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2012年個人的洋楽ベストアルバム20

X(Twitter)とThreads上で続けていた2012年発売洋楽マラソン。約70枚聴いたところで気に入ったもの20枚に順位を付けて終了します。各感想文は必要に応じて修正し最後に所感を添えました。

2012年の「時代考証」は作品背景を理解する目的にとどめ、あくまでも2023年に後追いした今の自分の好みに合うか?という観点で無邪気につけた順位です。何の権威もありません!😅 自分のための備忘録的な意味合いが強いです!


20位 The XX/Coexist

マーキュリー賞受賞など大成功を収めた1stに続く待望の2nd。ミニマルなのに濃厚なxxサウンドは健在。幼馴染という親密さが醸し出すオリヴァーとロミーの耽美な絡み合いは絶品。本作を聴いた後に2023年リリースのダンサブルなロミーのソロ「Mid Air」を聴くとメリハリが楽しい!


19位 Miguel/Kaleidoscope Dream

メキシコとアフリカをルーツに持つLA出身シンガーの2nd。Frank OceanやWeekndの同年作とともに当時アンビエントR&Bと呼ばれた浮遊感やロックテイストが感じられるサウンド。とりわけ特徴的なのは甘い歌声と超が付くほど官能的な歌詞!これはいい!本作収録曲ではないですが最近TikTokで“Sure Thing”の早回しバージョンがバズって人気が再燃してましたね。


18位 Joey Bada$$/1999

ブルックリン出身のラッパー、ジョーイ・バッドアスのデビューミックステープ。ジャジーでスムーズなトラックに当時17才のフレッシュかつ堂々たるラップで既に本作はクラシック扱いされてる。この後色々あって1枚のアルバムを挟み2022年に「2000」を出している。


17位 Alex G/Trick

最初はBandcampでの自主販売で後にレーベルから再販された4th。Elliott Smithばりのシンプルかつエモいフォークロックで既にソングライティング面で才能の片鱗を見せまくり。スロウコアの文脈でも取り上げられる名盤!最近のセトリ常連曲は“Sarah”と“Mary”。


16位 Fiona Apple/The Idler Wheel…

7年ぶりとなる4th。ピアノとパーカッション中心のミニマルな構成でここまで濃密になるか?というほどのフィオナ・ワールドを展開。それは凄みを増した彼女の「歌力」のなせる技。この次は8年後の「Felt The Bolt Cutters」…寡作だ…でも好きだ…


15位 Melody’s Echo Chamber/st

南フランス出身Melody Prochetによるドリポユニットの1st。迫力スネアに女神ボーカル。本作のミックスを担当したKevin Parkerと彼女は当時親交が深く内容的にもTame Impalaの同年作「Lonerism」と双子のような作品に思える。テン年代のサイケデリック・ダブル・ファンタジーだ!とっくに別れちゃったみたいだけど・・


14位 Robert Glasper/Black Radio

R&B、ソウル、HIPHOPの垣根を最高に洗練された形で取っ払った「ジャズ」アルバム。例え前知識がなくてもまずはゾワゾワ感じながら聴けばいいんだと教えてくれる作品。おそらく当時いまの僕のような「にわかジャズファン」を大量発生させたに違いない。


13位 Jack White/Blunderbuss

ソロ名義のデビューアルバム。個人的にラカンターズにはハマれなくて「ホワイト・ストライプス回帰」を果たした本作に感動。WSほどストイックな編成ではないけどアナログな魅力に満ちている。2022年に出た新作2枚も改めて聴きたくなってしまう!


12位 Grimes/Visions

まさかイーロン・マスクと2人も子供をもうけることになるなんて誰も夢にも思ってなかった頃の3rd。所謂ネット世代でカルチャーに対する豊富な知識を有する彼女の初期アウトプットはごった煮のようで隙がない。この作品がなければ現在の音楽地図はまた違ったものになってたと思うなぁ・・


11位 Exlovers/Moth

ロンドンの5ピースインディーズ。Pains Of Being Pure At HeartやYuckあたりを彷彿させる甘酸っぱく切ないシューゲ寄りのギターポップ。男女混声なのもいい。2023年秋に再結成・リイシュー・来日公演と話題を呼んだばかり。ステージはどんな感じだったんだろうか?


