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梅谷隆介展示について2022.6.15

梅谷の今回の個展は5月のグループ展のネコの写真が使われている。これについて前回ご覧になれなかった方へ向けても、少し解説させていただく。

グループ展で展示したのは被災犬と地域猫である。被災犬の飼い主の家は崩落の危険があると判断されたため、飼い主は避難所での寝泊まりを余儀なくされ、昼間しか帰宅できない。首輪をはずしてやったが、毎朝見に来ると家の前に戻って来るという。地域猫は特定の飼い主ではなく、町内で管理されている猫である。エサやり、ワクチン、不妊手術をさせて住民とともにこの地域に住んでいる。最近頭数が激減したが、おそらく人に懐いているため、観光客に連れて帰られているのではないかという。

写真のネコには、ついていくと別の世界が現れるのではないかという希望的憶測を投影したつもりだ。しかしそれは異世界といった極端なものでなく、別の社会、コミュニティのようなものかもしれない。それは私たちにも当てはまる。

以下が5月の展示時のキャプションだ。

1987年、レーガン米大統領は国連で、「もしも地球人が今エイリアンの脅威に直面していても、全人類が力をあわせれば平和を手にすることができるでしょう」と述べた。
それから30年以上時は流れた。
私のカメラには動画機能があるようだが、私は静止画ばかり撮っている。実はこの写真のコマとコマの間には、誰も見たこともない物体が行き来しているのである。
写真に写っている事だけが事実とは限らないが、少なくとも写っているものは存在しているものと見なされる。
一方、未確認物体は未確認ながら、未確認である事が確認されているため、その正体がなんであるかはさておき、何かしらではあると推定される。
動物園仮説(Zoo hypothesis)という地球外未確認生命体の存在に関する仮説がある。「保護区仮説」とも呼ばれる。地球は宇宙人から見れば保護区のような観察対象に過ぎないという意味だ。そして、彼らの事を知らない我々に、混乱を与えないようにしているという考えを含む。
思うに未確認の地球外生命体は、我々の側がそれに対する用意を怠っているがために、遭遇した場合にその対処に困り、何だかわからないものを何だかわからないもののままにしてしまっているのではないか。
私のカメラには動画機能があるようだが、私は静止画ばかり撮っている。実はこの写真のコマとコマの間には、想像力を用意してもらえれば、どんなものでも存在することができるでしょう。

画像が5月のオープニンググループ展時のものだ。

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梅谷 隆介 【Ryusuke Umeya】 https://www.lensculture.com/ryusuke-umeya
日本大学法学部および日本写真芸術専門学校夜間部卒。
都市部と地方、平日と祝日の視点から日本を撮影。神話や妖怪文化研究。
2020年 遠回り ニコンサロン
2019年 fotofever paris 2019 パリ・ルーヴル
2017年まで写真自主ギャラリーLocker Room Galleryに所属。
日本広告写真家協会APAアワード入選3回
International Photography Awards入選3回
Prix de la Photgraphie Paris入選3回
上野彦馬賞入選。

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