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マンデラ小説「M.e」EPISODE2 第6話 「OverTechnology」

【「弟」ジャック・ホワイト編】

∶前回までの「M.e」∶
ジャックと仲間達の不思議研究会「エブリィ・ワン」は別の世界線では「Qアノン」メンバーとして活躍していた。その世界線に全員が移動してしていた。彼等はRulerたるトカゲ人間の真実を知るべく「Qアノン」リーダー「J」の元に集った。

■202☓年 5月 ロンドン上空■

あと1時間程で、ロンドンのヒースロー空港に到着するんだよ。

アメリカからイギリスまで本当に近いんだね。

僕達エブリィ・ワンのメンバーは、誰も海外には行った事がないんだよ。

だから、ボストンに来る際には、服装で大騒ぎしていた僕達なんだ。

冬服を持っていなかったから用意するのにも大変だったしね。

そんなものだから、直前になってロンドンの気候はどうなんだ?

なんて、アミラが慌てて調べ始めちゃったんだよ。

「衣類を買いに行かなきゃ」

騒ぎ始めてさ。

仕舞には、先生に買い物を付き合わせようとしたんだよ。

勿論、僕達は全力で止めたんだよ。

ワイワイと愉快で本当におかしかったな。

結局、先生がロンドンで経営しているショップに、僕達の衣類を用意してくれてる、って事で決着したんだよ。

先生は、店まで持ってるなんてクールなんだ。

服装なんて本当はどうでもいいんだけれど…皆、不安が大きかったんだろうね。

これから僕達は、アイツ等の総本山…ロンドンに赴くんだ。

クールだよ。

飛行機の中では、それそれ別の席でバラバラなんだけれど、皆の緊張感が伝わってくる感じがしていたんだ。

人間では無い生き物。

世界の人々の命や財産を奪い続けるRulerの黒幕達。

本当にトカゲが世界を支配しているのか?

