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私はよくかわいいといわれる〈61〉
私は立ち上がった。なぜかは自分でも分からない。そして階段の方へ向かい歩き始めた。屋上から4階へ向かうガラス戸に来た辺りで手をつかまれた。止まって振り向くと森本君に手を握られている。
「返事…くれないか?」と森本君が言った。
「返事?返事って言われても…」と私は言って、ガラス戸に顔の向きを戻す。そして心の中で森本よ手を強く握りすぎじゃないか?と思っていると
「もしかして金井か?」と森本君に言われた。
「はあ?」と返すと
「金井と付き合っ…ばふぉ!」
気づいたら森本君を殴っていた…
グーで…
何か金井君にとても失礼なことをしたような気がするが今はそれどころではない。そしたら
「お前は自分が思ってるほどブスじゃねえよ」と言われた。
ほう、けっこう踏み込んでくるではないか。しかし他人にブスと言われるとなんか腹が立つ。確かに私だって自分のことをそこまでブスだとは思っていない、ちょっとボーイッシュなだけだ。そして今、お前って言わなかったか?そしてなぜこの私が気づかなかった?などいろんなことが頭を瞬時にかすめやや混乱気味になりながら辛うじて
「ちょっと今はわかんない…」とだけ答えて、手を振り払って教室へ帰った。
その後のことは何も覚えておらず、気づいたら自宅の自分の部屋で呆然と立っていた。
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