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愛媛でWebデザイナーやっている私が、グラフィックレコーディングをする理由、よかったこと、危機感などまとめた話@2019。

Advent Calendar 2019「グラフィックレコーディング」の21日目の参加記事です。

以前より、まだまだ知名度の低い松山で、Webデザイナーである私がなぜグラフィックレコーディングをするようになったのか、してきての感想(良い点・気になる点)をきちんと書かねばと思っていたところ、グラフィックレコーディングのアドベントカレンダーが今年も立ち上がったと知って、即参加させていただきました。

文章長いですが、最後までお付き合いいただけるとありがたいです。

【ざっくり自己紹介】
・愛媛県松山市でフリーランス(第2期)やってます
・Web(UI/UX)デザイナーです。
・元マンガ家目指していた名残で、イラスト描いたり、小物的紙デザインもしてます。
・Web系勉強会してます(黒幕・暗躍担当)。
・エンジニアの夫ともふもふぬいぐるみ3匹。

※Webデザイナーになった(なれた)経緯は下リンク先ページにて。

01−始めた経緯。

グラフィックレコーディングをする前の話。ずっと悩んでいたことが3点あり、なんとか解消できないかと考えておりました。

1.勉強会を行っているが、良いセミナーをやったとしても、その記憶に残っている人は少ないのではないか。少しでも印象に残るものができないかと思っていた。

2.打ち合わせでメモしても、自分がノートにメモをしたものを見るのが苦痛でなんとかできないかと思ってた。

3.完璧主義ゆえにどうしても完成するまでに時間がかかる傾向があるので、少しで早くイメージを描けるように訓練したい。

そんな悩みを解消できずに悶々としていた2015年夏、広島のビズスター薬師神さん(@yayuyayu)が『グラフィックレコーディングっていう勉強会をするよ』と告知されたのを見て「あ、これいいかも」と思い、思い切って広島行って参加したのがきっかけです。

その後、エンジニアであり、アジャイル開発のコンサルタントの懸田さん(@kkd)より、「松山移住のディスカッションイベントを行うんだけど、グラフィックレコーディングできる?」とFacebook上より聞かれ、「私でよければ」ということで、お試しの気持ちでやってみました(私が広島の勉強会に行って来たのをご存知だったようです)。これが初めてのグラフィックレコーディングです。

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当時、模造紙を壁に貼るテープがなかったため、床に置いて撮影しました(今見ると荒いですな…)

そこで参加された方々からお褒めの言葉をいただいたのをきっかけに、木々週末起業イベント『Startup Weekend Ehime』など様々なところで描くようになり、少しづつ、本業とは別にグラフィックレコーディングのご依頼を受けるようになりました。

とはいえ、まだまだ知名度が低い地域。私から知り合いがイベントを行うと聞いたら、直接許可を得て、イベントの裏方の手伝いをしながら、飛び入りで書くことが多いのが現状です。

02−やってて良かったこと。

1.相手やプレゼンの進行によって完成レベルが違うので、どういう内容・雰囲気だったかが可視化できる。
プレゼン内容がこちらに伝わるように進むと、イメージしやすい&描ける速度と完成度が違うのです(逆に、あやふやな場合は、なにを描いているのかよくわからない状態に)。
ちなみに、これはStartup Weekend Ehimeをずっと描いていて気づいたことです。この完成度により、優勝候補がどのチームか判別できるようになりました

※ただし、この近年はチームのレベルが近郊してしまい、優勝候補が外れやすくなりました(^^;。あと、『ねこ』はチート正義要因らしく、予測が明後日の方向にすっ飛びます。

※詳しくは下リンク先のページ参照。

2.振り返り・見直しをしてもらえる。
イベントが終わった後、「あれ?どーだったっけ?」と考えることがあると思いますが、グラフィックレコーディングがあると必ず撮影してくれるので、そのデータを見て「ああ、そうそう」と思い返したり、そこから話が発展させてくれる人がいらっしゃいました。また、その場にいなかった人には、グラフィックレコーディングした写真を見せて報告する人もいたり。
元々、私の求めていたもののひとつですので、この結果は非常にありがたく思います。

3.仕事の会議で、さくっとホワイトボードにまとめることができるようになった。
他の方も経験あると思いますが、会議をしていると、途中でうまく進まなくなったり、何を話ているのか、混乱する時があると思います。
混乱する理由は、基本的に『可視化されてない』ことが大半。そういう時はホワイトボードに一旦まとめてみると、会議の流れが復活するように整えるようになりました(これは『ファシリテーショングラフィック』になるかと思います)。
でも、グラフィックレコーディングをする以前は、『ホワイトボードにまとめる』という発想自体がなかったんですよね。これが抵抗なくできるようになったのは、グラフィックレコーディングやってたおかげだと思います。
(同時に、驚かれる方もいらっしゃるので、会議=『PCないしノートに文字でまとめなければならない(図解除く)』という『思い込み』が根付いているんだなとも気付かされました)