10位 Andy Stott/Luxury Problems

マンチェスター出身電子音楽家の2nd。通常あまり素材としては用いないような女性の美しい歌声を切り刻んでビート化するなど独特の世界を展開。M2“Lost And Found”なんてJames Blakeを更に闇堕ちさせたような…万人受けする音楽じゃないけど個人的にはゾクゾクと…


9位 Burial/Street Halo/Kindred (EP)

2007年の「Untrue」以降いまだにアルバムを出さずEPばかりのBurial。本作は2012時点での2枚の既発EPをまとめたもの。しかしこれがまた素晴らしい。漆黒の闇の奥深くでザラザラ・プツプツ言っているような音楽のどこにこんなに惹かれるのだろうか?


8位 Beach House/Bloom

ボルチモア拠点ドリームポップ大御所の4thはビルボード7位のヒットとなった。ギター、ボーカル、空白のバランスがよくて最高。ずっと聴いていたくなる。 BPMが遅めなのもいい。たまたま時間がある時にゆったり聴けたのも本作の聴き方として合ってたんだろうな!


7位 Mala/Mala In Cuba

サウスロンドンの生粋ダブステッパーがキューバに赴き現地ミュージシャンが演奏した録音素材を持ち帰り作品として結実させたもの。半信半疑で聴いたがキューバリアンの熱情をクールなビートで電子的に串刺しにしたような仕上がりに仰天!聴いてよかった!


6位 Lana Del Rey/Born To Die-The Paradise Edition


サッドコア、ノスタルジック、妖艶etc.彼女の世界を表す言葉は多々あるけどとにかく映像的でPortisheadの「Dummy」に近い音楽だと思う。”Choose your last words, this is the last time ‘Cause you and I, we were born to die”なんて言っちゃうラナ・ワールドの原点。ここでは1st「Born To Die」とその後に出たEP「The Paradise」とのおトクなセット盤をチョイス。名曲“Summertime Sadness”とヤバ曲“Cola”がこれ1枚で聴けます。


5位 Kendrick Lammer/good kid, m.A.A.d city

メジャーデビュー作となる2ndアルバム。洗練度の高いトラック。水の如く流れるラップ。生まれ育ったComptonでの出来事や心の揺れを題材にしたリリック内容。これらが一体となって鈍く光る一枚の鏡みたい。2023年サマソニでは本作から“Backseat Freestyle” “Money Trees” “m.A.A.d city”を披露。


4位 Frank Ocean/Channel ORANGE

メジャーデビュー作。サイケな味付けだが根底は美声と美メロのプログレッシブR&B。今では珍しくない路線かも知れないが本作と次作の「Blonde」がなければ最近のYves TumorやSteve Lacyの作品はまた違ったものになってたんじゃないかなぁと思いました。


3位 Spiritualized/Sweet Heart Sweet Light

有名な「Ladies and gentlemen we are floating in space(邦題:宇宙遊泳)」を1997年マラソンで聴いたときはピンとこなかったが最近Tame Impalaでネオサイケの魅力というか味わい方みたいなものを理解した上で本作を聴いてどハマり。大仰すぎず、時にはフォーキー。多分これスルメみたいなやつだ!


2位 Tame Impala/Lonerism

NME年間1位など評価を高めた2nd。大半がパースにあるKevin Parkerのホームスタジオで制作され一部は元カノMelody's Echo Chamber = Melody Prochetの住むパリで制作されたという。(そのせいか同じ年にリリースされたMelody's Echo Chamberのセルフタイトル作品は本作にテイストがよく似ている)とにかくスネアの音が響き渡り甘い美メロが溢れかえる唯一無二のTame Impalaワールド。高揚感と酩酊感が止まらない!


