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オレンジの絆(4)

ーー卒業式
冬休みは相良くんは、山田中学校の練習に行っていたので、ミニバスに行っても会えず、あっという間に卒業式となった。

相良くん以外はみんな同じ中学校なので、あまり新鮮味がなく相良くんに人だかりができている。

「相良〜お前まじで頑張れよ〜!」

「俺らの誇り!相良亮介!!」

と男子から熱いエールを受けていた。

私も話したかったが、なかなかタイミングが合わずそのまま帰ることにした。

「楓ちゃん、話さなくていいの?」

とさつきちゃんが楓ちゃんに聞いた。

「…う、うえ〜〜〜ん。」

と楓ちゃんが泣き出した。

「行くなら今よ?」

とさつきちゃんが送り出して、人だかりの中を掻き分け、楓ちゃんは勇気を出して話しかけに行った。

「相良くん、山田中に行っても、元気でね。有名選手になってサインください。」

「おう、佐倉、本当にありがとな。俺頑張る。」

といって握手をしていた。

さつきちゃんは鋭い。

「祐希ちゃんは、いいの?」

私にも聞いてくれた。だけど私は、ミニバスでの卒業式もあるからそこで話そうと思っていた。

「うん。大丈夫。さつきちゃんは橘くんと話さなくていいの?」

と聞くと

「うん。橘くんとはさっきまた中学校でね。って挨拶したから大丈夫。同じクラスにならないかな〜?」

ともう入学式のことを考えていた。

楓ちゃんが泣いているのをさつきちゃんが抱擁しながら3人で校門にお辞儀をして帰った。

ーーミニバスの卒業式

「え〜ここに我らチームの誇り、相良くんが山田中学校に推薦でいくことになりました。」

とコーチが意気揚々と話している。

「相良〜まじでお前すげぇな頑張れよ。」

と男子メンバーからエールを送られていた。

「相良くん、頑張ってね。」

と相良ファンクラブの女子たちが手紙やら手作りのクッキーなどを持って相良くんに渡していた。

「相良くんとバスケできたことは忘れないよ。相良くんのこと好きでした。よかったら付き合ってください。」

と体育館の裏で手紙を渡しているメンバーも。

「ありがとう。ごめんね。」

と泣きながら戻ってくる女子多発。

こんなカオスな卒団式初めてだよ。

とチームのメンバーと光景を見ていた。

「コーチに挨拶いこっか。」

とメンバーに声をかけてコーチの元へいく

「コーチ!!」

「おぉ!祐希!卒業おめでとう。」

「ありがとうございます。ミニバスでは大変お世話になりました。」

「キャプテンとしてよくみんなを引っ張ってくれた。中学でもバスケ部に入るんだろ?」

「もちろんです。みんなと一緒に頑張ります。」

と横にいたチームメイトの肩を組んだ。

「でも、相良がいなくなるから寂しくなるな。お前たちいいコンビだったぞ。」

「そうですね。私も寂しくなります。」

とコーチを話をして体育館を後にしようとしていると

「高坂〜〜待てよ〜〜!!」

と相良くんが後ろから追いかけてきた。

「お前、俺に声をかけずに帰るなんて卑怯だぞ。」

「帰る約束してないじゃん!」

といって2人で最後の道のりを歩く。

「最初、お前にバスケやりたいって言ってよかった。ありがとな。」

「ほんとね。私実は告白されるんじゃないかってちょっとドキドキしてた。」

「はっ?んっんなわけねぇ〜だろ。」

と熟したトマトになった。

「男子のキャプテンが相良くんでよかったよ。これから山田中でもエース狙って頑張ってね。応援してる。」

「うん。ありがとう。高坂、これ。」

「え?」

手紙を渡された。

「よかったら読んでほしい。」

「うっ、うん。今?」

「あ、そうだな。神社行くか。」

と言って最初にバスケがやりたいと相良くんがいった神社の階段に腰掛けて、相良くんからの手紙を読んだ。

”高坂へ

今まで、ミニバスでお世話になった。お前とは、キャプテン同士で、チームの悩みやメニュー決めや話すことがたくさんできてよかった。

お前の前向きで、明るいところ。しっかりしているところは本当に尊敬している。助けてくれてありがとう。

俺は、みんなと同じ中学に行けないけど、山田中のエースになって全国大会で優勝するから絶対見に来いよ。

俺はお前と話しているときが1番楽しかった。たまには連絡くれよな。

XXXXXXXXXX@abc.ne.jp   相良”