僕達は、アイツ等と対峙する為に休学してまでMITにきたんだよ。

でないと僕達は前には進めないんだ。

本当にようやくなんだ。

準備は万端。

僕達が突破口になるんだ。

最高にクールだよね。

TWENTY FOURのCTUメンバーにも負けないくらいトレーニングしたんだよ。

飛行機の窓を眺めながら、僕は鼻息が粗くなったんだ。

■ジャックのトカゲレポート■

https://note.com/bright_quince204/n/nb2a1d67b6b95



■202☓年 2月 MIT■

楽しかった初日が終わり、僕等は先生が用意してくれた宿泊用のアパートに来たんだ。

もうすぐ日暮れ。

空気が新鮮なんだ。

空の色もオレンジになって綺麗だった。

大学の近くの「ステート・ストリート通り」

大学まで歩いて行ける距離なんだよ。

今、僕はベッドの上で天井を見上げていたんだよ。

アパートの部屋にいるんだ。

先程の入居までのドタバタを思い浮かべていたんだ。

古いレンガ造りの工房用建物なんだけれど、中をアパート風に改造していた建物なんだ。

当然、僕達4人の貸し切りだったんだ。

意外にも、室内は白を基調とした最新のおしゃれな作りなんだよ。

2階建てで、2階の奥の4室が僕達のそれぞれの部屋になるんだ。

1階は、大きなダイニングと大きなソファのある団らん室になっていた。

ダウンライトがおしゃれで、ダラスの珈琲ショップ「Alpha」も顔負けだったよ。

凄くクールさ。

全く、今日は驚かされてばかりだったよ。

夕暮れ時のレンガ造りの家の前。

荷物を両手に持った僕達。

アパートを見て、ワクワクした笑顔の僕達。

玄関アプローチで、合図もなく笑いながら一斉に2階に駆け上がったんだよ。

通り沿いの部屋を「じゃんけん」で決めるはずだったのに。

アミラが「レデイーファーストよ」と死語を言って、奥の見晴らしの良い部屋に、ツカツカと入っていだたんだよ。

僕らは、両手をひろげて肩を竦めたんだ

やる気が無くなった僕は、一番不人気な手前の部屋に入ったんだ。

オール空調のようで暖かった。

僕は、本当に疲れたんだろうね。

荷物も着替えもそのままに、ベッドにダイブだったよ。

少し寝ちゃったんだね。

いつの間にか暗くなった部屋の明かりをつけないと…。

ノロノロと起き上がる。

10畳の狭いワンルームだけど、自分の部屋の大きさと変わらないから気にならないや。

暗い部屋の窓のカーテンを開けて驚いたんだよ。

街側の灯りが、建物の隙間から見えて、とても綺麗だった。

吐く息が窓を曇らせたんだ。

何時もなら、誰かが部屋に乱入して、大騒ぎをするのに…皆疲れているんだな。

くすりと笑ったよ。

そして僕はようやく起き上がったんだ。

部屋の灯りを着けて、備え付けのミニキッチン。

珈琲を淹れるべく、お湯を沸かしながらぼんやり窓を眺めていたんだ。

………

MITに来て、今日で1週間経ったんだよ。

先生が用意してくれてた宿舎のアパート。

アパートから、僕達は歩いて教室にやってきたんだ。

朝の9時。

ボストンのお天気は、日差しが出て爽やかなんだ。

吐く息が白くて、まだ寒さに慣れてないけれど、僕は長袖Tシャツの二枚重ねだから問題ないね。

「ステート・ストリート通り」にあるアパートから教室まで歩いて20分も掛からないんだ。

普段の僕達なら、はしゃいでたり馬鹿騒ぎしながら歩くんだけれど…皆大人になったんだよ。

だから、普通に歩いてるのが、急におかしくって、1人でクスクス笑ってたらアミラに蹴りを入れられたんだ。

やっぱり変わってなくて、笑い声がでたんだよ。

学校に入ると、緑が多くて空気も新鮮になり気持ちいいんだ。

今日は「先生」が来てくれる。

先生は忙しいから、初日以外は顔を見てないんだよ。

代わりのコーチとして先生が「K」を紹介してくれたんだよ。

勿論、僕達は大騒ぎさ。

だって「Qアノン」のメンバーは「Q」「J」「A」と奇しくもトランプの絵札なんだよ。

でも「K」だけは居なかったんだけれど、まさか「K」が存在するなんて!

こんな偶然は無いよ。

ネズミ部屋でも話題だった「K」の存在。

噂ではK=KINGだから、ドナルド・トランプ大統領じゃないか?

もう僕達はワクワクしたんだよ。

でも

初日に先生から紹介された「K」はトランプ大統領じゃなくて皆がっかりだったんだよ。

ま、当たり前なんだけれどね。

「K」の正体は、ボストン空港からMITまでタクシーで送ってくれた「紳士ドライバー」だったんだ!

