見出し画像

〈43〉西崎君

 その芦原君に媚びへつらわれているのが西崎君である。成績が常にトップである。もう絶対東大とかに行く感じである。色白でひょろっとしていて、野球部に所属しているが運動は得意ではない感じで、いわゆるガリ勉に見えるが、芦原君と仲がいいというアドバンテージで表面的には勉強ができる方を評価されている。           

 しかし芦原一派は芦原君の子分であるのは受け入れるが、西崎君の子分であるのは認めない感じである。

 その芦原君の西崎君へのへつらい方と言うのは、またあからさまである。この感じは西崎君と仲良くすれば将来いいことがあると思っているような、もろ打算的なすり寄り方である。もはや人間関係の投資である。 

 西崎君も芦原君にすり寄られることはまんざらでもないようである。打算的なすり寄り方にうすうす気づきながらも悪い気はしていないようである。一応親友同士という雰囲気を保ってはいる。

 芦原一派の男子は西崎君のことを水面下では嫌っている。一方女子の方はあの「芦原君が慕っているのなら西崎君もかっこいい」になるようで、評価軸はあくまで芦原君にあるようだが、妃願望女子の中では芦原君でも西崎君でもどっちでもいいという、完全にヒエラルキーしか意識に無いアホもいる。そしてそういうアホはもちろんどちらにも相手にされていない。

 しかし例え妃願望アホ女子にでも、こういうのにモテるという目に見える人気は、芦原一派の子分アホ男子の嫉妬を買うのに十分であり、芦原君はひろさん(広樹なので)と呼ばれているが西崎君は西崎と呼ばれて、せめてもの抵抗を見せられている。

 もうアホ女子とアホ男子の底辺のプライド争いのカオスである。それが学校というものである。

 アホとか底辺とかずいぶん毒づいてしまった…

 ちなみに西崎君は生徒会の副会長をやっており、金井君と同じ生徒会なので、その感じもあって、金井君は西崎君のことをにしやんと呼んでいる。金井君は別に俺はにしやんのこと嫌いじゃないぜ感を出すことで同等感をアピールしているのかもしれない。知らんが。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?