1位 The Weeknd/Trilogy

アングラR&B界からポップスターに飛翔する過渡期、既発のミックステープ3枚を纏めたメジャーデビュー盤。最近作に比べるとディープでより官能的。夜通し遊んだ後の明け方の音楽みたいな言われ方をするのもよくわかる。何せ30曲入りなので好きな曲を選んでプレイリスト作って聴くのもありだと思う。それだけ手間をかけてでも味わうだけの価値と強度を持った作品。ちなみに僕ならM3,5,8,14,15,25,26,27かな?もちろん編集せずに夜のロングドライブにもぴったりなんでしょうね。車社会のアメリカではきっと当時そういう聴かれ方したと思うな‥


所感

2012年って今活躍してる人たちが丁度キャリアを始めた頃だったりしてメジャーデビュー前のマスターテープとか何枚かのEPをまとめてアルバムにしてるとかいったケースが割とあってそういうものにこそ迸る才気を感じて結構選びました。具体的にはThe Weeknd、Joey Bada$$です。Burialは売れた後だけどこれもEP集。EPも聴かないと取りこぼすなあ、と認識を改めました。

上記はいずれも非ロック系ですね。好みの問題かも知れませんが一般的に言われるテン年代の音楽的世相のイメージに近いものを感じます。Kendrik LammerとFrank Oceanは言わずもがな。そんな中ロックで個人的によかったのがTame ImpalaとSpiritualized。いずれもサイケデリックな香りを纏う作品ですね。

あと思ったのはLana Del Reyに対して当時のメディアはキワモノ扱いというか半信半疑だったんでしょうね。後追いで「Born To Die」と「The Paradise(EP)」を聴くとただただヤバかったです。Pitchforkが先日「Born〜」を5.5→7.3に上方修正したのもわかります。

また今回はXのフォロワーさんのおすすめに依るところ大でした。1位 のThe Weekndと3位のSpiritualizedは完全にそうですしDonald FagenやMiguelやEsperanza Spaldingもそうです。勉強になりましたしそれについてコミュニケーションするのも楽しかったです。この場で改めて感謝の気持ちをお伝えしたいです!

そんなわけで楽しかった2012年ともお別れ。2023年の1年間で2007〜2012年の6年分しか進めませんでしたがマラソンなのでゆっくり行きます。

最後までお読みいただきありがとうございました!またアルバムのおすすめに限らずいいねやコメントを下さった方々ありがとうございました!

冒頭に画像で掲載した40枚は以下のとおりです。

↑左上から右へ
1位 The Weeknd/Trilogy
2位 Tame Impala/Lonerism
3位 Spiritualized/Sweet Heart Sweet Light
4位 Frank Ocean/Channel ORANGE

タップすると大きくできます

↑左上から右へ
5位 Kendrick Lammer
     /good kid, m.A.A.d city
6位 Lana Del Rey
     /Born To Die-The Paradise Edition
7位 Mala/Mala In Cuba
8位 Beach House/Bloom
9位 Burial/Street Halo/Kindred (EP)
10位 Andy Stott/Luxury Problems
11位 Exlovers/Moth
12位 Grimes/Visions
13位 Jack White/Blunderbuss
14位 Robert Glasper/Black Radio
15位 Melody’s Echo Chamber/st
16位 Fiona Apple/The Idler Wheel…
17位 Alex G/Trick
18位 Joey Bada$$/1999
19位 Miguel/Kaleidoscope Dream
20位 The XX/Coexist
以下、順不同
Dirty Projectors/Swing Lo Magellan
Grizzly Bear/Shields

タップすると大きくできます

↑左上から右へ
Jake Bugg/st
Passion Pit/Gossamer
Cloud Nothings/Attack On Memory
Alabama Shakes/Boys & Girls
Mac DeMarco/2
Green Day/¡Uno!
Donald Fagen/Sunken Condos
Bob Dylan/Tempest
Brian Eno/LUX
Flying Lotus/Until The Quiet Comes
José James/No Beginning No End
Esperanza Spalding/Radio Music Society
Karriem Riggins/Alone Together
Michael Kiwanuka/Home Again
Two Door Cinema Club/Beacon
The Vaccines/Come Of Age
Julia Holter/Ekstasis
Charmer/Aimee Mann

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