03−気になること、危機感を感じること。

もちろん、いい面だけではありません。続けることで気になる点もいくつか出てきました。

 1.関係者が『グラフィックレコーディング』に求めているものがまとまっていない&場の盛り上げだけを求められる。
以前、あるイベントでのグラフィックレコーディングのご依頼をお受けした際に起こった出来事で、イベント責任担当さんと他の関係者との情報連携がうまく擦り合っていないために、描いているそばから、事前に打ち合わせている内容とは違う要望を言われ(しかも、言う人全員要望が違う!)非常に困った覚えがありました。
これは、責任担当さんとだけで打ち合わせて、他のスタッフさんのご意見を伺わなかったこと、当時、本業の方が忙しく事前打ち合わせをしっかりしなかったのが大きな原因です。

しかし、その根底の原因を考えると、責任担当さんは、私を「一つの場の盛り上げで描いてもらえればそれでよしなにしてくれる」という認識であり、そこを私が見抜くことができなかったのではと思っています(実際、連絡が私に依頼してきた際、「イベントの詳しい詳細資料を早めに欲しい」「打ち合わせを」とお願いしていたのにも関わらず、ようやく詳しい話ができたのは開催1週間前(資料もその時点)だったので、今更ですが、この時点で気づくべきだったと思います)。

グラフィックレコーディングの知名度・認識具合がまだまだの地域なので、ご依頼を受ける際は何を求めているか(ゴールは何か)、まとめられていないようであれば関係者全員にきちんと聞き、イラストを描くことによる単なる『場の盛り上げ』だけを求められるなら、それは『グラフィックレコーディング』の意味を成さないことになるので、別のことを提案、場合によっては断るべきではないかと考えています。

今思えば、今年4月にあった、ムーンショット会議(ムーンショット型研究開発制度に係るビジョナリー会議(第二回))でのグラレコ炎上事件に近いことをしていたのかもしれません。

※ムーンショット会議がどういった内容だったか、こちらに詳しく書かれていますのでぜひご参照を。

ムーンショット会議グラレコ炎上を聞いて、最近のグラフィックレコーディングの傾向と危機感をまとめられた清水淳子さん(@4mimimizu)のnote。1万字(!)とかなりボリューミーですが、グラフィックレコーディングをしている人(しようとする人)は一読すべきかと思います。

 2.グラフィックレコーディングは本当に"わかりやすいのか、意見が引き出せているのか?
Twitterでもたまに上がる「グラフィックレコーディングって“本当に"わかりやすいの?」という意見。
実は、描いている私自身も思っていることで、描き上げた後に見直しつつ自問自答したり、参加者の様子を観察させてもらってます(参加者の本心が『見る』ことが大切だと思っているので、その場で私からは意見・感想は敢えて聞かないようにしています)。

以前参加した、『ビジュアルファシリテーションフォーラム2017』にて、きれいに描きすぎると『絵画』になって、絵のほうが印象に残りすぎてしまい、会議の内容の方が頭に入ってこない(思考停止してしまう)とグラグリッドの三澤さんがお話しされていたのを聞いて、「ああ、きれいに描かんでええんや」と認識しました。

でもだからといって、ぐちゃぐちゃに描いていいかと言うとそうではなく。参加している人に対しての最低限のみやすさ(ビジュアル)は必要ではあるので、実はグラフィックレコーディングってこの中間バランスがうまく取れなくて悩んでいる人って多いのでは、と思うのです。

今現在は、参加者の様子を見ながら、本当に頭に入ってきてくれてるのか?思考停止させてないか?と伺いながら、自己満足にならないよう、試行錯誤を繰り替えしている状態です。

あと、ツイートをお借りして強縮ですが、この件も最近気になっていることです。わかりやすくすることで意見が出てきにくくなる現象もわかってきて、なんやそのパラドックスはとびっくりしてます。
なかなか道のりは険しいです。

3.『グラレコ』という言葉の独り歩き化。
言葉が長いと略すのが大体の傾向。グラフィックレコーディングも例外でなく、『グラレコ』と略されてます。

この『グラレコ』という言葉、言いやすいし響きもいいので頭にも残りやすいんですよね。私も語感が好きです。ただ、この『グラレコ』という略した言葉だけが独り歩きしている感覚が拭えないのです。

Startup Weekend Ehimeなどでも、『グラレコ』という単語で覚えようとする参加者がちらほらいて、本来の意味・意義を聞こうとしない、描いているものだけに目に焼き付いて、それだけが独り歩きする(『ing』の意味が抜ける)傾向があることに危機感を覚えています。

なので、最近は略さず『グラフィックレコーディング(Graphic recording)』と言うようにし、もし略すことになっても前後で略す前の言葉を伝えるようにしています(なお、イベントの主催者さんにも紹介いただく際はこのことを伝えるようにしています)。

とはいえ、『Blog』も元々『Web log』の略ですが、その元の言葉は薄れて『Blog』だけが独り歩きするようになっているので、知名度・認識度が高くなれば、もしかするとゆくゆくは『グラレコ』だけになる………………のかもしれなかったり??

