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エッセイ:豪雨

ㅤ買い物からの帰り道。自転車を走らせていると、小雨が豪雨へと変わり、全身が濡れてしまった。片手で持った折り畳み傘は何の役にも立たない。
ㅤただ雨にしてやられるだけでは面白くないので、どうせ濡れているのだから堂々と街中で小便を漏らしてやろうと企てるも、こういう時に限って中々小便が出てこない。
ㅤ今日もあれだけ残尿を漏らしておきながら、いざ出せと命令しても一向に出る気配が無いのだから腹が立つ。
ㅤ陰茎には、いや陰茎に限らず身体には、脳とは独立した意志があるように思う。でなければ、勃起不全という病の説明がつかないだろう。
ㅤ自分の陰茎のひねくれ具合に呆れながら、以前見たテレビ番組のことを思い出す。
ㅤ何でも、電車内でおむつをつけてお漏らしするのを趣味にすると、おむつをせずに電車に乗っても勝手に膀胱が反応してしまい、我慢出来ずにお漏らしをしてしまうと言うのだ。
ㅤ私の陰茎は、私がこの路地を自転車で通ると同時にお漏らしをするパブロフの犬と化すのを防いでくれたのか。だとしたら余計腹が立つ。
ㅤ最後の抵抗として、帰宅後、着衣したままシャワーを浴びた。これは雨天問わず偶にやる。

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