ゴミカス③ 〜修羅場〜
ゴミカス①、②に引き続き、③です。
同棲を始めることになったわたしたちに、とある事件が起きます。
同棲の始まり
わたしとゴミカスは一人暮らしをしているそれぞれの家を引き払って、新しい街で広い部屋を借りて同棲を始めることになった。
しかし、わたしは親の了承を取ることを面倒に感じていたので、実際には自分の家を引き払わずに、家具家電や荷物だけを新しい家に移動させるというやり方を取っていた。
ゴミカスには内緒でね。
一人暮らしの家は家賃は支払っているが、もぬけの殻になったのである。
もちろんこの行動はおかしいのだが、100%ゴミカスのことを信じきれていなかったわたしは、何かあった時にいつでも帰って来れる場所がほしかったのだろう。
そして引っ越し作業が全て完了し、同棲が始まってから数日経ったある日のこと。
わたしの嫌な予感は的中してしまう。
浮気確定
ゴミカスはその日も繁華街に飲みに出かけて行った。
引っ越し作業の時に気づいたのだが、ゴミカスはゴムを鞄の中にしまっているようだった。
次の日荷物を確認したところ、ゴムが明らかに2〜3個減っていたため問い詰めると「友達にあげた」などと到底信じられない言い訳を始めたのである。
わたしは彼のSNSを密かに探偵していたので、「かな」というFラン大学の女と親しくしていることや、「ひな」という沖縄出身の看護師と頻繁に会っていることは全て把握していた。
ゴミカスはその日も悪びれることなく昼から飲みに出かけて行った。
同棲が始まったばかりなのにさすがに酷すぎる…と思ったわたしは、ゴミカスが楽しみにしていたサッカーの観戦チケットを粉々に破り捨て、彼の帰宅を待つことにした。(狂気)
修羅場
わたしがスーパーに買い物に行っている間に、彼は帰宅していた。
あたりはすっかり暗くなって、初夏の心地よい風を感じる。
野良猫が集会をしているような穏やかな住宅街で、事件は起きてしまう。
「ただいま〜!」
玄関のドアを開けると、顔を真っ赤にして怒っているゴミカスの姿があった。
「お前チケット捨てたやろ!なあ!おい!」
「俺のこと疑うのいい加減にしろよ!」
ゴミカスは完全に激昂しており、大声で罵倒されて、玄関の外に投げ飛ばされた。
お尻から太ももにかけて激しい打撲を負ったのもこの時である。
「弁償しろよ!高いんやぞ!現金出せ!」
と言われたわたしは、GWにおばあちゃんに貰った5万円を財布から取り出し、ゴミカスに渡してしまった。
するとゴミカスは味をしめた顔をして
「お前もう出て行けよ」
「お前の家具だけ玄関の外に出しとけ!」
「明日引っ越し業者に来てもらえよ!なあ!」
と怒鳴り散らかしたのである。
恐怖のあまり言いなりになるしかなくて、涙ひとつ出なかった。
ベッドのフレームやマットレス、テレビ台、テーブルなどの家具や、電子レンジ、テレビなどの家電を全てひとりで玄関の外に運んでいる間、ゴミカスは「こいつアホやwww」と言いながらわたしにカメラを向け、動画を回していた。
普段だったら絶対にひとりで持ち上げられないマットレスも容易く持ち運ぶことができたので、火事場の馬鹿力って本当にあるんだと思う。
荷物を一通り運び終わると、ドアがバタン!と勢いよく閉まった。
わたしは家具とともに締め出されたのだ。
自分の車に戻ったところで、恐怖のあまり涙が溢れてきて、震えが止まらなくなった。
(↓続き)
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