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届かぬ想いを乗せた白球

禁煙を初めて3カ月チョイになった。
幾度となく失敗を繰り返し今に至る。
最初に煙草を吸ったのは小6の頃だった。
遊び半分で悪友達とプカプカと青い煙が空に溶けていくさまを見て輪っかを作ったりして、楽しんでいた。

悪友達は皆んな野球チームのメンバーで度々問題を起すヤツもいた。

チームは、市内では結構有名で何度か地区大会ではベスト4に入ったりして、中央大会にも出場するくらいのレベルであった。

中学に上がる前に煙草は辞めた。
煙草を吸うとスタミナが無くなるとダチから聞いたのがきっかけだった。

以前上げた記事にも書いたが、3年間、野球を続け入った高校の野球部が休部状態で仕方ないので普通に高校生活を楽しんでいた。
ある日、担任が野球部を立ち上げたからと勧められて入部したが先輩と合わずにすぐ退部した。
それからは、また、煙草を吸い始めバイトに明け暮れる毎日だった。そして、自練代とチョットしたバイクの頭金が貯まったので中免の免許を取って中型バイクを買った。選んだバイクがこれ


YAMAHA XJ 400

色も全く一緒のシルバーのメタリックで購入して半年後にRPMの集合マフラーを取り付けた。


XJ専用ではないがこんな感じのマフラー

集合マフラーはノーマルマフラーとは違い見ての通り一箇所しか排気口はなくRPMのマフラーの特徴は先っぽにサイレンサーが付いてるのが特徴である。音は低音の響きが良くて最高に気に入っていた。

他のバイクとバトル中、何度か死にそうな目にもあったり、転倒したりで危ない事もあったが、運良く今も生かされている。地元に族はあったが、厄介事はゴメンだったので、勧められても族には入らなかった。

3年に上がる前に後輩に売って残りのローンを支払って残ったお金は自動車の免許をとる為に貯金をした。

3年になったある日、担任から野球部への誘いがあったのだが断った。野球部はまた休部になっていたみたいだが復活したらしい。

顔見知り程度だが同級生の山田君がキャプテンとしてチームをまとめていてその本人から熱心に誘われ、根負けして入部してしまった。

監督(担任)は他所の学校から赴任してきた教師で実績のある良い指導者と聞いていたので楽しみだった。

一年生主体のチームで3年は私と山田君だけ、2年は他の学校へ野球留学で行っていたのだが辞めてうちの学校に入り直した山崎君、学年は一個下だが年齢は一緒なので意外と三人はウマがあった。
あとは、1年が九人という感じのチームだった。
果たしてチームとして機能するのか心配だった。
山崎君は甲子園も狙える他県の名門校から来てるので問題ないとして山田君は経験者だという事で大丈夫、山田君の話しだと1年の中にポニーリーグの経験者がいるとの事なのでそこそこイケてると仮定して、残りの1年がどれくらいやれるかがポイントである。

私が入部して初日、監督に希望ポジションは何処かと尋ねられ、セカンドを希望したのだがレフトの適任者がいないのでお願いをされた。キャッチャー以外ならどこでも出来るので少し不満だったが了承した。

入部してからは禁煙した。他の部員に迷惑をかけない為である。考えて見れば、まともに野球に向かい合うのは、3年ぶりくらいなので、最初のうちは辛かった。煙草の影響もあったかもしれないが、特に辛かったのが10キロマラソン、たまに校外に出て走る事があった。中学の時はこれぐらいならへっちゃらだったのに… それでも皆に遅れることなく走れた事に感謝した。

しかし、人間の対応力とは素晴らしいもので、大会前には体力もついてだいぶ楽になっていた。
その時くらいからは、煙草が吸いたいという気持ちも薄れていたが、たまに練習後に吸いたくなる事はあった。しかし、皆の事を思うと思いとどまる事ができた。

大会前に練習試合を二試合程消化したが惨敗だった。相手はバリバリの3年だしね。たぶん、控えの選手で試合に挑んでいたと思う。

それから二週間後、仕上げの練習試合に挑むことになる。相手は、今までの中では一番手強い相手で、監督の話しでは、県内ベスト16くらいの実力はあると思うと言っていた。
監督に「ケン投げてみるか?」と言われた。
私は、即答で「はい」と答た。よくシートバッテングでは投げていたし、私が小学校の時にピッチャーの経験があるのも知っていたし、コントロールも良いのも知っていて、試してみたかったのだろう。

私の球種は、ストレート、カーブ、急速の遅いドロップ気味のカーブたまに、みんなにはナイショでパームボールを投げていたが、これは余り決まらない。あとナチュラルでシンカーやカーブもあった。小学校の時に変化球の投げ過ぎでストレートを投げても無意識に手首をひねる癖が出てしまうのでナチュラルで変化してしまうのである。過去に肘も痛めた事もあってストレートに力が無いので変化球が私の生命線である。あと、ボールの握りもストレートの握りではなく縫い目を真横にしてボールが指に掛かりやすいような握りにして、おもいっきりスナップをきかせて投げるとストレートに伸びが出るので手元でポップする感じになって結構有効的だった。さて、どうなることら……。


どこまで通用するのか、楽しみである。
体の鼓動はMAX レッドゾーンを振り切るような
感覚になった。緊張よりも、マウンドに立てる喜びが勝っていた。

映画 Major League から Wild Thing 


♦最後までお付き合いいただき
           ありがとうございます。




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