこで具体的な事を説明しますとのこと。

そしてオンライン説明会。

私の他にも3名の応募者がいてzoom会議のような感じで、レッスンの決まり事やキャンセル規約、発表会の規定などの説明を受けた後、やっと本題の時給の話に。

応募サイトでは時給1800円〜とあり、一回30分レッスンだと900円になるのですが、そんなに安い訳はないだろうと思い、交通費や出張手当てなどを知りたくその説明を待っていました。

すると、企業側の説明では、近隣の生徒さんは紹介するが、交通費は無し、出張手当なんて話題にもならなず当然無し。

ってことは、一回のレッスンあたり900円だけ?

それに電車かバスで、仮に2駅隣として一回往復(130円×2=)260円分の交通費を引いたら

900円 − 260円=640円

往復の通勤時間など含めると約一時間かかるので実質時給640円!


やってらんねぇ…と思い、「すみません、私、辞退させていただきます」と言って説明会から退室しました。


以前に自宅でピアノレッスンをしていた頃は、一人あたり月6000円頂いており、出張となると交通費に出張料金と割増価格で頂いていました。これは私個人の判断での金額ではなく、ピアノ教師業界の一般的な共通認識だったと思います。以前に息子が個人宅で習っていた時のお月謝は6000円でした。大手音楽教室だと1万円越え。


ちょっと気になり、その企業のホームページを見ると、

「個人レッスンなのに税込7,590円と驚きの低価格!」

との謳い文句がありました。


結局のところ、物などは人件費が安い海外で大量生産して価格を抑えることが可能ですが、ピアノを教える行為などで金額を下げるとなると人件費以外削る方法がないわけで。

子供たちがピアノを安い月謝で習えるのは良いことですが、そのしわ寄せは幼い頃から毎日何時間も練習して高額なレッスン料を払って、やっと入学した音楽大学でもまた高額な学費を支払ってきた講師の私達にきているわけでして…


今思い返すと、2021年の今、百均で買える品物は私が幼かった1980年代でも100円では買えなかった物がたくさんあるよな…あれから40年も経ってるのに安くなってる物さえあるよな…みんな安いモノ大好きだし。

その裏には労働力が安く売られてるんだろうな…私のような人間の。

安易に安いモノやサービスを喜んではいけないな…と思う今日この頃でした。


ちなみにオーストラリアでは、コンビニでよく買うペットボトルのお水600ml1本が約3ドルします。(正確には冷蔵庫で冷えていて、日本の500mlより少し量が多い)

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日本円にして約250円。高っ!って思いますよね。(2021年10月12日レート1豪ドル=83.3円)


しかし、スーパーで24本入のまとめサイズを買うと9ドルになります!!

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特別価格とはいえ一本あたり0.37ドル。なんでこんなに安くなるのか意味が分からない…と現地の日本人に聞いたら、その物に人件費がどれだけ関わってるのかで金額が変わるとの事。

24本パックだと人が機械で運びそのまま機械で棚に陳列するコスト。

一本ずつだとパック詰されたのを運びそれを解いて冷蔵庫に一本ずつ陳列するコスト。

その手間賃が価格に反映されるとのこと。


働く側として、消費する側として、難しい問題ですね。

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