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「夏のピルグリム」

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「第12回ポプラ社小説新人賞」奨励賞受賞作の「夏のピルグリム」が7月18日に刊行されます。著者初の単行本形式の小説です。 心の喪失を抱えた13歳の少女が日本各地を旅して、さまざま…
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#夏ピル

「夏のピルグリム」は明日発売です

いよいよ明日(7月18日)が「夏のピルグリム」の発売日です。今日から配本がはじまっている書店もあれば、地域によっては数日後に店頭に並ぶと思います(僕が住んでいる宮崎では20日ぐらいから買えるはずです)。 「夏のピルグリム」は、「第12回ポプラ社小説新人賞」奨励賞受賞作です。 受賞してから1年半の間、何度も改稿して、言葉ひとつずつ吟味してきました。著者初の単行本形式の小説です。 ここからは、はっきり言って宣伝ですが、もしよろしかったら読んでいってください。 どんな物語?心に

「夏のピルグリム」の見本が届いたよ

7月18日刊行の「夏のピルグリム」の見本が届きました! 僕にとっては初めての単行本です。単行本はサイズも大きいので迫力がありますね。 すてきな表紙です。イラストはKUさんに描いていただきました。幻想的な背景に、中央の主人公夏子が輝いていますね。 左右の障子はステンドグラスのように光っていて、夏子の旅の思い出が映っています(読み終わった後に表紙を確かめて欲しいです!)。 帯は映画「かがみの孤城」などを監督した原恵一映画監督にコメントを書いていただきました。本作の魅力をここま

受け身の主人公にしたくなかった

7月18日刊行予定の「夏のピルグリム」は、傷ついた13歳の女の子が主人公です。 プロットを作っているときに、受け身の主人公にはしたくないと思っていました。 主人公が学生だと、自由に使えるお金も少ないし、知識経験もなく、行動範囲も狭いのが普通です。できることが限られてくるので、どうしても受け身になりがちです。 心に傷を負った人が、自分から積極的に動きすぎるのは不自然なので、どうしても受動的になりがちです。色々な人が話しかけてきて、親切にされる話が多いです。 僕は若い主人公だから

小説のジャンルとはなんぞや

小説のジャンル分けは案外難しいと思っています。だって、ひとつの小説に様々な要素が混在しているので、「これだ!」とひとつのジャンルに押し込めるのは大変なんじゃないですかね。 犯人を捜す小説ならミステリーに入るかもしれないけど、ミステリー小説でも恋愛要素はあるでしょうし、若いものが主人公なら「青春ミステリー」とか「学園ミステリー」といわれるかもしれません。 色々な要素を詰め込んだ小説を「全体小説」と呼ぶことがあります。パッと思いつくのはドストエフスキーの一連の作品とか、村上春

現代のロードノベルは意外と難しい

僕はロードムービーが好きです。昔の映画なら「イージー・ライダー」「レインマン」、デヴィッド・リンチ監督が実話をもとに制作した「ストレイト・ストーリー 」など、ロードムービーにはハズレなしと昔から言われるように、名作が多いです。 特に好きなのが「リトル・ミス・サンシャイン」です。娘の美人コンテストに参加するために、フォルクスワーゲン・マイクロバスで家族全員が旅するコメディ映画です。一癖ある家族とその仲間のやり取りが愉快なのですが、ただ楽しいだけではなく、悲しい出来事が起きたり、

「夏のピルグリム」は「推しあり夢なし少女の冒険」だった

7月18日に刊行する小説「夏のピルグリム」のタイトルをつけるのに、かなり悩みました。 僕はタイトルをつけるのがあまり得意ではなく、悩み出すと結構時間がかかります。 執筆中につけていた仮題は「推しあり夢なし少女の冒険」でした。夢を持たない女の子が、推しのために冒険する物語なので、内容をそのまま表しているだけで、タイトルというより、執筆の指針になるようにつけました。 このままではストレートすぎるので、書き終えたときに考えたのは、「推しをめぐる冒険」でした。いうまでもなく村上春樹さ