これには本当に驚いたよね。

クールな再会だったんだよ。

僕達が、教室の後ろの入口から入るとトランプ大統領ではない「K」が1番後ろで座ってたんだ。

「よう!おはようさん!」

変な訛のある、愛嬌たっぷりの英語が特徴なんだよ。

僕達は「K」の事がお気に入りさ。

「K」はいつも面白い事ばかりを言うんだよ。

笑いの沸点が低いアーサーは「K」が大好きで、早速ハイタッチ挨拶をしに行ったよ。

僕達が、やり取りを笑ってみてると教壇から声が掛かったんだ。

「おはよう」

魅力的な笑顔の先生。

今日のファッションは、ちょっとカウボーイぽくってインディジョーンズ博士みたいな恰好だったんだ。

凄く似合う。

既に教壇に居たんだよ。

勿論、先生は銀髪だよ。

「今日から「VirtualRealityRoom」でトレーニングを開始して貰う」

■202☓年 3月 MIT■

昼下がりの教室。

窓の外は、気持ちの良い風が吹いているのが分かるんだ。

ここに来てから毎日がクールなんだよ。

「Neural Interface」

現在、世界中で開発中の革新のデバイスなんだよ。

情報レベル4を体験できたんだ。

凄い事なんだよ。

視覚を飛び越えて、脳に直接信号を送るシステムなんだけれど、先生が作ったモノは本当にビックリしたんだ。

Googleも出資しているユニコーン企業は、MITともタッグを組んでいて研究室が此処にもあるんだ。

先生が主導して、沢山の秘密のオーバーテクノロジー技術が作られているんだって。

その1つが先生が作った「Neural Interface」なんだよ。

これまでは、パソコンもスマホもテレビもモニターを通して視覚、聴覚で処理するモノだったんだ。

このシステムでは、脳の五感に直接刺激するんだよ。

本当にクールだよね。

「リアル体感共有」してしまうんだ。

その簡易版は市販されている「バーチャルリアリティ」装置なんだけれどレベルが全く違うんだよ。

没入感がまるで違うんだよ。

匂いや味まで分かるなんて本当にクールなんだよ。

痛みは嫌なんだけれどね。

でも、これは市販は絶対にされないんだって。

世に出せないなんて勿体ないよね。

詳しくは知らないんだけれど、社会通念やら倫理とか法律とか…何よりコレを使うと人間自身が駄目になってしまうらしいんだ。

そんな話を先生がしてくれた時。

「先生!僕達はどうなるんですか?」

「もの凄く使ってるんてすけど?」

アーサーが先生に質問したんだ。

ポールが

「アーサーはもう手遅れだから大丈夫なんだよ」

って大爆笑さ。

アミラも

「ポールもね」

と、先生の笑いがいつまでも止まらないのが可笑しかったんだよ。

でも、僕も何となく分かるんだ。

これは今の人類には早すぎる。

もっと人々が、良い方向に向かわないと使っては行けない気がするんだよ。

詳しい説明は…今の僕には出来ないんだけれどね。

思い出すのは、先生に初めて連れていかれた「Neural Interface Room」の逆ピラミッド部屋の事さ。

「体感共有」は、本当に凄かったんだよ。

先生は、その映像の内容を告知無しでいきなり流したんだよ。

酷いよね。

だって、いきなりトカゲ人間のファーストが飛び出たんだよ。

ファーストは物凄くデカくて、マーベル映画顔負けの迫力さ。

トカゲ討伐チームがファーストを取り押さえる時の映像だったんだよ。

隊員それぞれが、装着していたカメラを通した映像なんだ。

カメラ自体も「Neural Interface」に対応していて、僕達の五感に投影され直接脳に流るんだ。

匂いや歩いている感じ、手に持った武器の感覚。

僕達は、そこに居ないのに実際にいるような体験は信じがたかったんだよ。

「うぉー」

アーサーの声が最初に聞こえた逆ピラミッド部屋。

デバイスを付けて座らされた僕達。

座って体験した僕達は、絶叫を上げて全員ひっくり返ったんだよね。

そりゃ初トカゲだったもんね。

本当に可笑しかったな。

でも僕達、エブリィ・ワンの皆は怯まないんだよ。

