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悲鳴未満ー入浴にまつわること
父は何年も前からリウマチのせいで、朝は入らないと動けない、夜は入らないと冷えて眠れないという風呂好きだ。そのため、デイサービスで、昼間から入浴はしない。しても忘れて、夜も入るというだろうから、意味がない。むしろ肌が乾燥してしまう。
浴室は数年前、老朽化による改装済みで、その時手すりは完備してある。
今回の病後、脱衣所(洗面所)に椅子を置き、服の脱着は座ってゆっくりしてもらい、浴槽から足を抜く時に介助、あるいは見守りするようにした。
脱衣所の椅子に座ってからは、拭くのを少し手伝う。手伝わないと拭けてないところはびしょびしょのまま、着てしまうから。あとは顔と背中にローションを塗る。
以前夜中に痒いと起きて、母を起こしてしまう、と訪看さんに相談した。湯上がりにローション塗ってあげたら、と言われたが、面倒だし父が嫌がるかと思って放置、入浴剤を変えてみたりしたが、結局2、3か月後から塗り始めた。
痒み止めだと言って試しに塗ってみたら、思ったより嫌がらなかった。風呂上がりは疲れきってぼーっとしているので、ほぼなすがままらしいと気づく。ローションを塗り始めてから夜中に背中痒いと言うことがないので、効果はありそう。
顔の方は、昼間手暇になると指でシミをカリカリと剥いて傷つけるので、潤いを少しでも補給するためだ。
入浴中は基本、扉の外で待っているだけ。そもそも、お尻に湯をかけて洗い、浸かるだけの入浴だ。お尻が洗えてるか問題はあるが、それは脱いだ紙パンが汚れてなければ良しで、
べんよごれがすこーしあったら、声かけあるいはお湯かけ手伝いだ。たくさんの場合は違う対応。脱衣所の椅子には古いシーツをさいて何枚も敷いてあり、汚れたら捨てる。排泄についての話は今回はなし。
さて、入浴の第一の問題は温まりすぎること。自分が十分温まっていると気づくのが遅いのか、熱くなるまで入るのだ。のぼせそうと本人が思った時には、もうすでにのぼせている。
で、浴槽から出るその時が危険だ。つい先日は、脱衣所の椅子で、20秒ほど気絶した。
第ニの問題は調子が悪いと、浴槽からの足抜きで引っかかること。最近はないが、当初は後ろ足が上がらないこともあり、腰を支えてやる必要があった。
見守りを始めてからは浴槽からの足抜きでの転倒は防げた。かがみすぎて頭を打つ程度のことはあったが。
バスボード(浴槽に掛けて、いったん座って足抜きして出るための自助具)を考えてみたものの、父が使わないだろうし、邪魔である。そもそもバスボードがあったところで、のぼせるリスクのため見守りをやめられる訳ではない。
介助としてはたいしたことないので現状、入浴時は上述がルーティンになっている。
実は気持ちの負担は、別なところにある。「お湯入っとるんやったか」と、自分でスイッチを入れてきても帰ってきたら忘れているから数分おきに聞いてくる。まあ、それはいい。
「入ってるよ」と何回か言ってもすぐには入らない。まあ、それもいい。
ただ、母が父を風呂に入らせたい時間になっても、なかなか腰が上がらないことが多いのだ。昼間のんびりしすぎていてまだ寝たくないのだろうか。
テレビ観てる、とかフラフラするとか言い訳めいたことを言う。
家族に入れと言われることへの抵抗もあるかも。
そんな時は母とちょっとした言い合いになることもしばしばで、私はそれを聞くことに飽き飽きしているのだ。
恐ろしい回数、同じやり取りが繰り返されてきた。母が「湯が冷める、もったいない、自分で入れてきといて」と怒るのに対しては、百均のアルミシートをはじめから被せてお湯張りするようにして、怒る理由をひとつ減らした。
しかし、「いつもより遅い」「入れってことか」と言い合いは続く。
一時期は私が、
「後がつかえているので、そろそろお願いします」と言うと、「頼まれたら仕方ないな」と、立ち上がってくれていた。
最近は、早くベッドに入ったからといって早起き(8時までを指す)
できるわけではないとわかったので、
面倒になりあまり急かさずに待っている。
どうしてもの時は母の一声に頼っている、ちょっとずるい私である。