江國香織の機械との愛憎関係、『にっこり、洋食』


 機械が苦手、という人はたくさんいる。上手に使いこなせない、という人は。けれど私について言えば、使いこなせないだけじゃなく、機械がこわく、こわがるあまり、ほとんど憎悪している。その憎悪は機械にも伝わるらしく、彼らの方でも私を嫌っている。だからどんどん壊れる。壊れられると、私はますますこわくなる。こわらがらされるというのは脅威であり、驚異を与えられれば、私は憎む。
 勿論、私はも機械の恩恵にはたくさん与っている。エアコンと携帯電話はないとこまるし、コーヒーメーカーと洗濯機のことは心から愛している。でも、感謝モアイも、憎悪を軽減しはしない。

「ポタージュと機械」、江國香織『にっこり、洋食』河出書房新社

機械音痴ではないが、そんなに新しい機械やアプリといったテクノロジーに飛びつく方でもない。ましてマニュアル読んでちゃきちゃき操作もしないから、必要に迫られていじる機械って嫌っすよね、分かる〜〜。という心境を、私の5倍くらいは感じてそうで親近感。
なるほど、操作がスイッチ一つか二つ、結果が目に見える家電は愛しやすいものであろう。一方でマニュアル読まないと駄目な最新のテクノロジー達は、結果が分かっても中身不明の不気味な隣人てとこか。愛憎とまでいかなくても、テクノロジーとそこそこよろしくやって行きたいもんである。

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