逆に虜になっちゃったんだ。

ご飯を食べる以外は、逆ピラミッド部屋に入浸り、その映像を繰り返し見てたんだ。

最初は、凄く怖かったファーストのトカゲ。

迫力がすごくてヤバイ奴。

でも、最後の頃にはゲーム感覚になって全く怖くなくなったんだ。

「Neural Interface」を通して自分達がアイツを倒したって、錯覚をしていたかもね。

だって、隊員達のカメラ映像からチーム全員分の動きからセリフまで全て覚えちゃったんだよ。

でも、それは内緒にしているんだ。

油断して手を噛まれたりすると困るからね。

そして「キャンプトレーニング」の不思議な体験は絶対に忘れられないよ。

【202☓年 4月 MIT】

ニールがいつも先頭を走るんだ。

彼に速さでは勝てないんだよ。

でも僕達のチームのアミラも負けてないんだ。

その後は、デビィヴィドとマイケルとアランが続いて、ポールとアーサーも続くんだ。

ランディと僕、そして兄さんのインディとでビリ争いなんだよ。

物凄くクールだよ。

ビリ争いだけど笑顔が止まらないんだ。

だって、兄さんと再び会えるなんて思わなかったからさ。

あ…勿論、リーダーの「エース」と「K」は僕達を周回遅れにして走り去ったよ。

あの2人は化け物さ。

僕達は、今月■200☓年3月■のフロリダにある米海軍のブートキャンプに参加しているんだよ。

先生のコネクションで「Qアノン」専用のキャンプなんだよ。

僕達は、兄さんのチーム「ホワイト・ハット」と合流してトレーニングなんだ。

総勢10名。

トカゲ退治の為のチームトレーニングなんだけれど体力向上は必須なんだ。

朝4時間、昼休みを挟んで4時間。

1日8時間のトレーニングなんだよ。

でも僕は「Qアノン」に所属してから、ずっと兄さん達には「弟のジャック」とは明かしてはいないんだよ。

ネズミ部屋でも僕は「JB」とネームを変えてあるんだ。

名前は「ジャック」の頭文字の「J」だと先生と名前カブリするから「JB」なんだよ。

勿論ジャック・バウワーの「JB」だ。

でも兄さんは、何故かソウルの帝王「ジェームス・ブラウン」と勘違いしているんだ。

兄さんに、話を合わせるのは苦労したけど一緒に要られるのは幸せなんだよ。

………

「 Neural Interface」逆ピラミッド部屋の隣にある部屋。

先生達が開発した、フルダイブ型のFuru Virtual Reality装置。

部屋の広さは縦長でベッドが6台ほど並べてあるんだ。

白色の半卵型のようなベッドに、僕達は横たわるんだ。

体に配線を繋いで、上半身の部分だけキャノピーのような蓋をするんだ。

目を開けていても瞑っていても構わないんだよ。

だって直接、五感に情報が流れてバーチャル世界のアバターにダイブして、その目で世界を見ているんだよ。

だから実体の僕は、目を開けているのか瞑っているのかもわからないんだよね。

クールなんだ。

何が凄いかって?

仮想世界は、実世界と全く変わらないんだよ。

だって、痛みもあるし匂いもあるし、走ると疲れるし。食べ物や飲み物も美味しいしね。

汗もかくしね。

それに、ここで身体を動かして学習したモノは、実体の身体でも再現できるんだよ。

体力だけは「課題なんだよ」だそうで、僕達はVR終わればマジでランニングをやらされてるのは御愛嬌さ。

バランスが大事なんだよ。

先生がこの「Furu Neural Interface」を世に出せないのはよく分かるよ。

もし完成しちゃえば、寝てるだけで人生を謳歌できそうなんだもの。

そして、ネズミ部屋のように住所がなく時間を移動できるんだよ。

今回は、兄さんの「ホワイトハット」チームとの合同訓練に参加してるんだ。

兄さんは、別の世界線に居るんだけれども、このシステムを利用すると過去未来の時間軸と場所に囚われないんだよ。

めちゃめちゃクールなんだよ。

当然、僕達はアバターを利用しているんだよ。

このアバターが凄いんだ。

アバターからログアウトしても、彼等はAIオートタマーで自動で動いているんだよ!

