韓国映画「マルモイことばあつめ」を鑑賞して~国土だけでなく精神までも奪う

とても素晴らしい作品だった!1940年代の日本統治下における京城(現ソウル)。窃盗などで生計を立てているお調子者のパンス(ユ・ヘジン)が、新日派の父親を持つ裕福な家庭の息子ジョンファンと共に、失われていく朝鮮語を守るために、朝鮮語の辞書を作ろうとする命懸けの物語。

この時代は日本統治下なので、創氏改名や日本語強制(朝鮮語抹殺政策)が行われていた時代。電車の中でパンスが朝鮮語で話していると、日本人が「この朝鮮人がー!!!」と殴りかかってる。どうよ?酷い話だ。

この辺の歴史は日本の教育では2〜3行で終わるらしい。韓国ドラマやK-POPが好きでも、歴史を理解していないと差別や偏見はなくならないよね。日本語を取り上げられたら?明日から「お前はチンだ」と言われたらどうだろう?イマジンの世界だよ。

ただ韓国というのは、光州事件も然り、市井の人々の行動力、協調があり、団結によって何かを成すという映画にも観れる成功体験が多くあって、それだけ民主主義が根付いている。

それが「1人の10歩より、10人の1歩が大事」という教え。日本は反対のような気がする。「1人の10歩」を大事にする民族だ。日本は勝ち取った民主主義でないため、残念ながら「国民が立ち上がって何かを成す」という成功体験がない。

言葉はアイデンティティであり、守らねばならないものだと、この映画を通して感じた。そして他国を支配するなんてことは、決してあってはならない。

本当はもっと重たく感じる内容だけど、ユ・ヘイジさんの飄々とした明るさと、時にかっこよく見える変幻自在な存在によって、バランスのいい作品に仕上がっていて泣ける。こういう映画を作れる韓国映画は本当に映画の存在意義があるな~。

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