04−私が目指したいことは「会議情報のリアルタイム整理」ができるようになること。

グラフィックレコーディングをずっとやってて、気づいたのですが、私が本当にやりたいことは「ファシリテーショングラフィック」ではないかと思っています。

話は変わります。

Webの仕事をしているとたまに俗に言う『デスマーチ』と言われる進行迷走が起こり、最悪の場合は関わっているメンバーが続々と心身を病んだりすることがあります(正直、私も病みかけたことがあります)。

しかし、私は決める権限はなく、進行・内容決定の会議に参加したり決めるのは社長・役員などの上の立場の人たち。末端であり、形にする私が一番のアオリを食らいます。私だけでなく、フロントエンド系・エンジニアも然り。

それを防ぎたくて、ディレクションやマネジメントの勉強を自主的に初めたわけです。しかし、これだけでも物足りず、さらに気になったことをいろいろ勉強。

そして、グラフィックレコーディングにめぐりあい、あちらこちらで描いていたある時、本業でとある打ち合わせに参加した際、途中で迷走してしまったのですが、それを自然にホワイトボードでまとめて流れを元に戻す対応をすることができたのです(良かったことの2.に当たります)。

参加者全員の顔色が一点に集中させて、意見・要望をまとめることができた様子を見て「あ、これが欲しかったんや」と、長い道を経てたどり着いた気持ちでした。

Web制作する上で一番大事なことは『情報整理』と『洗い出し』。初期の段階でどれだけ洗い出してまとめるかで最終の完成の仕上がりは変わってきます。そして、それは、打ち合わせでどれだけ当事者が共通認識をもってもらえるかにかかっている、と私は思うのです。

また、以前は、デザイナーだとなかなか会議に参加しづらかっったのですが、最近はデザイナーも会議に…という傾向が増えてきたので、さらにファシリテーショングラフィックが活かせる時代になってくるんじゃないかと思っています。

今後はこちらも磨いていければと考えています。

05−Webデザイナーなのにデジタルで書かない理由。

こちら、良く聞かれるので書いておきますね。
理由はふたつ。

1.何度も『直し』をするのを防ぐため。
私、完璧主義なので、自分で『区切り』を強制的に作っておかないと、いつまでも終わらないループに入ってしまうのです。本業でもこの傾向で何度か失敗しているため、この矯正と一発で描きあげる勢いをつけるためにアナログで描いています。
(これは最初の悩みの3つ目の解消に当たります)

2.単純にiPadを買う余力が足りないから。
本業で使ってるAdobe CC納税代はじめ、必要な経費や機器でお金すっ飛んでいってて、購入する予算が乏しいのです。miniサイズの購入も考えましたが、やはり画面が広くないと何を描いているのか意味さっぱりになるので、総合的に考えるとできるならiPad Proが欲しいところ。

アナログもいいけどデジタル版グラフィックレコーディングがみたい、という方は、ぜひこのページ下の『サポートする』ボタンよりぜひ『ご支援』をいただけると泣いて喜びます(´Д⊂ヽ。

06−そろそろイベント(勉強会)をする時期?

最近、少しづつグラフィックレコーディングについて興味をもってくださる人、挑戦する人が増えてきて、ありがたく思います(中には私の影響を受けたとの人もいてなんともうれしい限り)。
そして、「ぜひ、勉強会を開いて欲しい」とも言われていますが、私はあくまで『見様見真似』的にやってきていて、しっかり学んだわけではないので、逆に私も学びたいくらいなのです。

なので、そろそろ講師の方を迎えて、グラフィックレコーディング勉強会を開いてみたいなと思っています。まだまだ知名度が低い松山であれば、初心者向けからの方がいいかな…とも思いましたが、要望を伝えて来ている人たちは、ある程度レベルの高いイラストを描いている人が大半なので、少しレベルを高めにしてもいいかなとも考えてます。

そして、良い面だけでなく、イラストが描ける人が陥る盲点や欠点、注意点や気をつけることなど「マイナス点」に関しても、きちんと話をしてくださる方に来ていただきたいと考えています。

07−グラフィックレコーディングのお仕事お受けしています。

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グラフィックレコーディング、ファシリテーショングラフィックのご依頼待ってます。県外ももちろんOKです(費用はイベントの内容や、事情などを伺った上で決定させていただいています。また、県外の場合は、交通費・宿泊費に関してはお願いしております)
お問い合わせは下コメントよりどうぞ。
※お問い合わせフォームは2019年12月現在、制作中です。今しばらくお待ちください。

■グラフィックレコーディング専用Instagram作りました。

グラフィックレコーディングを公開する場所を作っていなかったので、写真・イラストと相性が良いInstagramに、個人アカウントとは別に、グラフィックレコーディング専用アカウントを作りました。まだ整っていませんが、過去に描いたグラフィックレコーディングをUPしていく予定ですので温かい目で見守っていただけるとありがたいです。

EX-2019年のグラフィックレコーディングのアドベントカレンダーについて

■グラフィックレコーディングのアドベントカレンダーは2つあります。

第一弾がすぐに埋まったらしく、第二弾もつくられたようです。みなさんいろんな視点や考えをお持ちで、共感したり、逆に「こんな風に考えているんだ」と思うことが見えてきて、良い刺激をいただけて嬉しいですね。

お読みいただきありがとうございます。ご支援いただけると大変ありがたいです。