ボールペンが滲んで途中読みにくかったけど、もう気持ちが抑えきれなかった。

「相良くん。」

「うん?」

「うっ。あっり…がとうっ。私…相良くっんが、ぐすっ。好きだよ。ぐっ。」

「うん。ありがとう。ってか泣くなよ〜俺が泣かしたみたいじゃん。アドレス滲んでない?ちゃんと連絡ちょうだい。あ、でも俺、寮だからあんまり返事できないかもだけど。」

「ぐっ。わか…った。うっ、わったしも中学生になったら、うっ。携帯買ってもらえるから…連絡するねっうぅっ。」

と目を赤くして、相良くんと小学生最後の会話をした。

「相良くん、頑張ってね。」

ーー中学生入学式

「おはよう〜。」
さつきちゃんと楓ちゃんと一緒に登校しようと約束していたので、家の前で2人が待ってくれていた。

「制服似合うね〜!」

と3人で写真を母に撮ってもらい登校した。

「誰とクラスなるかドキドキだね。」
とさつきちゃんが話出した。

「うん。橘くんとなれたらいいね。」

「うん、そうだね。でも2人となれるのが1番だよ。」

「相良くん、学校にいないから寂しいな。」

と楓ちゃん。楓ちゃんは夏に髪を切ってからまた伸ばしているので、肩下まで綺麗な黒髪がなびいている。

これから入学する島田中学校は、小学校と逆方向にあり、小学校よりも10分遠くなった。隣の小学校2つと合併することになるので、ミニバスのメンバーの半分は一緒だが、半分は違う中学になった。

「祐希〜おはよう!」
と美希ちゃんがあいさつしてくれた。

「あ、2人紹介するね。こちら佐倉 楓ちゃん、山本 さつきちゃん。」

「初めまして。」

「こちらは、ミニバスで副キャプテンをしていた田中 美希ちゃん。」

「初めまして。」

と2人と美希ちゃんと一緒にクラス分けの掲示板を見る。

4クラスまである。1クラス35人だ。

1年2組に私と楓ちゃんと美希ちゃんの名前があった。1年3組にさつきちゃんの名前がある。

「さつきちゃん離れちゃったね…」

と楓ちゃんが言った。

「うん、でも、同じ小学校のメンバーが何人かいるから安心。ありがとう!教室いくね。また後で。」

とさつきちゃんはさっさと3組の部屋にいってしまった。

「じゃあ、私たちは2組だね。改めて、よろしく〜!」

と楓ちゃんがいうと

「よろしく〜。」

と私と美希ちゃんが同時に言った。

教室に入ると森下くんと橘くんがいた。

「お〜お前ら〜!クラス一緒か!よろしくな。」

と森下くんが挨拶してくれた。

「あの人めっちゃイケメンだね。」

と美希ちゃんが目がハートになっている。

「あ、うん。森下くん。私の小学校では1番運動ができてリーダー的存在だったんだ。」

「そうなんだ〜」

と話をしていると廊下にたくさんの女子がたかっている。

「あれは何?」

「あっ…あれは、うちの学校で森下くん、ファンクラブがあって。その人たち…」

「え?すごいね。」

と美希ちゃんが少し鼻白くなっている。

「あ、そうそう、美希ちゃんはお隣の富田小学校出身だよね?誰かクラスにお友達いる?」

と、私が慌てて話を変えた。

「うん、ぱっとみて2人くらいいそう。私、あんまり小学校のとき友達がいなくて…」

「え?そうなの?そんなふうには見えないよ。」

と美希ちゃんの意外な小学校時代の話を聞いたところで、担任の先生が教室に入ってきた。

「席につけ〜!」
ざわざわしていた教室が一気に静かになった。

「はい、今日からきみたちの担任になりました。松田 善孝よしたかだ。よろしく。サッカー部の顧問をしている。25歳だ。」

「25歳ってめっちゃ若くね?」

「ちょっと私タイプかも…」

とみんなざわざわしている。

「静かに!!」

みんな入学式ということもあって少し浮かれている。

「今日は、部活動の見学だけだ。うちの学校は、部活動に必ず属しないといけないので4月30日までには入部届を提出するように。」

「はーい。」

とクラスのみんなが返事をした。坂本小学校からは55人この中学校に進学しており1年2組は、私と楓ちゃん、森下くん、橘くん、他4人ほど同じクラスになった。








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