僕達の動きから学習し、考え、話し、対応まで僕達がやりそうな言動を自動でやっているんだよ。

そして、次にログインすると、オートタマーの自動行動していた事を一瞬で理解できるんだ。

これは凄い技術なんだよ。

仮想世界と現実世界の区別が付かないくらいなんだ。

本当にクールなシステムだよね。

オーバーテクノロジー過ぎて笑うしかないんだけれどね。

仮想世界の1日は、こちらでは1時間程なんだ。

調整して時間は変えられるらしいんだけれど「先生」は「時短はマスト」と笑うんだよ。

だから、時差みたいで慣れるまて大変だったんだ。

ま、普段見てる夢とかと同じ感覚かな。

でもね…僕達はフルダイブVRベッドに入る時に「オムツ」をしているのは内緒なんだ。

恥ずかしいからね。


…………


「これは凄いわね!」

アミラが開口一番驚いたんだよ。

笑っちゃう事に、アミラが発したその一言以外、誰も喋らないんだよ。

みんな無口になって、夢中で会話を楽しんだんだよ。

4人で輪になって座り、目を見開いてニヤニヤしてるんだよ。

おかしいよね。

「K」が後ろで、その光景を見てゲラゲラ笑ってるのは納得なんだよ。

会話って言うのは、スマートチャットを皆でやっているんだよ。

第1世代のメガネタイプのSmartGlassは、もう古くて今は第3世代なんだ。

網膜に直接投影する技術なんだよ。

まだ世には出ていないんだ。

ビックリしたんだけれど、目玉にコードを打ち込むんだ。

これは、頭の中に情報が投影されるんだって。

でも僕達は、ステップアップ中だから、それをまだ使えないんだよ。

先生は既に使ってるんだけれどね。

だから僕達は、第2世代の「SmartContact」を使ってるんだ。

コンタクトレンズタイプなんだよ。

先生達が開発したレンズは、周波数も扱えるスグレモノなんだよ。

以前は、SmartGlassとSmartRingを使って指揮者みたいにして入力していたみたいなんだ。

今は「爪の裏の皮膚」にコードを転写するんだ。

「FingerTap/フィンガータップ」と呼ばれているんだ。

僕は、両手でスマホ入力に慣れているので両手の親指の爪にコード転写してあるんだよ。

アミラはパソコンブラインド入力が得意だから、全部の指の爪にコート転写してあるんだ。

SmartContactでフリップ文字が投影されて操作するんだよ。

端から見ると、慣れていない僕達は、カニみたいに両手をウニョウニョしてるんだよ。

だから「K」が僕達を見て大笑いしてたんだ。

で、一番のハイライトは僕達の身体に「スマートチップ」が入ってるんだよ。

2ヶ月掛かって、ようやく入れてもらえたんだ。

クールだよ。

脳にある「松果体」と言う「松ぼっくり」みたいな所に入れてもらってるんだよ。

周波数装置のネックレスとブレスレットと合わせると「先生曰く最強」のコンビなんだ。

それと「人間本来の能力」を開放させるみたいなんだけれど、入れたばかりだからよく分からなくてね。

僕達は、まだそれらを使いこなせなくて習得するには時間がかかるんだそうだよ。

トカゲ人間達を相手にするには、僕達もアイツ等並以上のバージョンアップを図らないとね。

でも「牙が生えたり鱗が出たり」しないんだけれどね。

これで、全ての準備は整ったんだ。

■202☓年 5月 ロンドン動物園■


イギリスの曇天の空は、空気も重いんだ。

昼間なのに気温が上がらないんだよ。

ロンドン動物園の駐車場。

ロンドンバスを改造した「Qアノン」専用車。

バスの中で僕達の歓声が上がったんだ。

「そういう事だったんだね!!」

「謎が解けたよ!!」

「先生ったら知っていて黙ってたのね!!」

「凄くクールだよ!!!

