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To be TAKA 「あなたには、あなただけの価値がある」 - 2020年8月20日 人とチームのハッピーエピソード 25号 - Happy First School

「アメリカからのクリスマスプレゼント」

2013年、なでしこリーグ1部、INAC神戸で監督をさせてもらっていました。

12月末に最後の大会である皇后杯を優勝し、「このまま来年も監督をやるべきか」悩んでいたときに、アメリカ女子プロリーグ、Sky Blue FCからオファーをいただきました。アメリカの友人から「TAKA, クリスマスプレゼントだよ」と。

海外で指導することはずっと目標でもあったので、クラブに話をして、アメリカ行きを決めました。返事をしたのは、オファーをもらって3日後でした。

すぐに準備をしてアメリカに行くわけですが、コーチなのに英語もできず、遠征の時は、空港で何をしていいかもわからず、「TAKA, follow her.」なんて言われて、選手についていく始末でした。遠征先ではレンタカーをかりて、コーチが運転したりするんですが、運転することも出来ず僕はいつも助手席。選手にキックの指導をしていても、英語では、どうしてもニュアンスが伝わらず、必死に理解しようとしてくれる選手に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

そんな僕でしたが、監督のJimは、チーム戦術のStructure(コンセプトや練習メニュー)、映像ミーティングをすべて任せてくれていました。

まず、練習中、英語で説明できない僕は、練習前に主力選手に「今日の練習はこれがテーマで、こんな練習をする」と作戦ボードで伝えていました。そうすることで、練習中、選手同士で狙いを共有してくれていました。練習中に、どうしても僕の意図とは違う流れになっているときは、みんなを呼んで、作戦ボードを使って必死に説明するんですが、発音もおかしすぎて、今考えると「日本語で説明した方が伝わったのかも」って思うぐらいでした笑

そんな中でも、アメリカの選手たちはすごく暖かくて、優しくて、明るくて、僕が必死に説明しようとしていると、途中からクイズみたいになって笑、TAKAはこうやって言いたいんじゃないかって、みんなが「TAKA、こういうこと?」って確認してくれて、それが正解だと僕は「Tell them.(それをみんなに伝えて)」とよく言っていました笑

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いつも、「僕の足りてない」ことで迷惑をかけていると思っていたので、「できることは全部しよう」と決めていました。

練習後に自主練でシュート練習をしていたら、ボールは全部拾っていたし、チームの片付け、とくに洗濯は毎日、やるようにしていました。

アメリカ人選手は日本人のように、きれいにまとめることをしません笑

試合のあとなんかは、「一箇所にまとめてくれればいいのに」って思うこともよくありましたが、タオルは使ったら、そのへんに投げてあるし、食べたものをそのままだし、毎回、試合後のローカールームは殺人現場みたいになっていました笑笑

それでも、練習後のタオルや選手の練習着を僕が毎日洗濯していたら、「TAKAにやってもらうのもね」と言ってくれて、みんな、個人のものは自分で持ち帰って洗濯するようになっていました。「選手のためになることはなんでもする」という思いが選手にも伝わっていたんだと思います。

映像ミーティングも任されていたのですが、最初の方は、前の日に、映像の下にテロップ(説明文)をいれて僕は「This, this(これこれ)」って説明していました笑笑

アメリカ代表キャプテン Christie Ramponeの一言」

こんな僕なので、選手やスタッフに謝ることが多く、いつも、練習中などに「I'm sorry I couldn't explain it well.(うまく説明できなくてごめんなさい)」と言っていました。

そんなとき、アメリカ代表のキャプテンをしていたChristie Ramponeが僕を呼んで(ちなみな彼女は僕より一つ年上、澤穂希選手は僕のひとつ年下)、
「TAKA、あなたは謝ることはない。チームのために全力で頑張ってくれているし、

あなたには、あなただけの価値があってこのチームにいる。私たちはすごく助けてもらっている。もう謝らなくていい。」

「To be TAKA」と言ってくれました。

彼女はアメリカ代表として300試合以上の代表選にも出場し、キャプテンとして、ワールドカップもオリンピックも優勝しています。
そんな彼女から、言われた一言を僕は今でも忘れていません。

ひとりひとりの強み、好きや得意を大切にしているのは彼女の影響が強くあるんだと思います。

今でもアメリカのチームメイトは大切な仲間です。

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★ 石原 孝尚(いしはらたかよし)https://happyfirst.co.jp
Happy First Achievement 「ひとりひとりの幸せの先に最高の結果がある」
サッカーコーチ・グローバルディレクター・自治体スポーツ振興アドバイザー・サッカー解説・企業研修講師・大学教授
1977年4月8日生まれ 愛知県春日井市出身

金沢大学卒業、筑波大学大学院に進学しサッカーU21男子日本代表や女子日本代表スタッフ。大学院ではコーチングとともに健康教育学を専攻、修士論文のテーマは「母親のメンタルヘルス」。

大学院修了後、前橋育英サッカー部コーチになり現在タイでプレーする元日本代表細貝萌やフィンランドでプレーする田中亜土夢を指導。帝京高校ではプロ野球ソフトバンク中村晃や日ハム杉谷拳士、阪神原口文仁を教員としても指導。清水エスパルスの大久保拓生や名古屋グランパスエイトの稲垣祥など多くのプロ選手も育て、ホストとして、経営者としても活躍するROLANDも指導。

大学教員を経てINAC神戸監督として澤穂希、川澄奈穂美らと史上初の四冠。その後アメリカに拠点を移しアメリカ女子プロリーグSky Blue FCのコーチに就任。アメリカ代表キャプテンChristie Ramponeなどアメリカ、オーストラリアなど各国代表選手たちを指導。その後、浦和レッズレディース監督、オーストラリア女子プロリーグMelbourne City FC Ladiesコーチ。
現在、FCふじざくらグローバルディレクター、岡山県高梁市の企画交流アドバイザー、岡山理科大学経営学部招聘教授。自身の経験を生かして、オンラインで企業研修も行う。

「ひとりひとりのBeing(ありのまま)を認め、Doing(挑戦)を応援しあう仲間」を目指し、オンラインスクール、Happy First Schoo代表もしている。

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