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私はよくかわいいといわれる〈55〉
「ほれっ」と言って、舞香が縦横15センチ高さ3センチほどの弁当に使うようなプラスチックタッパーを置いた。
金井君は無言でカードを配り、私の膝の上にカードがたまっていく。私はカードが風で飛ばされないようにすぐに手で押さえる。こうすることで同時にスカートも捲れるのを防げる。カードを配り終えたので、金井君がタッパーに3のツーペアを捨てる。森本君が6のツーペアを捨てる。どうやら大貧民が始まったみたいで、私は7のツーペアを捨てた。
前回森本君がトランプを持ってきてやろうとしたので
「いや、屋上でトランプは無理よ。風で」と私は言ったのだが
「ええがな、ええがな」と森本君が言うので、まあそういうなら別にいいけどと思ったのだが、案の定すぐに風でトランプが捲れあがり中止になった。
別に私は太陽や屋上にそこまでのフェチズムや信仰心などないのだが、トランプをやりたきゃ教室でやればいいのになぜか意地でも屋上でやろうとしている。
そこで、舞香のタッパーである。このわずか3センチほどの高さのプラスチックの壁があることで、そよ風ぐらいならカードはびくともしない。お、これは行けるのではないかと思ってカードを捨てる。
と思ったのもつかの間、やや強い風が単発的に吹けば、カードがちらちらと揺れ、一瞬緊張が走る。デスゲームのような緊張感の中、今日は私、金井、森本、舞香、絵美里の5人でなるべくタイトに円を作って体で風をブロックするようにした。
やや腑に落ちないがやれそうならやってもいいが本当に大丈夫なのか?と思いながらデスゲームトランプが始まった。
鈴音は部活のミーティング的なやつでいなくて、美樹もいない。
美樹は前回も今回も来ていない。
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