シルバーの「BodyArmor/ボディ・アーマー」に身を包んだ僕達。

対ファーストトカゲ用の特殊戦闘アーマーなんだ。

クールでめちゃめちゃ格好いいんだよ。

日本のアニメ「エヴァンゲリオン」みたいでデザインが格好いいんだ。

フル装備でヘルメットを被ったままはしゃいでいたら…。

「おいおい!おまえら!」

「K」が叫んで皆の電源を落としたんだよ。

「はしゃぐのは、エエねんけど「ray gun」を先に仕舞え」

変わった訛英語で笑っていた。

「BodyArmor」の電源を落とされた僕達。

当然、みんなで「ゴリラ」さ。

ボディアーマーは電源を落とすと両手をダラリとさせて、頭を下げて、ガニ股になるんだ。

それを称して「ゴリラの休憩のポーズ」と誰かが言い出したんだよ。

あの格好いいエヴァのシルバーのボディアーマーが間抜けな「ゴリラ休憩」のポーズで動けないんだ。

「K」は、ゲラゲラと笑ってた。

釣られて僕達も笑い出したんだよ。

これは3度目の「お約束」セレブレーションなんだよ。

おかしいよね。

ロンドンに来てから、今回で僕達は3度目のミッションは「ロンドン動物園」なんだよ。

僕達「エブリィ・ワン」は「K」がリーダーとして5人で動いていたんだ。

今日は「ホワイトハットAチーム」のバックアップサポートとして控えていたんだよ。

このロンドン動物園は忌まわしい歴史があったんだ。

トカゲ人間のセカンドの連中が、1800年代に地下施設に研究所を作ったんだ。

それはセカンド達が、キメラを作る人体実験を行った場所で「セカンドプラス」や「サード」のトカゲ人間達を作ったんだよ。

この公園で、叫び声や大きな音を怪しんだ人達が多くいたんだ。

夜中に、吸血鬼やオオカミ男が人を襲う、なんて都市伝説も出たんだ。

当時のスコットランド・ヤードに、たくさんの苦情や相談が出たんだよ。

勿論、スコットランド・ヤードの警察の上層部はトカゲ人間セカンド+の奴等ばかりだから隠蔽工作をしたんだ。

結局、地下の研究施設の上に「動物園」を建てて「獣の声」を動物で隠したのさ。

忌まわしい場所なんだ。

現在は地下施設は使われてないんだよ。

今日は、兄さん達「ホワイト・ハット」チームがトカゲグループから逃げてきた「保護対象者」をエスケープさせる任務なんだ。

この動物園の地下施設に隠れて待っているらしいんだよ。

兄さん達が地下坑道にある用具室に入った。

僕達は、普段は「SmartContact」と「FingerTap」を使って会話しているんだけれど「BodyArmor」を装着すると「声」で会話もきるんだ。

ホワイトハットのメンバーの見ている情報や会話も僕達はキャッチしているんだよ。

勿論「Q」の指示は「SmartContact」で共有しているんだ。

「ホワイトハットチーム」のランディとデイビッドが用具室で待機している。

「K」の指示で僕達はバスを降り立った。

「BodyArmor」は一般の人達には見られたら不味い代物なんだ。 

だから、外装は認識されないように、周波数装置が連動して、この世界の人達には見えないんだよ。

クールなんだ。

見えないからって「K」は先頭を歩く時、いつも変なポーズで歩くものだから、アーサーがいつも肩を震わせて笑いを堪えるのがおかしいんだよ。

きっと「K」は、それで皆の緊張を取ってくれてるんだと思うんだ。

施設の入口に居た、ジャンプスーツを着た従業員。

ちょっと年老いていて、つまらなそうな顔持ちなんだ。

彼の横を通る時「K」がサムズ・アップをすると、満面の笑みとウインクで応えたんだ。

僕達も手を上げて挨拶をしたんだよ。

きっと彼も「Qアノン」のメンバーだと思うよ。

地下坑道を歩いている時に「K」から周波数を戻すようにと指示がきた。

用具室で、待ってる2人に、5人の透明人間が急に来たらビックリしちゃうよね。

「Q」からの指示で僕達「別働隊」の到着を受けていた2人に、僕達は手を上げて挨拶したんだ。

部屋の中央にある「マンホール」を中心に僕達は配置に付いた。

坑道にいる兄さん達の「SmartGlass」かろ送られてくる映像を見て「K」が

「降りる準備やで」

少し後ろに下がる。

続いてマンホールから手が出てきた。

ニールだ。

ポールとアーサーが彼を補助して引っ張り上げた。

続いて手が出たのは兄さんだ!

ニールが兄さんを引っ張り上げだ。

「よっしゃ!行くぞ!」

「K」が先頭で、ハシゴを使わずにポンッと飛び降りた。

続いてアミラ、ポール、アーサーがハシゴを使って潜入する。

僕は最後にハシゴを降りたんだ。

兄さんにサムズアップをして「任せろ!」と声をかけたんだ。

兄さんはポカンとした顔をしていて、おかしかったんだよ。

「BodyArmor」は重いんだけれど、重力を制御出来るから、疲れ知らずで走るとめちゃめちゃ速いんだよ。

クールなんだ。

暗いはずの坑道もシールド越しに見ると昼間みたいなんだ。

「Q」からの通信は、僕達は生体Wi-Fiと「BodyArmor」の出力でどんな場所でも可能なんだよ。

本当にクールなんだよ。

「全員止まれ」

「K」の指示が聞こえた。

「エース」から映像が来た。彼自身が見ている風景のライブ映像だ。

「エース」が保護対象者に「白色の周波数ローブ」を掛けてファーストトカゲから見えなくして小部屋に隠した。

そして「エース」は素早くトカゲの背後に駆け寄り押し倒した!

トカゲが振り返る間に「エース」は部屋から飛び出してきた。

「エース」は「K」とグータッチして僕達の肩をタッチしたんだ。

「よし!トカゲ退治や!」

「K」の訛った変な英語に、僕達は妙な安心感を持つようになって緊張感が無くなるんだ。

僕達はファーストトカゲ退治用の「ray gun」を腰のフォルダーから取り出した。

自動の折り畳み式でマシンガンタイプに変形するんだ。

これが又、デザインが格好よくてクールなんだ。

黄色と黒色のコードが2本、腰のベルトのコンバーターと接続されているんだよ。

僕達が部屋に入ると既に「K」がファーストの動きを止めていた。

「Arghhhhhhhhhh!!!!!!!!!!!」

ファーストトカゲはめちゃめちゃデカくてクジラが浜辺に打ち上げられたようにひっくり返っていたんだ。

…あれ?…これって?

