DXにおける大きな勘違い(その7:最後)
~究極のDXとは?~
前回、株式会社ブレインパッド様のサイトから拝借した図です。
https://www.brainpad.co.jp/doors/cp/dx_pyramid.html
これらは、選択肢であって私の考える「究極のDX」とはちょっと違います。この辺は、個人の考え方ですのでご容赦ください。
兎角、デジタル中心に語られるDXですが、突き詰めて行くと「人」に辿り着くと思います。企業活動とは、「人」が「道具(機械やコンピューターなど)」を使って、価値を生み出している活動なので、「人が道具を使う英知と技量」がその価値を決める、決定的な要素だと思います。
Appleの従業員って、どんな凄い人が働いていると、皆さん、想像しますか?超ハイレベルな人たちが集まっているって言うイメージありませんか?バリバリ、クリエーティブな仕事が出来て、コンピューターも使いこなして・・・なんて言うイメージです。
ひと昔前のことですが、コンピューターが広まって行く中で次のようなことが言われていました。
「コンピューターを使う人」
「コンピューターに使われる人」
現代でしたら・・・
「AIを使う人」
「AIに使われる人」 で、しょうか?
「コンピューターを使う人」とは、どんな人でしょうか?
私が考える「コンピューターを使う人」とは、仕事の仕組みを考えて、そのプロセスをコンピューターに実行させることが出来る人です。逆に「コンピューターに使われる人」とは、コンピューターが要求してくる「手順」を行うだけの人・・・です。
人間の英知とは、素晴らしいものです。その例を挙げると・・・
「大阪商人が発明したコメの先物」「ベニスの商人が発明した複式簿記(諸説あり)」などですが、こうした「仕組み」を人間は作り出してきました。現在は、こうした仕組みがコンピューター内のプログラムとして活躍しています。こうした凄い仕組みではなくても、日々行っている仕事の手順の基礎を理解していて、プロセスとして設計出来る人ならば、それを「仕組み」としてコンピューターに移植出来ます。これが「コンピューターを使う人」です。反対に、ひたすらコンピューターの操作をしているだけの人が「コンピューターに使われる人」です。
Appleの従業員を考える時、「コンピューターを使う人」が多いのではないかと想像しています。さて、皆さんの職場では「コンピューターを使う人」はどの位居られますか?「コンピューターに使われる人」は、どのくらいですか?
長期的な観点でDXを考えると、「コンピューターを使う人」を育成・増強して、「デジタル戦国時代」に勝ち残れるか・・・が勝負です。経営者の皆さんを筆頭に、広く従業員の皆さんが「仕組み」を考え、作れるように成長することがデジタル時代のキーファクターです。
IoTやAIなどを「目先」で取り敢えず採用しても、企業としてのデジタル力を底上げしたことにはなりません。「究極のDX」とは「人材育成」なのです。
最近、コマーシャルでよく見かける「楽楽○○」と言うSaaSがありますが、これを導入した後、人間が「楽」をして、そもそもの「仕組み」を忘れて、「操作」だけを覚え、それが「仕事」だと考えるようになっては、元も子もありません。目先で「効率」が上がったように見えても、中長期的には企業のナレッジベースを下げてしまっているのです。
(このコマーシャルに登場する「課長さん」が、アナログ人間の代表のように描かれていることが、この上なく「切ない」です。)
また、システム開発のベンダーへの「丸投げ」が問題になっていますが、丸投げしている企業の経営者のアンケートによると、「楽だから」と言う回答が第1位だったという情報もあります。肉体と同じで、組織も「楽をすると」知らず知らずのうちに「力が衰える」のです。
DXは、取り敢えず「部品」を付けてもダメなのです。組織全体の「業務力」向上が求められています。
近年、日本のスポーツが世界的にレベルアップしています。私は、その要因の一つに「フィジカル向上」があると思います。サッカーでも、「遠藤航選手がブンデスリーガ内でのデュエル勝利数第1位輝き」ニュースになりました。フィジカルの強化は、ひたすら且つ効果的に「鍛える」ことですね。
さて、「DXにおける大きな勘違い」コラムは、今回で終わりになります。次回以降は、「デジタルを一旦忘れるDX」をいろいろなテーマからお伝えしたいと思います。
DXで困っている方、悩んでいる方。個別のご相談に乗ります。ご一報ください。(まだ、HPが整理出来ていませんが、フォームからご連絡ください。)
この本に詳しく書きました。ご一読をお願いします。
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