設計の勝ち負け

「設計」に「勝ち負け」はあるのだろうか。
「設計」とは、前提条件に沿って要素を組み立てて目的を達成する行為である。「設計」には「正解」がないと言われるが、それはそうだと思う。そもそも正解があるのはテストだけであるから。
ただし、「設計」には「勝ち負け」はある。目的を達成できたら勝ち、達成できなかったら負けである。

物体を設計しようとしたとき、例えば橋であれば目的はシンプルだ。空中にわたっても壊れない道を作りたい。
前提条件を踏まえて、設計し、材料を組み立て、壊れない道が作れれば勝ちだ。
風でくずれたタコマ橋は負けた。ゴールデンゲートブリッジは今日も勝っている。

ただ、別にどんな形でも構わない。アーチでも吊り橋でも斜張橋でも。なので設計に正解はない。
それに、橋は美しい。目的を達成するために無駄がないからだ。勝ちを超越した部分もあることは忘れてはならない。

続けて、物体を設計する人、建築する人を募るコンペがあったとする。
そのコンペの勝ち負けも設計によって決まる。それは物体の設計だけではない。
プレゼンの設計もそうだし、選んでもらいやすくするために接待するためだって設計だろう。それで選んでもらえれば勝ちなのだ。

では、全然物体に関係ない場合はどうだろう。例えば人を採用して入社してもらいたいとき。
もちろんこれも設計なのである。
良い人を連れてくる媒体を選定する、連れてきたら良い条件を提示する、自社のビジョンを魅力的に語る、福利厚生で訴求する。など。
そしてこの人の採用は、よりビジネスを大きくするための部材の一つである。部品設計であったりする。

「設計」とは、目的をもって要素を組み立てる。
意図した通り目的を達成出来たら勝ちであり、それがこの上なく快感だから、みんな設計したがるのだろう。(私もその一人である)
自由競争下の市場における仕事は、勝負ばかりだろう。競合と比較してもらい、自社を選んでくれたら勝ち。そのために設計をする。
そして、再現性を持たせるのがサイエンス、科学である。科学を用いて設計し、目的を達成することは工学と呼ばれる。

そう、仕事の中で再現性高く、勝つための、設計。それこそが工学、エンジニアリングなのである。
何も建物やシステムを構築することがエンジニアではない。仕事をする誰もがエンジニアなのだ。

そう考えると仕事にも工学を持ち込みたくなる。実験もするし、過去の実績は必ず参照すべきだろう。
仕事の中で工学して、勝ち率を上げて、幸せになろう。なりたい。

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