デジャヴ?

僕はこれを知っていたんだ。

見た事がある!

そうして、身体が勝手に動いたんだ。

手に持った「ray gun」を過去の記憶をなぞるようにファーストトカゲに照射したんだ。

アミラもポールも照射していた。

「K」は「ray gun」の周波数を変えて物質そのものを破壊した。

アーサーも役割通り「ray gun」を広角に変えて照射した。

消毒液のような匂いがするのは、ファーストトカゲから汚染されないよう除菌が目的らしいんだ。

その時

兄さん達が、部屋になだれ込んできたんだ。

ファーストトカゲは、粒子の結合を切られたので物質を維持できずにパチパチと火花のように断末魔のような光だした。

そのまま消滅した。

これで、どの世界線ともにコイツは存在しなくなった。

「K」が「掃除機」をとり出した。

「掃除機」は愛称で、形がコードレスクリーナーに似ていたからなんだよ。

完全に消滅したか、平行世界線に逃げたかチェックできる装置なんだよ。

「よっしゃ!終わりや、引上げるで!」

「K」の撤収の合図で僕達は引上げる。

帰り際に僕達は、一緒に訓練した馴染のある「ホワイトハット」のメンバー達に挨拶したんだ。

「K」がいつもやる得意のグータッチ。

メンバー達の肩に僕達は軽くグータッチしたんだ。

僕は兄さんに、ハグしたかったんだけれど我慢したんだよ。 

兄さんは、笑顔で僕に頷いてくれただけで十分なんだ…。

僕達は、坑道を抜ける時に周波数を調整して透明人間に戻ったんだ。

そのまま駐車場まで出て「Qアノン」バスに乗り込んだんだよ。

BodyArmorを装着したままアーサーが大きな声で言ったんだよ。

「これって、僕らがMITで初めて見たファーストトカゲの撃退映像じゃない!?」

アミラが

「そうよ!映像を覚えてたから、勝手に身体が動いたわよ!!」

「セリフまで一緒だったね!!」

ポールが呆れたように笑ったんだ。

やっばりデジャヴではない!

実際に起こったんだよ。

僕達がファーストトカゲを倒した映像を僕達がMITで見たんだよ!

「そういう事だったんだね!」

「謎が解けたよ!」

「先生ったら知っていて黙ってたのね!」

「凄くクールだよ!」

歓声を上げでた僕達。

そして「K」にボディアーマーの電源を落とされて…

僕達は「ゴリラポーズ」でフリーズしたんだ。

皆、ゴリラポーズで笑っちゃてる。

ロンドンでの体験は全てクール過ぎたんだよ。


【Epilogue/エピローグ】

僕達は仮想空間で、アバターを使って■200☓年3月■のフロリダにある米海軍のブートキャンプに参加しているんだよ。

先生のコネクションで「Qアノン」専用のキャンプなんだよ。

僕達は、兄さんのチーム「ホワイト・ハット」と合流してトレーニングなんだ。

総勢10名。

僕達「エブリィ・ワン」のメンバーは夕食か終わると、アバターをAIオートタマーに切り替えてログアウトして現実世界に戻っているんだ。

翌朝にログインして、僕は頭を抱えたんだ。

「嘘だろ…」

「ホワイトハット」のメンバーと僕達「エブリィワン」のメンバーが食堂のモーニングで昨夜の話題で持ちきりだった。

毎晩のルーチンのネズミ部屋の作業。

昨夜は兄さん達が担当してたんだよ。

そこに、いきなり兄さんの弟…つまり僕が「ジャック・ホワイト」が交信してきたんだ。

「こんにちわ、僕は【Dr.】の弟です。ジャックと言います。突然失礼します。兄さんが失踪して居なくなってしまいました」

ニールが、笑いながら僕達のオートタマーのアバターを呼んできたんだよ。

皆で僕を裸にして踊らせたんだよ…。

僕の裸踊りミームを作ったのは、僕のアバターだったんだよ。

兄さんは涙を流して笑っていたんだよ。

僕の裸は皆に見られちゃったんだよ…。

■■■■next

第7話「ヨハネの黙示録/前編」↓
https://note.com/bright_quince204/n/n91af42b6ce14


















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