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サードプレイス通信#4 まちなか広場Perch

世代を超えて誰もが立ち寄ることができる「とまり木」

定期的にみんなが集まれるオープンスペース

まちなか広場Perchは、2020年3月から活動をスタートした年齢や対象を問わない「誰が来てもいい」スペース。毎週木曜日の夕方4時から夜9時までオープンし、夕食を食べながら、居心地の良いおうちのように過ごすことができる場所を代表の岡部睦子さん(社会福祉士・精神保健福祉士)と、経理や事務局を担当する和田由紀子さん(社会福祉士)が運営しています。
岡部さんは本職であるソーシャルワーカーの仕事を通じて、制度の隙間があることを常々感じていました。岡部さんが関わった子どもたちと継続してつながっていたいという思いから、居場所をつくる決心をします。子どもたちはもちろん、社会人や、一人暮らしの高齢者がコミュニケーションを感じられる拠点を立ち上げたいという想いを周囲に伝え続けていたところ、郡山駅から近い、大町の一軒家を貸すと申し出てくれた大家さんと出会いがありまました。大町を選んだのは、「自動車に頼らなくてもアクセスできる『まちなか』であることに意味があるから」と岡部さん。2019年から準備し、一軒家をくつろげる和室スタイルや、ミーティングなどにも適したスペースに模様替え。2階はシェアオフィスとして貸し出すことにしました。

「過ごし方は自由 活動内容は決めない」

まちなか広場Perchでは、新型コロナウィルス感染防止対策のための手洗いや消毒、検温以外のルールを設けず、過ごし方も決まりがありません。それは、岡部さんの「自分が過ごしたいように過ごせる場所にしたい」という思いから。学習支援などあえて活動内容を決めないのは、“教える→教えてもらう”縦の関係でなく、居心地の良い場所であるための、みんなが平等の関係でいられるようにと考えたからです。
オープンの16時から来てスタッフと話しながら過ごす学生もいれば、アルバイトや部活、仕事帰りに来る人も多く、滞在時間もまちまちです。座る場所も自由。夕飯を食べる時間も、感染対策を兼ねてそれぞれが食べたい時間に食べ始め、ゲームをしたり、おしゃべりしたり、スマホ片手に耳は話に参加したりと過ごし方も様々です。

この日の献立は、・豚肉とじゃがいものいため物・大根炒り・トマトとアスパラのガーリックエビソテー・ズッキーニの梅あえ・ナスのトロトロ炒め・サラダ・ごはん・味噌汁。
野菜たっぷりの栄養バランスの良い食事を楽しみにしている人も多い。

提供される夕食は、岡部さんが献立を考え、ボランティアスタッフと約30人分の食事を準備しています。近所のお肉屋さんから仕入れたり、鈴木農場の郡山ブランド野菜を使うなど、できるだけ地元の新鮮な食材をつかうよう心がけているとのこと。
また、夕食とは別に、社会福祉協議会や地域企業から寄付された食品を提供するフードパントリ―で暮らしや子育て支援を続けています。


安心して過ごせる場所

まちなか広場Perchは、高校生がTwitterやInstagramなどのSNSを担当していたり、小学生や小さな子どもの面倒見たり、社会人が高校生と時事問題について話したり、雑談したり、それぞれに自然と役割がある空間になっています。居心地の良さはそこから来ているのかもしれません。
小学生や高校生が、安全な場所で親や学校の先生以外の大人と出会い話ができるのは、今は貴重なことです。属性を越えて、初めて来ても、常連でも、くつろげる場所になっているのは、気追わずに人と話せる程よい距離感があるからかもしれません。ひとり親や子育て世代にとっても、1週間に一度、ここに来れば、安心して子どもを過ごさせながら、息抜きができる時間になっています。
まちなかで人が集う、とまり木のような場所です。

夕食のあとも、ゲームをしたり、話をして、世代を超えて時間を過ごす。

団体情報 
まちなか広場Perch(パーチ)
福島県郡山市大町1丁目15-16
営業時間 毎週木曜日16:00~21:00
https://www.perch-koriyama.com/

※木曜日の参加費:子どもは無料、大人にはカンパをお願いしています。
木曜日の開放日以外にも、専門スタッフによる子育てや高齢、障害に関する相談ができます。
また、毎週金曜日と日曜日は13:30~18:30にこおりやま子ども若者ネット&NPOビーンズ福島による高校生が自由に過ごせるフリースペース「すきまcafé」が開かれています。
その他、活動のない日には会議や研修、各種講座を開けるスペースとして低額で利用することができます。



サードプレイスとは、自宅や職場・学校とも違う第三のコミュニティの意味。日常的に担っている義務や役割を離れ、居心地の良い場所で、人と会い、話し、目的を見つけて活動したり、楽しいことを一緒に行ったりします。何かをしなくたって、誰かに会うだけでもいいし、その場所に来るだけでもいいのです。
サードプレイスの条件は、心地よい場所であること。そして、かかわる人達の平等性が保たれていること。
サードプレイス的な場所を持つかどうかは、幸福度にも影響します。「ハーベストカフェ」もまた、シニア世代が幸福であるための交流の場、サードプレイスを目指して、活動しています。
「サードプレイス通信」では、福島県郡山市や近隣の市町村でサードプレイス的な活動をしているグループを紹介していきます。


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